1500キロ先でも「すべて東京由来」 小池氏の苦渋

 4連休初日の7月23日。東京・吉祥寺のアーケード街は、買い物客であふれていた。

 近くに住む会社員の女性(45)は、11歳の長女と訪れた。連休で茨城県にある夫の実家への帰省を予定していたが見送っていた。

 「これ以上感染者が増えれば、近場の外出も控えなければいけないかも」。そう言って、不安げな表情を浮かべた。

 都内ではこの日、感染者数は過去最多の366人が確認された。「感染者が出る地域が広範囲になっている。都民の気も緩みすぎている」。ある都幹部はそう嘆いた。小池百合子知事も、報道陣に「4連休にできるだけ外出を控える形で止めないと、また経済活動や社会活動にブレーキをかけてしまうことになる」と危機感をあらわにした。

 翌24日の首相官邸。安倍晋三首相(当時)は記者団に対して「確かに感染者数は増えている」と認めつつ、「(前回と)状況が異なり、再びいま、緊急事態宣言を出す状況にはない」とも話した。

 首相は「検査能力にはまだ余裕がある」と説明し、感染者の早期発見を進める考えを示した。国民の不安をかき消すかのようだった。

拡大する報道陣の質問に答える安倍晋三首相=2020年7月24日、首相官邸

 だが、都内での感染拡大は収まらなかった。小池知事は30日、経済活動に「ブレーキ」をかける決断を下す。酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう求めたのだ。

 小池知事は、会見で「現状は、感染爆発も憂慮される極めて危機的な事態だ。状況がさらに悪化した場合には、都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるを得ない」とも述べた。

 都の関係者によると、小池知事が短縮営業要請を決断したのは会見があった当日だった。この関係者は「当初は夜の街に焦点が当たったけど、接待を伴わない飲食店でも感染が拡大した。感染状況が日々厳しくなっていく中、いつかは切らざるを得ないカードだった」と明かす。

 ただこの頃、東京を発端に再燃したウイルスは、1500キロ超離れた場所でも猛威を振るっていた。

 「爆発的な感染拡大。感染拡大…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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