17歳の私、コンドームと保健体育のT先生 泣きながらやっと描けた

 枇杷(びわ)かな子さんが描くエッセー漫画には不思議な魅力がある。

 大好きだった祖母との日常や、夫との何げないやりとり。

 家に帰る途中で桜に見とれて、ドーナツを味わいながら幸せを感じた日のこと。

 読んだ人が「その気持ちわかる」と言いたくなる日常の描写だ。

 そんな作品の一部をまとめた書籍が「アゴが出ている私が彼氏に救われるまで」(KADOKAWA)。

 本に収録されているエピソードの中では、自身のコンプレックスを隠すことなく描いた。

 「出てるアゴをヤスリで削りたい」と思っていたこと。

 気に入らないことがあると「台風」のように暴れる父におびえながら育ったこと。

 幸せを感じると、自己嫌悪が泥のようにまとわりついて離れないこと。

 明快な解決策は示されないが、前を向いて生きる様子が描かれている。

 漫画の中に友人たちも登場するが、メインで描かれるのは枇杷さん自身の心情。

 その理由は「描くことで誰かを傷つけたくないし、人に嫌われるのが怖いから」。

 自分のことであれば、どんなに恥ずかしいことであっても描くことができる。

引き出しにしまっておいたネーム

 そんな枇杷さんが、2年ほどかけてようやく発表できた漫画がある。

 いつもと内容が違いすぎて、読んでくれる人たちを驚かせてしまうのではないか。

 何度もネーム(漫画の設計図)を描いては、そんな思いで机の引き出しにしまってきた作品だ。

 タイトルは「テストにでない…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment