9日にも残り2人を移送へ 警視庁、送還済み2人の認否「差し控え」

 フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループに関わった疑いがあるとして、警視庁は7日、今村磨人(きよと)容疑者(38)と藤田聖也(としや)容疑者(38)の2人を窃盗容疑で逮捕し、発表した。滞在先のフィリピンから引き渡しを受け、日本に移送する航空機内で逮捕状を執行した。グループのリーダー格とされる渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)は9日にも送還される見通しだ。

 グループによる被害は全国で60億円以上に上るとされる。2019年11月にフィリピン国内の拠点の一つが現地当局に摘発されて電話役の36人が拘束された。前後して4人にも逮捕状が出ていたが、摘発を免れたメンバーだったとみられ、日本側が引き渡しを求めていた。

 2人の逮捕容疑は、警察官や金融庁職員を名乗るなどして、それぞれ19年に東京都内の男女からキャッシュカードをだまし取るなどした特殊詐欺事件にグループの幹部として関わったというもの。警視庁は2人の認否について「共犯事件につき差し控える」と説明している。

 容疑者らのグループは、闇バイトで募集した電話役やキャッシュカードの受け取り役らに実行させるというのが主な手口だったとされる。すでに逮捕している実行役らの供述などから4人の関与が浮上していた。警視庁はまず、特殊詐欺事件について本格的な取り調べを進める。

 さらに、4人は昨年から各地で相次いだ強盗事件への関与も疑われている。これらの事件では、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で「ルフィ」や「キム」と名乗る人物が指示していたとされる。警視庁は4人に「ルフィ」「キム」がいるとみて、4人が収容中に使っていた携帯電話とタブレット端末計約15台をフィリピン側から引き受けて捜査する。

 渡辺容疑者ら4人はいずれも滞在先のフィリピンで同じ入管施設に収容されていた。逮捕状を取得していた警視庁は4人の引き渡しを求めてきたが、フィリピン側はまず、国内で続いていた裁判の公訴が棄却されたとして今村、藤田両容疑者の送還を決定。残る渡辺、小島容疑者の2人についても公訴が7日に棄却されたため、この2人の強制退去も決まり、9日にも日本へ移送されることになるという。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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