1964年の聖火ランナー、竹筒と砂で練習「晴れ舞台」

 1964年の東京五輪で使われた聖火リレーのトーチや走者のユニホームが、愛知県豊田市役所の2階ロビーで展示されている。57年前に聖火ランナーを務めた建築設計事務所経営、小林良一さん(76)=豊田市神池町=が所有し続けていた。今回の東京五輪の聖火リレーは1年延期され、25日に始まる。小林さんは「しっかり走ってほしい」と、エールを送る。

 今回は豊田市内でも4月6日に聖火リレーがあり、豊田スタジアムの西イベント広場で到着式典がある。市が聖火リレーに合わせ、小林さんからトーチなどを借りた。豊田市での聖火リレーが終わった後もしばらく展示を続ける。

 小林さんは旧・一色町(現・西尾市)出身で、中学・高校では陸上部員だった。専門は1500メートルや駅伝。当時の幡豆郡の代表として、64年10月3日、岡崎市内の国道1号の1・1キロを、トーチを持って走った。

 1カ月ほど前から、トーチに見立てた竹筒に1・5キロの砂を入れて持ち、毎夜、自宅周辺を走った。スタート前、聖火の煙で前が見えなかったことや、右手で持ったトーチが重かったことぐらいしか本番のことは覚えていなかった。後から写真を見ると、沿道の屋根や塀に上って見ている人が多く、「すごい盛り上がりだったんだ」と気づいたという。

 今回の豊田市内の聖火リレーは、沿道にある知り合いの事務所で見学することを考えている。小林さんは「私にとっては晴れ舞台だった。今回の走者も、真剣に走ってほしい」と話している。(小山裕一)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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