50年もつ予定が…申し込み殺到、3年で拡張 「合葬墓」なぜ人気?

 多くの人の遺骨を一緒に納める「合葬墓」への関心が高まっている。先祖から伝わる墓は管理の手間がかかり、費用がかさむが、合葬墓はこうした負担が軽いためだ。背景には、墓を継ぐ人がいないケースの増加、お墓への意識の変化などがあるとみられている。市立の合葬墓に申し込みが殺到し、急きょ収容能力を拡張したという神戸市で、実情を取材した。(鈴木春香)

「墓」のかたちが変わりつつあります。少子高齢化による継承者の不在や「自分らしさ」の選択など、時代の変化を背景に、従来とは異なる弔いのスタイルが広がっています。現場を取材し、識者に聞きました。

 神戸市北区の市立鵯越(ひよどりごえ)墓園。約200ヘクタールある西日本最大級の墓園で、現在7万体以上が収容されている。

 園内を進むと、墓石を軽トラックで運び出す作業員がいた。「『墓じまい』ですね。よくありますよ」。案内の職員が教えてくれた。

 この日訪ねた「合葬墓」は、明石海峡大橋を望む高台にあった。現在、約1万700体が共同で納められている。墓の中には入れないが、地上のモニュメントの前に献花台があり、参拝者はここで手を合わせる。

収容能力を急きょ拡張

 この合葬墓、市立墓園では初めて本格的に造られたもので、2018年度の設置以来、急速に人気を集めているという。当初の収容能力は約1万体で50年かけて使う予定だったが、申し込みが3年ほどで9千体を超えたため、急きょ拡張。現在は約2万体まで収容可能となっている。

 人気の主な理由は、管理の手間がかからず、永年使用できる点だ。50代以降のシニア層を中心に、「墓の継承者がいない」「子どもに負担をかけたくない」などの理由で、一般墓を墓じまいし合葬墓に移すケースなどが多いという。

 価格も違う。

 一般墓だと当初使用料が50…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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