3時間46分、羽生善治九段の最長考記録 名人戦を語る

 将棋界の春の風物詩である名人戦。例年4月に開幕していたが、第78期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、開幕が延期になった。豊島将之名人(30)=竜王とあわせ二冠=に、渡辺明三冠(36)が挑戦する戦いは、どんな展開になるのか。名人を9期獲得し、十九世名人を名乗る資格を持つ羽生善治九段(49)に、今回の見どころや、名人戦にまつわるエピソードを聞いた。

 ――豊島名人の印象は。

 「元々地力、実力に定評がありましたが、ここ1年で一気に結果を出して、非常に充実しています。どんな形でも分析が行き届いているという印象があります。名人を獲得した後も他の棋戦で活躍していて、いい状態を維持しているのではないでしょうか」

 ――挑戦者の渡辺三冠はA級順位戦で9戦全勝でした。

 「一時期の不調を完全に脱して、すごい勝率で勝ち進んでいますし、順位戦でも全勝で、大変な記録を作っています。他の棋戦でも活躍していて、豊島さんに並んでいると言えます」

 「研究や分析に関して言うと、渡辺さんの方が『対相手』の対策の立て方が非常に洗練されている。そこが強さで、最近の結果に結びついているのかなと思います」

 ――それは、羽生さん自身も対戦して感じる部分ですか。

 「対戦していても感じますし、棋譜を見ていても研究の深さを感じることは多いです。だから毎回毎回いろんな工夫、試行錯誤をしているんだなと思います」

 ――嫌な作戦をやってくるな、と感じることもあるんでしょうか。

 「どう言えばいいんでしょうかね。自分の得意な形に持ち込む、相手の研究にはまらないようにするという戦略的なところでしょうか」

 ――豊島さんと対戦した時は、渡辺さんほど「対相手」を意識しているとは感じませんか。

 「豊島さんは、自分の中で課題の局面、やってみたい局面をいっぱい持っていて、相手に関係なくそれをやるという感じがします」

 ――新型コロナウイルス感染拡大の影響で、第1局が延期されました。

 「前代未聞の出来事ではありますが、昨今の社会情勢に鑑みればやむを得ないと思います」

 ――七番勝負にどんな影響があ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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