「自然が気に入ったのにがっかり」原発被災地、太陽光発電施設に悩み

 東京電力福島第一原発事故の被災地で、原発に頼らない再生可能エネルギーの普及に努める福島県楢葉町が、町内の太陽光発電施設の急増に頭を悩ませている。町が魅力とうたう里山の原風景が損なわれることもあり、悲願の住民帰還や新規転入を促すのにマイナスとなりかねないためだ。10日には住民代表や有識者らの検討会を立ち上げた。 「豊かな自然を気に入って移住してきたのに、家の前に太陽光発電施設ができてがっかりした」。町には直接的、間接的にこんな声が寄せられている。 町によると、特に町西部の山沿いの地域で太陽光発電施設が次々に造られているという。設置を町への届け出制にした昨年5月からのほぼ1年間だけでも、計画は124件にのぼる。 南北に走る国道6号から西側…この記事は有料会員記事です。残り488文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

神社のさい銭、お店のお釣りに… 両替がつなぐ縁、背景に困った事情

 寺院や神社に集まったさい銭を、商店で出すお釣り用に両替する動きが広がっている。集まった小銭を紙幣に替えたい寺社側、お釣りの小銭が欲しい商店側。両替は双方にとって好都合という。動きが広がる背景には、金融に関する近年のある変化があった。 「いやあ助かりますわ。うちは現金のお客さんなんでお釣りがないと困ります」 大阪府大東市の野崎観音(慈眼寺)を訪れた巽泰子さん(47)が、顔をほころばせながら言う。「お役に立てるならこちらもうれしいです」。和尚の杉山雄峰さん(50)も笑顔だ。頭抱える寺社と商店 解決策に…… 巽さんは野崎観音近くの野崎参道商店街でパン店を営む。今年初め、「どうしよう」と頭を抱えた。近くの金融機関が2月、小銭に両替する際の手数料を引き上げるという。硬貨11枚以上だと手数料が660円以上かかる。「1円を両替しただけで結構な赤字や」 地域に根ざし、お年寄りのお…この記事は有料会員記事です。残り1274文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

熱海土石流 前・現所有者きょう証人尋問、参考人証言と食い違う主張

 静岡県熱海市で昨年7月に発生した土石流災害を調べる市議会調査特別委員会(百条委員会)は12日、起点とされる盛り土があった土地の前・現所有者を証人尋問する。盛り土に対する危険性の認識や造成の経緯、安全管理の問題などが問われる見通しだ。 県や市によると、盛り土は神奈川県小田原市の前所有者が2007年に市に届け出た計画に基づいて造成された。ただ、盛り土の高さは計画の3倍超の約50メートル、土砂の量も約2倍の約7万立方メートル超で、防災対策も不十分だったとされる。 土地は11年2月に現在の所…この記事は有料会員記事です。残り474文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「架け橋」になるはずが……ロシア入国禁止とされた研究者は思う

 ロシアとウクライナ、その双方の架け橋になりかった。それなのにまさか、入国禁止とは――。ロシア外務省が5月4日に発表した措置について、両国と長く交流を続けてきた研究者が心境を語った。 ウクライナ研究で知られる神戸学院大教授の岡部芳彦さん(48)。岸田文雄首相や林芳正外相、報道関係者ら63人の「入国禁止リスト」に自分が入っていることを知ったのは、大型連休のさなかだった。 「子どもと映画館でアニメを見ていて、終わってスマホの電源を入れたら、着信やメールが30件ぐらい来ていたんです」 ウクライナに住む日本人の友人からのメールには、「リスト入りおめでとうございます」とあった。「何のことですか?」。そんなやりとりをして、事態をのみ込んだ。 「ただただ驚いたし、ショックでした」 だが、リストに入った面々を見渡せば、原因はうかがえた。 スポーツジャーナリストの二…この記事は有料会員記事です。残り1573文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「融資を」 2日続けて窓口を訪れた女性、銀行員コンビはピンときた

 その女性は2日続けて銀行を訪れ、融資を求めた。行員が理由を尋ねても、女性は話さない。初日は行員に促されて帰ったが、翌日もまたやってきた。「これは詐欺だ」。ピンときた行員らの説得で女性は詳細を語り出し、被害を未然に食い止めることができた。 女性の詐欺被害を防いだのは、南都銀行(奈良市)行員の松島温(あつし)さん(40)と楠田幹喜(かんき)さん(23)。 奈良県警奈良署や2人によると、今年3月9日、40代女性が同行南支店(奈良市)の窓口を訪れた。60万円ほどの融資を希望していた。融資担当の楠田さんが応対した。ところが困ったことに、お金が必要な理由をなかなか明かしてくれない。家族にも内緒だという。 「詐欺かもしれない」。頭によぎった楠田さんは、女性に考え直すよう促した。女性は「頭を冷やします」と銀行を後にした。 丸く収まったかのように見え…この記事は有料会員記事です。残り925文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

芸備線「前提ない議論を」踏み込んだJR西 「廃線も?」地元反発

 JR西日本は11日、広島と岡山の山あいを結ぶJR芸備線について「特定の前提を置かない議論を速やかに開始したい」と沿線自治体に申し入れた。同線の一部区間は利用者低迷が深刻化している。廃線やバス転換などの可能性も含む提案で、両県では動揺や反発が広がっている。廃線の可能性を示唆 11日、岡山県新見市で開かれた芸備線の利用促進検討会議。その最終盤、JR西岡山支社の須々木淳副支社長が沿線自治体の幹部を前に突然切り出した。 「鉄道は地域のお役には立てていない。前提を置かず、将来の地域公共交通の姿について速やかに議論を開始したい」 須々木氏は会議終了後、記者団の取材に「今後の議論の進め方について問題提起をした」と説明。選択肢に廃線が入るのかとの質問に対しては「いろんな可能性を含めて、議論させて頂きたい」と語った。 過去には広島と島根をつなぐJR三江線で、JR西が「持続可能な公共交通の実現に向けた検討」を自治体側に申し入れ、最終的に廃線となった経緯もある。このため、自治体側には「前提を置かない議論」への警戒感が強い。 「利用促進にしっかり取り組…この記事は有料会員記事です。残り1195文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

警視庁の警察犬、新たに骨のようなもの二つ見つける 山梨・道志

 山梨県警は11日、子ども用の靴などが見つかった同県道志村の山中で、新たに人の骨のようなものを二つ発見したと発表した。付近では2019年に千葉県成田市の小学生、小倉美咲さん(9)が行方不明となっており、県警が遺留品などの捜索を進めている。 県警によると、二つの骨のようなものは靴などが見つかった沢付近で発見された。10日から応援に入っている警視庁の鑑識課員と、骨などを捜索する特殊な訓練を受けた警視庁の警察犬(シェパード)が見つけたという。 人の骨と確定すれば、DNA…この記事は有料会員記事です。残り217文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

漏洩、再就職の見返りか 防衛局元課長、省OBの後任予定

 航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)の施設工事をめぐる官製談合事件で、逮捕された防衛省近畿中部防衛局の元建築課長、稲垣正義容疑者(60)=沖縄県浦添市=が、入札情報を漏らした同省OBの建設会社側に定年退職後に再就職する予定だったことが、捜査関係者への取材で分かった。愛知県警は、稲垣容疑者が自身の再就職も入札情報を漏洩(ろうえい)した動機の一つだったとみて調べる。 官製談合防止法違反などの疑いで10日に逮捕されたのは、稲垣容疑者と同省OBで「アイサワ工業」(岡山市北区)の社員、村上泉容疑者(65)=東京都世田谷区。 防衛省などによると、村上容疑者は同省の東海支局建築課長だった2018年に退職。翌19年4月からアイサワ工業で顧問を務めていた。一方、問題となった20年11月の一般競争入札の際、稲垣容疑者は近畿中部防衛局の建築課長に就いていた。入札の対象となった電子戦評価技術の研究施設の新築工事で、予定価格を積算するなど実務を取り仕切っていた。 捜査関係者によると、村上容疑者は再就職から数年したら顧問を退く予定で、後任には今年3月に定年退職した稲垣容疑者が就く計画だった。最初に入札情報を漏らしたとされる20年9月より前にこの取り決めが交わされたとみられ、県警は稲垣容疑者が見返りとして情報を漏らしていた可能性があるとみている。 アイサワ工業は朝日新聞の取材に代理人弁護士を通じて「ノーコメント」とした。 両容疑者が都内の居酒屋で情…この記事は有料会員記事です。残り154文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

反対派の言葉にはっとした 目を背けたい歴史、見えなくなった本土

 久保田美奈穂さん(43)は11年前、茨城から沖縄に避難した。 澄んだ空、きれいな空気。ただ、安全だと信じて逃げた沖縄には米軍基地があった。イメージになかった存在。なぜ自分たちは知らなかったのだろう――。 2011年3月11日、突然の強い揺れに襲われた。茨城県内の自宅の壁にひびが入り、水道管から水が漏れた。車で寝泊まりし、親戚の家にも身を寄せた。 4月には自宅に戻れたが、東京電力福島第一原発事故が不安だった。「子どもの健康に影響はないだろうか」。ネットで放射性物質について調べ、役所に「放射線量を測定してほしい」と掛け合ったが、部署をたらい回しにされたあげく、「モニタリングポストで管理しているから大丈夫」と言われただけだった。 周りの友人も「気にしていたら、ここでは生きていけない」と諦めている人が多かった。「ここじゃない場所では普通の生活をしているのに」。そう思うとやりきれなかった。 その年の6月、2人の子どもを連れて沖縄へ向かった。荷物はスーツケース一つだけ。少しでも原発から離れられれば。「少し早い夏休みのような感じだった」 英語の看板、幹線道路の横に延々と続くフェンス。沖縄では連日、米軍基地への抗議活動がニュースで流れていた。 生まれ育った神奈川県にも、米軍基地はたくさんあった。高校時代に一度、厚木基地に行ったことがある。ホームパーティーに招待され、外国に行ったみたいで楽しかった。 「沖縄のことを、自分は何も知らないのかも」 避難した翌年、反対運動の現場となっていた一つ、ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)の移設が計画されていた米軍北部訓練場(東村など)を訪れた。座り込みを続ける人たちが頭にタオルを巻き、サングラスをかけた姿は異様に見えた。 でも、思い切って話しかけた…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

娘に「わいせつ」問われた父親に無罪判決 判決「供述信用性に疑い」

 実の娘への準強制わいせつ罪に問われ、一審の実刑判決が控訴審で破棄された父親に対する差し戻し審の判決が11日、津地裁であった。四宮知彦裁判長は「被害者の供述の信用性には疑問が残る」として一転して無罪の判決を言い渡した。 父親は、2019年8月に就寝中の娘(当時14)にわいせつな行為をしたとして起訴された。父親は捜査段階から一貫して無罪を主張していたが、一審・津地裁四日市支部は20年11月、「被害者の証言は全体として高い信用性を有する」として、懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡した。 だが、名古屋高裁は昨年3月、一審が被害者の初期の供述を記録した児童相談所職員による司法面接の映像の証拠調べを却下したことを疑問視し、「審理が尽くされていない」として、津地裁に差し戻した。 差し戻し審判決は、司法面接や公判での被害者の供述を検討。わいせつ被害の際の体勢が不自然なことや、被害時の痛みに関する供述が二転三転したことなどについて、「看過できない不自然かつ不合理な変遷が複数見られる」と判断し、父親が犯行を行ったと断定できないと結論づけた。 判決後、父親は「裁判所の結…この記事は有料会員記事です。残り111文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル