72歳男性、火柱が見える家に飛び込んだ 頭よぎった消防隊員の教え

 火柱の上がる市営住宅の一室でうつぶせになっていた74歳の住人を助け出し、命を救ったとして、72歳の男性が11日、大阪府警旭署から感謝状を受け取った。白煙の中で、2カ月前に防災訓練で聞いた消防隊員の言葉を思い出したことが功を奏したという。

 3月28日午前11時前。大阪市旭区の建具職人、北野修一さん(72)は、同区高殿6丁目の集会所「高殿会館」で月に1度の高齢者の集まりに加わっていた。ふと外に出ると、数十メートル先の市営住宅から煙が上がっているのが見えた。

 「火事だ!」と思ったがサイレンの音は聞こえず、消防車が来ている様子はない。「早く何とかしなければ」という気持ちに背中を押され、市営住宅に向かって1人、走り出した。

 火元とみられる2階の一室を目指して階段を駆け上がった。玄関のドアに触れると冷たかったので「入れる」と判断。ドアノブを回すと、鍵は開いていた。

 ドアを押し開けると、上の方から熱風と白煙が噴き出してきた。奥の部屋には高さ1メートルほどの火柱も見えた。その手前で、住人の男性(74)がうつぶせになって倒れていた。

思い出したのは、あの言葉

 とっさに思い出したのは、2月上旬、町内会長として参加した防災訓練で聞いた消防隊員の言葉だった。「倒れている人を起こすのは無理だから、ぼくらはえり首をつかんで引きずり出しています」。北野さんはその言葉通りにかがみ込み、ドアが閉じないように目いっぱい体を使いながら、男性を引っ張り出した。

 ドアの前の廊下に男性を寝かせようとしたところで、足音が聞こえてきた。119番通報で駆けつけた消防隊員たちだった。安心して男性を引き継ぐと、その中にあの話をしてくれた隊員の姿もあった。「役に立った」と感謝を伝えた。

 この火災で居室の一部約10平方メートルが焼け、救助された男性は一酸化炭素中毒とのどにやけどを負ったが、命に別条はなかった。

 旭署で北野さんに表彰状を手…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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