理念ゆるがす「蟻の一穴」に 法律家になる「一発勝負」が残った背景

 法曹養成の「プロセス」を重視する法科大学院構想をめぐり、それと相反する選択肢が議論されていた。「予備試験」制度である。法科大学院で学ぶことが難しい人のための例外的措置だったはずのものがいつの間にか変質し、結果的に法科大学院の理念を揺るがせる「蟻(あり)の一穴」となっていく。連載第4回は、この制度をめぐる議論を追う。 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手にてんびんと剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。司法制度のあり方を考える「テミスの審判」第2部のテーマは、改革の中核とされた「法科大学院」。新しい法曹養成制度として期待されながらも、紆余(うよ)曲折を経て岐路に立つ現状を、制度設計に関わった人々の証言から浮き彫りにする。 学生と教員が議論しながら知識や論理的な思考力を養い、プロセス重視の仕組みへと転換させる――。法科大学院構想は、こうした理念を骨抜きにしかねない仕組みを内側に抱えていた。「予備試験」だ。 この試験に受かれば司法試験の受験資格を得る制度で、法科大学院に進学しなくても法律家になれる、「バイパス」としての性格を持つことになる。 司法制度改革審議会が中間報告をまとめる直前の2000年10月24日。法科大学院の修了を司法試験の受験資格とすることについて、懸念が委員から示された。例外的な措置のはずだった 主婦連合会事務局長の吉岡初…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「すべて終わったよ」森元首相は記者に告げた 保守分裂知事選の意味

 数日ぶりに晴れ間が広がった3月20日の昼下がり。JR金沢駅から南約5キロにある金沢市営球技場のスタンドは、熱気に包まれていた。 この日、石川県ラグビーフットボール協会の創立70周年の記念試合として、県選抜チーム「オール石川」と早稲田大学ラグビー部の対戦があった。 スタンドは、早稲田大学の関係者や県内のラグビーファンで埋め尽くされ、立ち見客が出るほどの盛況ぶりだった。ラグビーよりも、観客席の「重鎮」に注目 だが、私のお目当ては試合ではなかった。試合中、視線は、グラウンドではなく、正面スタンド上部に陣取ったスーツ姿の関係者席に、釘付けになっていた。 石川県出身の森喜朗元首相(84)が、観戦していたからだ。 同大OBで、日本ラグビー協…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

6年に1度の御開帳・御柱祭、今年は同時期開催 あの柱にも感染対策

 善光寺(長野市)の御開帳と、諏訪大社(諏訪市など)の御柱祭が4月から、ほぼ同時期に開催される。ともに6年(数えで7年)に1度の開催だが、新型コロナ禍で昨年予定されていた御開帳が1年延期されたためだ。相乗効果で集客アップを期待する声もあるが、一部行事が縮小・中止となるなど感染対策との両立を図りながらの開催となる。まちのにぎわいと人の交流を取り戻す1年に 4月3日から始まる御開帳は、秘仏の本尊の身代わりの「前立(まえだち)本尊」が公開される。密を避けて分散参拝を促すため、期間を1カ月延長して6月29日まで過去最長の88日間開催。この間、前立本尊の右手と金糸で結ばれる高さ10メートルの回向柱が本堂前に建立され、触ると御利益があるとされるため、参拝客が殺到する。 善光寺はコロナ対策として…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

夏の風物詩「秋田竿燈まつり」3年ぶり開催なるか 感染対策を検討中

 2019年まで毎年夏に催され、コロナ禍の20、21年は中止となった秋田市の夏の風物詩「秋田竿燈(かんとう)まつり」について、主催者の実行委員会(会長=穂積志市長)は、今年は3年ぶりの開催を目指して準備を進めている。観客の密集を避けるため、沿道の有料観覧席を約2割減らすことなどを検討中だ。開催の可否は4月下旬に判断する。 24日、実行委の役員会が開かれ、感染症対策の強化を盛り込んだ事業計画案を来月の総会で議論する方針が決まった。 役員会の後、取材に応じた穂積市長は、新型コロナウイルスの感染状況が開催の判断に与える影響について「県独自の感染警戒レベルが(5段階中の)『4』なら中止。『3』以下なら実施の方向で準備したい」と話した。 現時点での案によると、今年のまつりの会期は、竿燈大通りを会場とする夜本番が8月3~6日、エリアなかいちにぎわい広場での妙技会が同4~6日。恒例の市民パレードは中止するが、竿燈の本数は例年通り280本前後を維持する。 感染症対策では、演技者と観…この記事は有料会員記事です。残り296文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

川渡る山笠、やろうと思ったけど……「密」まだこわい担ぎ手たち

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春が来たら・・・キュキュのお腹に浮かんだハートマーク その訳は

2022年3月25日 7時30分 福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」に大きなハートマークがおなかに現れたケープペンギンが登場し、「かわいい」と人気になっている。 メスのキュキュ。春を迎えて、古い羽が抜けて生え替わる中、飼育する27羽のうち、キュキュだけがきれいなハート形をしているのを、飼育係が見つけた。 どんどん生え替わり、いつまでハートの形をとどめているか分からない。担当者は「見れば、いいことがあるかもという気分になります。お早めに」。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「女性としての自分貫く」通称名利用求め、市議会動かした若者の思い

 東京都清瀬市議会は24日、性同一性障害のある人が住民票などの公的書類に「通称名」を記載できるよう、国会と政府に法改正を求める意見書を全会一致で可決した。戸籍上の性別と異なる性自認をもつ1人の若者が、陳情という手段から社会を変えようと起こした行動に、市議会が応えた。 市内に住む通称名、北村由衣さん(24)。本会議を傍聴席で見守り、自身の陳情が採択された後に議会の意見書が可決されると、深々とお辞儀をした。 「よかったー」 オンラインゲーム仲間で一緒に傍聴した栃木県の友人(19)に笑顔を見せた。 北村さんが市議会への行動を思い立ったのは昨秋のこと。文京区から清瀬市に転居したのを機に、「女性としての自分」を生活の中で貫いていくと決めた。 だが、住民票や免許証、マイナンバーカードと、本人確認の証明になる公的な書類では、男性である戸籍名がついて回った。健康保険証は、2017年の厚生労働省通知で通称名の利用が認められたが、顔写真がつく免許証などは法改正が必要だとわかった。 道を開くため、国会への働き…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

選考会議が第三者委を設置 大阪公立大の付属病院長未定問題

安井健悟2022年3月24日 20時00分 大阪府立大と大阪市立大が統合して4月に開学する大阪公立大の医学部付属病院の新院長が決まらない問題で、市大の現学長を院長候補に推薦した選考会議が24日、第三者委員会を設置した。選定の手続きを検証するという。 選考会議は1月下旬、市大学長の荒川哲男氏を候補に選んだ。だが公立大学法人大阪は「ガバナンス上ふさわしくない」として認めず、今月22日には西沢良記理事長名で再選考を依頼する文書を送っていた。 第三者委のメンバーは弁護士や医師ら外部の有識者3人。今後、これまでの会議の議事録を確認したり関係者にヒアリングをしたりして、選考に問題がなかったかを検証するという。 選考会議の河田則文議長は24日の会見で、荒川氏と他候補を経歴や見識などの観点から比較した上で選任したと説明。「規程をしっかり守った上で選考をやってきた。現学長が病院長に就任することは何ら問題ない」と語った。また、「理事長が政治的判断で病院長不在の混乱をもたらすことは極めて問題」とも訴えた。 一方、西沢氏は荒川氏が現職の学長であることについて、「市民感覚からすれば、『横滑り』のように映るのではないか」としている。(安井健悟)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

警察官によるヤジ排除は適法か 問われる表現の自由 25日判決

 3年前の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした男女2人が、警備をしていた北海道警の警察官に違法に排除され、憲法で保障された表現の自由を侵害されたとして、北海道に慰謝料などを求めた訴訟の判決が25日、札幌地裁で言い渡される。争点は、表現の自由との兼ね合いで警察の警備がどこまで認められるか。判決がヤジと表現の自由との関連に言及するかも注目される。 原告は、団体職員の男性(34)と、当時大学生だった労働団体職員の女性(26)=いずれも札幌市在住。 訴状によると、2019年7月15日、原告男性はJR札幌駅前で自民党候補の応援演説をしていた安倍氏に「安倍やめろ」とヤジを飛ばし、複数の警察官に後方に排除された。その後、近くにいた原告女性は「増税反対」と叫んだあと、20メートル以上後ろに移動させられた。さらに男性は札幌三越前の演説会場でも安倍氏にヤジを飛ばし、約50メートル移動させられたという。 原告側は「政治批判の声を政府の最高責任者にぶつけるまれな機会を違法に奪われた」と主張。男性は当時、警察官に「選挙の自由を妨害してはいけない」などと説明されたといい、判例などから演説に支障をきたさない程度のヤジは公職選挙法上の自由妨害罪に当たらないと指摘した。 これに対し道警側は、警察官職務執行法に基づき、トラブルや犯罪の予防のため原告を移動させたと主張した。同法4条は、危険な事態があって急を要する場合、警察官は関係者を避難させられると規定。5条では、犯罪が行われようとしている場合、予防のため制止することを認めている。 最大の争点は、原告らがヤジを飛ばした際、警察官による排除が必要なほど危険が迫っていたかどうかだ。 証人尋問で道警警察官3人は…この記事は有料会員記事です。残り759文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

京急踏切事故で列車運転士を不起訴に 横浜地検「過失は比較的軽微」

 横浜市の京急本線の踏切で2019年にトラックと列車が衝突し、1人が死亡し、31人が負傷した脱線事故で、横浜地検は24日、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険の両容疑で書類送検された列車の男性運転士(30)を不起訴処分(起訴猶予)とし、発表した。 事故は19年9月5日午前、横浜市神奈川区の踏切で発生。踏切に入ったトラックと列車が衝突し、トラックの男性運転手(当時67)が死亡し、乗客ら31人が重軽傷を負った。 地検はトラック運転手側にも…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル