IOC、五輪追加費ちゃっかり発表…安倍首相が3000億円負担「同意」も組織委は削除要求…ドタバタ劇、互いの「本音」は(スポーツ報知)

 国際オリンピック委員会(IOC)は20日に公式サイトで、新型コロナウイルスの影響による東京五輪の1年延期に伴う追加費用に関し、安倍晋三首相の名前を引用し、日本側が負担に同意したとする見解を発表した。これに五輪組織委、政府も含め日本側が猛反論。組織委は該当箇所の削除をIOCに申し入れ、即座に文面が変更された。3000億~6000億円に上るとみられる巨額の追加費用を巡る駆け引きがさらに激しくなっていきそうだ。

 東京五輪のカネを巡り、ジャブの応酬が繰り広げられた。発端はIOCの公式サイト。20日に更新された「東京五輪に関するよくある質問」という合計31個のQ&Aの中の「大会の延期にかかる追加経費」だった。3000億円とも6000億円ともいわれる追加費用に関し、IOCは「現行の契約条件に沿って安倍晋三首相が、引き続き日本が負担することに同意した」とちゃっかり発表。これが日本国内で大きな波紋を呼んだ。

 16日にIOCと組織委、双方の幹部会議が行われ、費用に関しても可能な限りの節約を行う方針を定め「双方の共通課題として、今後議論する」との合意がなされたばかり。組織委の高谷正哲スポークスパーソンは「3月24日の安倍首相とIOCのバッハ会長の電話会談では費用負担について取り上げられた事実はなく、双方合意した内容を超えて、総理の名前が引用され、さも合意したかのように表現されているのは適切ではない」と強い不快感をあらわにし、削除を求めた。菅義偉官房長官、橋本聖子五輪相らも「合意の事実はない」と完全否定した。

 組織委の要請を受け、IOCは21日、即座に公式サイトの文面を訂正。安倍首相の名前を削った上で「今後も延期によるそれぞれの影響を評価し、議論していく」と実質わずか1日で見解を変更した。

 ドタバタ劇には互いの本音も見え隠れする。もともとの開催経費総額は1兆3500億円。IOCの負担金は850億円に過ぎず、その他の財政的義務もない。新型コロナウイルスの影響で日本の経済活動が機能不全に陥る中、組織委、東京都、政府に青天井で延期に関わるカネを出す余裕はなく、IOCに一定の負担を望むのは当然だ。とはいえ、IOCも日本側から延期の提案を引き出した以上、さらなるカネの拠出は避けたい。

 前例のない緊急事態にもかかわらず、五輪の開催権と引き換えに開催都市に大きな財政負担を強いるIOCの手法は従来通り。組織委は文面訂正に「先週(16日)の共同声明の合意事項に沿って議論を進める」と改めて強調したが、一枚岩にはほど遠い現状が浮き彫りとなった。(太田 倫)

 ◆組織委・高谷氏会見のその他の概要

 ▼会場確保問題 所有者らと今後、注意深く交渉する。

 ▼来夏以降の開催の可能性 コロナに関する将来の状況が予測できない中、憶測に基づいて何かを示唆することは適切ではない。

 ▼費用分担の決定時期 IOCと組織委双方にタスクフォースがあり、それを統括する会議の開催は適宜行う。具体的にコストについて、時間軸を伝えられることはない。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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