79年前の「黒い雨」を追うジャーナリスト 謝罪から始まった取材

 79年前、米軍の原爆投下後に広島で降った「黒い雨」。その正体を探るため、雨を浴びた100人近くを訪ね歩いた。

 大学生のころ、広島で被爆者の証言を聞いた。自分の使命は「ピカドンの記憶」を伝えること――。2017年、毎日新聞社に入社し、被爆地での勤務を希望した。初任地は念願の広島支局だった。

 入社から3カ月ほど経ったころ。8月6日の平和記念式典に向けた取材中、参列予定だった県外の被爆者に電話で話を聞いた。

 「私より夫の方がひどかったのよ。夫は直接被爆で私は入市被爆だから。本当はそっちに話を聞いてほしいんだけどね」

 原爆投下後まもなく爆心地付近に入った入市被爆の人よりも、直接被爆した人たちの話を聞くべきなのでは――。電話口の女性の言葉が強く印象に残った。

 「これが黒い雨を否定していく最初のスタートになった」。小山さんは振り返る。「今思えば反省やけどね」

軽く考えていた「黒い雨」の被害

 女性に話を聞いてからは爆心…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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