「非政治」を装いつつ「政治的」な最高裁 憲法の番人のあるべき姿は

 日本の最高裁は「憲法の番人」でありながら、安全保障関連法制(安保法制)や内閣の臨時国会召集など政治に深く関わる問題については憲法判断を避けてきました。背景に何があるのでしょうか。司法と政治の関係をどう考えたらいいのでしょう。様々な憲法訴訟にかかわってきた伊藤真弁護士に話を聞きました。 ――弁護士として多くの憲法訴訟の前線に立たれてきましたが、「憲法の番人」である最高裁の違憲審査のあり方をどう見ていますか。 「感覚的には、個人の尊重にかかわる憲法13条や平等条項である14条など人権にかかわる問題については、人権保障の役割を果たしてくれるようになってきたと感じています。弁護団の一人として関わった、映画『宮本から君へ』助成金不交付決定取り消し訴訟における昨年の判決でも、最高裁は表現の自由の問題として踏み込んだ判断をしてくれました」政治問題には一貫して消極的 「ところが、政治や統治機構…この記事は有料記事です。残り4559文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

カフェ退去のトラブルが拡散した施設、NPO管理から市直営に変更へ

蜷川大介2024年2月6日 19時20分 高知県土佐市立の観光交流施設(愛称・南風〈まぜ〉)で営業していたカフェと指定管理者の地元NPOが対立し、カフェ側が「理不尽な退去を求められた」とSNSに投稿して拡散された問題で、市は4月から施設運営を市直営に変える方針を明らかにした。期間は当分の間で、施設の運営・利用方法を整理するためという。5日の市議会全員協議会で説明した。 市によると、施設は国の交付金を活用して2016年に開業。土地を提供した新居地区の振興による市全体の活性化を目指し、地元NPOを指定管理者にしてきた。 東京から移住した男性らが開業当初から施設2階でカフェを運営してきたが、その後NPO側と対立。市は昨年7月にNPO、カフェとの三者協議を始めたが、NPOは初回で離脱し、復帰の呼びかけに応じない状態が続いていた。カフェは9月に退去して空きスペースとなっていた。 市は1月25日付でNPOに対し、「管理運営に関する包括協定は3月末で満了する。4月からは当分の間、市が直接管理する」という内容の通知を送ったという。(蜷川大介)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「唯一無二」の没入感 チームラボの美術館、東京・港区に9日開業

 デジタルアート集団「チームラボ」と森ビルが手がける美術館が9日、東京都港区の複合施設「麻布台ヒルズ」内に開業する。2018年から22年までお台場で営業し、盛況だった施設の後継で、プロジェクションマッピングなどを用いた50以上の作品群を楽しむことができる。 開業を間近に控えた5日、報道関係者向けに美術館「チームラボ ボーダレス」の内覧会が開かれた。プロジェクションマッピングで壁や床一面の模様が刻一刻と変化する広大なホールや、様々な色に移り変わる無数の球体群で埋め尽くされた部屋などを練り歩き、様々なデジタルアートを楽しめる仕掛けになっている。 自分が描いた魚介類の絵が、デジタルアートとして施設内の壁面などを動き回る「スケッチオーシャン」や、描いた絵をTシャツや缶バッチなどのグッズとして持ち帰れる「お絵かきファクトリー」というコーナーもある。 森ビルによると、お台場にあ…この記事は有料記事です。残り283文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「私と彼の生き方知って」 仙台の男性カップル、婚姻届に込めた思い

有料記事根津弥 吉村美耶2024年2月6日 19時43分 仙台市太白区の男性カップルが6日、区役所に婚姻届を出した。日本では同性婚が法制化されておらず、受理されない見通し。同性婚を認めないのは憲法違反だとして、14日にも、婚姻届の受理命令を出すよう仙台家裁に家事審判を申し立てる。「(性的)マイノリティーが(婚姻)制度の枠から外れている現状を受け止め、社会が変わってほしい」と訴える。 婚姻届を出したのは、「多様な性」をテーマに活動する任意団体「にじいろCANVAS」の共同代表を務める小浜耕治さん(61)と、パートナーの男性(79)。30年近く、市内で同居しているという。 小浜さんは6日に記者会見を開いた。パートナーが今後、大きな病気などにかかった際、家族として認められず、病状の説明を受けたり、パートナーの代わりに意思決定したりできない可能性があると説明。「一緒に住むマンションの相続も心配だ」として、婚姻届を出すことにしたという。 家事審判では、同性婚を認めないのは、幸福追求権を定めた憲法13条のほか、「法の下の平等」を保障した憲法14条、婚姻の自由や平等を定めた憲法24条などに違反すると主張する方針。 同性婚を巡っては、同性カップルらが国を訴えた訴訟の判決が全国5地裁で出された。いずれも国への賠償請求を退けたものの、同性婚を認めないことについては、「違憲」と「違憲状態」が各2件、「合憲」が1件と判断が分かれた。(根津弥、吉村美耶)還暦を過ぎて、将来に不安「声をあげたい」 小浜さんはこの日午前10時ごろ、区役所の戸籍住民課を訪れ、自身と同居するパートナーの男性の婚姻届を区役所職員に手渡した。 職員からは、受理するか否か…この記事は有料記事です。残り1034文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんThink Gender男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

国交労組が声明 「1人当たりの業務負担著しく増加」 羽田事故受け

 東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突、炎上し5人が死亡した事故を受け、国土交通労働組合は6日、安全体制を強化するために「早急に航空管制官の大幅な増員を実現するよう強く求める」との声明を出した。 声明は、羽田空港などを発着する航空機の数が急増している一方で、全国の航空管制官の人数が2千人前後から増えていないことから、「1人当たりの業務負担が著しく増加している」と指摘した。 事故を受け、国交省が、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を配置することにしたが、増員はなく役割分担で対応する点について「管制官の疲労管理の側面から問題視している」とした。 また、刑事責任を追及することによって事故当事者が黙秘権を行使すれば、真実が明らかにされないとして、同労組の山崎正人・中央執行委員長は「再発防止に寄与しない結果となり、悲惨な事故が繰り返されかねない」と懸念を示した。 ほかにも、SNSや一部の報道で臆測による記事が見受けられ、責任の所在につながるような論調が航空従事者に心理的負担を強いているとした。 同日、国交省の航空局長に対し、メンタルケアの対象を羽田空港職員に限らず、全国の空港職員へ拡充すること▽常時レーダー監視する人員を現場に応じて新規配置すること▽事故対策検討委員会による現場職員や同労組への意見聴取をする機会を設けること、などを申し入れた。(矢島大輔)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

日帰り診察のはずが…特急で20時間 大雪で甲信の交通に大きな乱れ

 5日の大雪は山梨県内に大きな影響をもたらした。転倒などで8人が負傷し、116校が休校した。交通も大きく乱れ、JR中央線の特急は大幅に遅延。列車内で一夜を過ごす乗客も出た。甲府市では11センチの積雪を記録し、6日、雪かきに追われる姿がみられた。運転と停止繰り返し「もうこりごり」 大雪の影響で、JR中央線では5日の特急が大幅に遅延し、列車内で一夜を過ごす乗客が出た。 長野県茅野市の女性(73)は、5日午後4時に東京・新宿駅から乗ったJR中央線の特急あずさが途中で運行取りやめになった。乗り継いだ特急かいじと合わせて5日夕方から20時間を列車内で過ごし、6日の正午ごろにJR甲府駅に着いた。一睡もできなかったといい、JR甲府駅構内のベンチで体を休めていた。 4カ月に1度の日帰り診察のため、東京の病院に行った帰りだった。 大雪の影響で遅れる、という車内アナウンスが流れたが、乗客は静かに過ごしていたという。車内は暖房がついていて、クッキーが配られたが、途中の駅で降りて、コンビニで食べ物や飲み物を買っていた乗客もいたという。 列車は夜通し、断続的に運行と停止を繰り返したという。「2時間くらいの旅のつもりが。もうこりごりです」。コートを着て、手をこすりながら、松本方面の列車を待っていた。 JR東日本によると、中央線では5日の特急あずさとかいじの上下5本が倒木や架線切れのために大幅に遅延。5日午後に出発した列車が6日昼に終着駅に着く状況だった。中央線は6日昼過ぎから運行再開した。 6日午後、JR甲府駅構内では運行状況が書かれた案内板の前に人だかりができた。東京に商談に行くという会社員男性(60)は「今日の予定がすべて飛んじゃいました」。駅構内のベンチで待ちくたびれた様子だった。山梨県内の休校116校 山梨県によると、今回の大雪で、転倒によるけがが5人、除雪作業中の負傷が3人発生し、うち1人が足の骨折で重傷という。また、大月市で3カ所、上野原市で1カ所の避難所が開設された。 県教育委員会のまとめでは、6日は北杜市、富士吉田市、都留市、富士河口湖町など17市町村の高校や特別支援学校、中学校、小学校合わせて116校が休校となった。甲府、南アルプス、甲斐、甲州市などでも150校が始業時間を遅らせる措置を取った。 県警によると、雪によるスリップ事故は5日の降り始めから6日午後4時までに、軽傷事故2件、物損事故119件。交通企画課は、スタッドレスタイヤ装着や、車間距離を十分に取るようよびかけている。 甲府地方気象台によると、県内で発令された大雪警報や注意報は6日までに解除された。6日、甲府市で11センチ、富士河口湖町で25センチの積雪を記録。南岸低気圧が日本の東に抜けたため、天候は今後回復するという。7日明け方も放射冷却になる見込みで、路面凍結の恐れがあるといい、気象台が注意をよびかけている。(羽場正浩、棟形祐水)落雪に注意呼び掛け 積雪があった甲府市の中心部では6日、午前中から住宅や店舗の前の雪かきをする人の姿が見られた。 スコップや雪かき用シャベルなどの道具を使い、歩道の雪を電信柱の根元などに寄せて通路を確保していた。雪遊び半分ではしゃぎながら手伝う子どもらの一方で、大人たちは、水を含んだ重い雪に、顔をしかめたり、腰を伸ばしたりしながら作業する人もいた。 商店の中には、開店時間を遅らせたり、高所からの落雪に注意を促したりする掲示を店先に出しているところもあった。(三宅範和)長野県内 6日夕も一部高速道の通行止め続く 長野県内は5日から6日にか…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

マンション死体遺棄、検察「客の女に頼まれ決行」 元ホストの初公判

高橋俊成2024年2月6日 21時02分 名古屋市中区新栄2丁目のマンション一室で昨年11月、住人の古物店経営阿部光一さん(42)の遺体が見つかった事件で、死体遺棄罪に問われた元ホストクラブ店員小山直己被告(23)の初公判が6日、名古屋地裁であった。被告は「一切関わっていません」と述べ、無罪を主張した。 検察側は冒頭陳述で、小山被告が昨年10月4日、常連客だった内田明日香被告(30)=同罪で起訴=に阿部さんの遺体を隠すのを手伝って欲しいと頼まれ、2人でクローゼットに遺棄したと指摘。阿部さんが同9月29日に自宅でロープなどで拘束された状態で死亡したとしたが、死亡の原因については言及しなかった。 事件に至る経緯も説明。内田被告は昨年3月ごろにホストクラブに通い始め、約4カ月後に小山被告と出会った。その後も通い続け、小山被告を店でナンバーワンホストにしようと多額の現金を費消。阿部さんの死亡当日は小山被告の店の締め日で、事前に来店を約束していたという。 内田被告はこの日夕方にロープなどを同市内で購入した上で、知人の阿部さんと合流したとも指摘。その後阿部さん宅に一緒に入室し、夜には外出して小山被告の店で多額の現金を使ったという。内田被告の初公判は今月8日に予定されている。(高橋俊成)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

天皇誕生日の一般参賀実施へ 事前申し込み不要 宮内庁発表

多田晃子2024年2月6日 20時00分 宮内庁は、23日に天皇陛下の64歳の誕生日を祝う一般参賀を皇居・宮殿東庭で行うと発表した。 陛下は皇后さま、皇族方とともに3回、長和殿のベランダに立つ。時間は午前10時20分ごろ、同11時ごろ、同11時40分ごろを予定しており、参賀者は午前9時半~同11時20分に皇居正門(二重橋)から入る。記帳は午後0時半~同3時半に坂下門から入る。事前申し込みは不要。午前の参賀者が多数の場合、午後の記帳に案内することがあるという。 能登半島地震を受け、新年一般参賀は中止した。天皇誕生日の一般参賀については、被災状況に深く心を痛め、被災地を心配している天皇、皇后両陛下のお気持ちを踏まえて慎重に検討を重ねてきた。 天皇誕生日は国民の祝日で、一般参賀は人々からの祝賀に応える大切な行事であることや、過去の例などに鑑み、実施することにしたという。(多田晃子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

東京都心で9センチの積雪、大学入試や動物園、雪の影響あちこちに

有料記事太田原奈都乃 藤田大道 本間ほのみ 伊藤あずさ2024年2月6日 20時00分 東京都内では6日、前日から降り積もった雪による交通機関の乱れや休校、入学試験スケジュールの変更などが相次いだ。都心では6日午前9時までの24時間で9センチの降雪量が観測された。 朝のJR新宿駅。遅延や運休が相次ぎ、窓口には払い戻しや最新の情報を求める人の長い列ができた。甲府市から出張中だった建設業の風間透伊さん(59)は、5日夕の新宿発の特急「あずさ」で帰るはずが遅延が続き、結局運休に。車両内の座席に横になり、一晩を過ごした。車内は暖房がきいていたが「足元がスースーして寒かった」。乗務員からはお茶とおにぎり2個が配られた。結局列車は回送になり、午後の切符を改めて予約。「月1回は東京に来ているけどこんな体験は初めて。どこかで時間を潰して仕事を片付けます」 大雪に戸惑う外国人観光客の姿もあった。台湾から旅行中の銀行員の羅嘉良さん(26)は富士山を望む山梨県内の旅館に泊まる予定だったが、バスの運休で都心のホテルに変更した。「東京でこんなに雪が降るなんて、めったにないことでしょう。予定がめちゃくちゃだけど、これも旅かな」 八王子市中心部の住宅街では…この記事は有料記事です。残り873文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「春にはウクライナへ」故郷・三重に娘2人と避難して2年、母の決断

亀岡龍太2024年2月6日 20時00分 2022年2月のロシアの侵攻からまもなく2年。侵攻直後にウクライナの首都キーウから故郷の三重県内に避難してきた浅井絵利香さん(37)がこの春、ウクライナ人の夫(39)が残るキーウに幼い娘2人と戻る決意を固めた。 浅井さんは地元の高校をへて金沢大学を卒業。ウクライナから京都大学に留学していた夫と金沢市内で出会って結婚した。大阪府吹田市で約8年間暮らし、2児を授かった。21年春、キーウに家族で移り住んだが、侵攻直後の22年3月に郷里に避難。その後は夫と連絡を取りながら育児に追われる多忙な日々を送る。 「戦争状態は1カ月ぐらいで終わるのではないかと帰郷時は期待したが、長期化してしまった」と言い、戻るタイミングを慎重にはかってきた。実際は今も現地で武力衝突が続き、外務省は渡航中止を含む「退避勧告」を出したままだ。しかし、浅井さんは「現地は危険がゼロではないが、成長する子どもたちとともに、家族で過ごす時間を大切にしたい」。 昨年7~8月、母子でキーウに一時帰国した。夫や義母と再会し、無事を喜び合った。ロシアのミサイルを撃ち落とす防空システムは機能していた。周辺の建物などはあちこちで破壊されていたが、自宅は被害を免れ、一部で復興の動きもみられた。ただ、近くの公園では体が傷ついた人の姿が目立った。 6歳と4歳の娘は現在、幼稚園の年長と年少クラスに通う。秋に新学期となるウクライナでは、長女は昨年9月から小学校に進学するはずだった。しかし、それに合わせて戻ることは見送った。 夫は兵役があって出国できないという。「長引く戦争で、彼にいつ召集がかかるか分からない。娘は夫といると気持ちが安らぐようで、今、少しでも長い時間を一緒にいられるようにしたい」と浅井さん。ただ、ロシアはインフラを攻撃対象として狙うことが多いという。現地は厳しい生活を余儀なくされることも予想され、いつまでいられるかは不透明だ。「現地の状況次第では日本にまた戻る可能性もある」 浅井さんは4日、そんな思いや昨夏のキーウの状況などを地元で報告。「ウクライナは今の困難を乗り越え、日本を含む世界各地からの支援にお返しをできる日がくると信じている。長く見守ってほしい」と訴えた。(亀岡龍太)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル