25年で98→73校 女子大は不人気? 変わる社会と受験生の意識

 女子大が減っている。1998年の98校をピークに徐々に減り、現在は国公私立合わせて73校。背景には、女性が働き続けることが当たり前になり、人文系が中心の女子大ではなく、就職につながりやすい学部がある共学大を選ぶ女子受験生が増えたことなどがある。高等教育が女性に広く開かれるようになったいま、女子大の意義が問われている。

 「女子大は本当に不人気なのでしょうか」

 21日夕、フェリス女学院大(神奈川)の2年生4人が、オンラインを含めて約100人に問いかけた。4人は約4カ月、授業の一環で、「私たちが考える女子大の役割」のテーマを掲げ、学生へのアンケートや学長インタビューを行い、議論を深めてきた。

 この日の発表では、受験者数が減っている現状を示しつつ、首都圏4女子大325人に行ったアンケートで、6割が第1希望を女子大にしていたことや、6割以上が、周囲に女子大進学を勧めたいと回答したことを報告した。「必要性を感じている学生は一定数存在する」と訴えた。

 発表者の一人、星名弥寿々(みすず)さん(19)は入学前、女性だけの環境でやっていけるか不安があった。しかし入学すると、多様な学生がおり、周囲から言われていた「お嬢様が通う学校」のイメージもなくなった。共学だった中学高校時代には経験しなかったリーダー役を担う経験もした。「今は入学して良かったと思う」と話す。

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就職、少子化…変わる社会

 女子大が大学として正式に認められたのは戦後だ。1948年、学校教育法の下、津田塾大(東京)と日本女子大(同)、聖心女子大(同)、東京女子大、神戸女学院大の5校が、日本で初めての女子大として開校した。武庫川女子大教育研究所(兵庫)の調べでは、翌49年にさらに25校でき、その後も学校数は増えていった。

 変化があったのは、1990年代だ。男女雇用機会均等法が施行された86年以降、女性の4年制大学進学率は毎年上昇。96年に短大進学率と逆転した。女子短大から4年制の女子大に転換する動きも目立ち始め、98年には4年制女子大数がピークの98校となった。

 大学数全体も、このころに急増する。2000年には計649校となり、それまでの10年で約140校増えた。22年現在、大学は807校。

 一方、18歳人口は92年にピークとなり、少子化が進む将来を見越して、女子大が共学化する動きも同時に出始めた。これまでに共学化した女子大は00~22年で26校にのぼる。

 武庫川女子大教育研究所の安東由則教授(教育社会学)は、女性の進学や就職への考え方が変わったことも影響しているとみる。女性が働き続けることが当たり前になり、学部選択の面からも、人文系が中心の女子大ではなく、幅広い学部がある4年制の共学大を選ぶ女子受験生が増えたのではないかと分析する。(山本知佳)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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