2019年 海外10大ニュース(産経新聞)

 【1】香港 大規模デモ

 香港で6月以降、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正問題に端を発した反政府デモが本格化した。6月16日には香港史上最多の約200万人(主催者発表)が参加。批判の矛先は香港への支配力を強める中国共産党にも拡大した。11月24日の区議会議員選挙では民主派が圧勝。混乱収拾のめどは立っていない。

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 【2】韓国、GSOMIA破棄撤回

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は8月、日本が対韓輸出管理を厳格化したことへの事実上の報復として、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))の破棄を通告した。だが、協定を北朝鮮に対する日米韓安全保障協力の象徴とみる米政府が破棄に強く反対。文政権は失効直前の11月22日に通告の効力停止を発表し、協定が維持された。

 【3】ノートルダム大聖堂火災

 パリの世界文化遺産、ノートルダム大聖堂で4月15日に火災が発生。高さ約90メートルの尖塔や屋根が焼け落ちた。失火とみられている。マクロン仏大統領は、5年以内の再建を目指す方針を示した。政府は10月、修復への寄付表明は半年間で計9億2200万ユーロ(約1100億円)に上ったと発表した。現在も保全作業が続いている。

 【4】徴用工 資産差し押さえ決定

 いわゆる徴用工訴訟で、韓国最高裁が2018年10月末に新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた確定判決を受け、韓国の裁判所は1月、同社の韓国内資産の差し押さえを認める決定をした。3月には三菱重工と不二越の資産の差し押さえがそれぞれ決定。いずれも資産の売却が裁判所に申請され、現金化手続きに入った。

 【5】米中貿易摩擦が激化

 米国は中国に経済構造改革を求めているが、5月の貿易協議が決裂すると、中国産品2000億ドル(約22兆円)分にかけた10%の追加関税を25%に引き上げた。9月には新たに1200億ドル分に関税を発動。中国も毎回、報復に出て貿易摩擦が激化した。米中は12月に部分合意し、米国が対中関税を軽減する摩擦緩和の動きもあった。

 【6】G20大阪サミット 自由貿易の原則確認

 日本が初の議長国を務める20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が6月末、大阪で行われた。米中貿易摩擦の激化で安倍晋三首相は難しいかじ取りを迫られたが、首脳宣言には「自由で公平、無差別な貿易・投資環境」と盛り込み、自由貿易の原則を確認した。米中首脳会談をはじめ参加各国の個別会談も注目された。

 【7】米を中心にファーウェイ排除の動き

 トランプ米政権は5月、中国製の通信機器から機密情報が漏れるなどとした安全保障上の懸念を背景に、華為技術(ファーウェイ)との取引を米企業に禁じる禁輸措置を実施した。高速・大容量の第5世代(5G)通信網への移行を見据え、日本などの同盟国・友好国にも中国製の締め出しを求めたが、欧州などでは米国に同調しない動きもみられた。

 【8】英下院総選挙 保守党圧勝

 英議会下院(定数650)は10月29日、ジョンソン首相が提出した前倒し総選挙を12月12日に実施するための法案を採決し、可決した。総選挙ではジョンソン氏率いる与党・保守党が欧州連合(EU)と合意した離脱協定案で来年1月末までに離脱する政権公約を発表。保守党が過半数となる365議席を獲得し、来年1月末の離脱が確実になった。

 【9】米、IS最高指導者を殺害

 米軍の特殊作戦部隊は10月26日、シリア北西部イドリブ県にあったイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)最高指導者、アブバクル・バグダディ容疑者の隠れ家を急襲した。同容疑者は隠れ家の敷地内で自爆テロ用のベストを起爆させ死亡。トランプ政権は、IS壊滅作戦の成功を決定づける重要な勝利を収めた。

 【10】アフガニスタンで中村医師殺害

 アフガニスタン東部で灌漑(かんがい)事業に従事していた医師、中村哲さんが12月4日、武装勢力に銃撃、殺害された。犯人は逃走し、全容解明には至っていない。「英雄」と称された中村さんの死に現地では追悼の動きが広がった。アフガンではテロや戦闘の影響で1~9月に2500人超の市民が死亡するなど、治安悪化に歯止めがかからない。

 【番外編】

 ◆北、短距離ミサイル相次ぎ発射

 北朝鮮は2月の米朝首脳会談が物別れに終わった後の5月以降、「新型戦術誘導兵器」と呼ぶ短距離弾道ミサイルや「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」と称する事実上の短距離弾道ミサイルを今年だけで計13回発射し、新兵器開発を進める姿勢を誇示した。このうち10月には、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も試射した。

 ◆仏ルノー、ゴーン会長を「解任」

 仏自動車大手ルノーは1月24日、カルロス・ゴーン被告による会長兼最高経営責任者(CEO)の辞任受け入れを発表した。事実上の解任で、ジャンドミニク・スナール新会長が就任した。ゴーン体制のナンバー2だったティエリー・ボロレ新CEOは10月11日、取締役会で解任され、日仏3社連合でゴーン色が一掃された。

 ◆米朝首脳会談も非核化進まず

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2月27、28日、北朝鮮の非核化問題に関して話し合う2度目の首脳会談をベトナムのハノイで行った。トランプ氏は、核・弾道ミサイルに関連する装備や施設の完全廃棄を提案したが、金氏は寧辺の核施設の放棄と引き換えに経済制裁の解除を要求。会談は物別れに終わった。

 ◆英首相に離脱派・ジョンソン氏

 欧州連合(EU)離脱問題で迷走を続けたメイ氏が7月、首相の座から退き、保守党の党首選で圧倒的な支持を集めて選出されたジョンソン氏にバトンを渡した。2016年の国民投票時にEU残留を支持していたメイ氏とは異なり、ジョンソン氏は首相就任当初から、「合意なき離脱」も辞さない強硬離脱派として知られていた。

 ◆韓国法相が辞任、政権に打撃

 韓国の文在寅大統領が、妻ら親族の不正疑惑にもかかわらず9月に強行任命したチョ国法相が10月14日、辞任した。チョ氏は文政権の公約である検察改革を進めるため法相に就任したが、ソウル市内では辞任を求める大規模な集会が続発。1カ月余りでの辞任となり、チョ氏の妻は逮捕・起訴された。チョ氏も職権乱用容疑で逮捕状が請求されたが棄却された。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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