45歳ひきこもりの息子持つ父の独白。社会の「親子とも『甘い』」偏見に苦悩(BUSINESS INSIDER JAPAN)

中高年のひきこもり当事者が、高齢の親の病気や介護、「親亡き後」の生活困難などに直面する「8050問題」がこの数年、注目を集めている。2019年6月、元農林水産事務次官が40代の長男を殺害したとして逮捕された事件は、追い詰められる親の苦悩を浮き彫りにした。

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45歳の次男が約20年、自宅2階にひきこもっているという田中英二さん(仮名、77歳、東京都足立区在住)は、「元次官の気持ちはよく分かる」と胸の内を明かす。働かない子どもと、彼らを許す親への偏見は根強いといい、

「自分が倒れた時に、安心して息子を託せる環境は、少なくとも身近にはない」

と話した。

思い詰めた次官の気持ち理解できる

「自分への暴力は甘んじて受けるが、他人を傷つけるなら何とかせざるを得ない、という思いは、『親父』なら誰しも、多かれ少なかれあるのではないか。少なくとも、そこまで思い詰めた元次官の気持ちは理解できる」

田中さんは、元農水事務次官の長男が家庭内で暴力を振るい、近隣小学校の子どもたちを「ぶっ殺す」と発言していたとの報道を踏まえ、このように話す。

元次官のケースとは違い、田中さんの次男に暴力的な傾向は見られない。元来明るい性格で、小中学校は成績もトップクラス。スポーツも得意で生徒会活動に励み、多くの友人に囲まれていたという。

一方、「幼少期から規則を生真面目に守り、融通の利かない面はあった」と、田中さんは振り返る。

高校に入ると「足に悪いのに、うさぎ跳びをするのはおかしい」と反発して部活をやめてしまうなど、正論を曲げない性質が強まり、周囲と衝突するようになった。大学2年で、手を10分以上洗い続けるなどの「不潔恐怖」が始まり、強迫神経症と診断された。卒業後も、就職せず家にいる。

田中さんは当初、「大学まで出てどうして働かないんだ」と叱責したが、次男は黙り込むばかりだった。早く治したいと焦った田中さんが、医師に掛け合って薬の量を増やしてもらった結果、次男の意識がもうろうとして失禁してしまったこともあるという。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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