緊急事態宣言下で行われた首都圏の中学入試。新型コロナの感染予防のために受験校数を絞り込む動きが広がったが、一般入試全体の実受験者数は微増したとみられている。午前中に他校などを受験した後に受けられる「午後入試」を新設した学校には、特に人気が集まった。(宮坂麻子、松沢奈々子) コロナ禍「早く合格決めたい」 東京都と神奈川県の中学の一般入試がスタートした2月1日の午後2時すぎ。算数、国語の2教科の午後入試を新たに設けた独協中(東京都文京区)の正門前に、同校や他校の午前の入試を終えた受験生と保護者が、次々と集まってきた。 長男を連れてきた大田区の父親(44)は「午前の第1志望校は(難関の)『チャレンジ校』なので、午後入試ができてありがたい。コロナ禍もあるので、できるだけ早く合格を決めたい」と話した。 杉並区の母親(42)は、ラッシュ時の移動で感染することを懸念し、前夜は近くのホテルに宿泊して本番に備えた。息子は医師にも興味があり、塾からのすすめもあって独協中を受験させた。「国算の2教科だけなので受けやすい。感染も怖いし、できれば2月1日で入試を終えたいので、きょう合格すれば他校は受験しないかも」と語った。 拡大する2月1日にあった独協中学の午後入試。午前中に他校を受験してから来る受験生もいた=2021年2月1日午後1時56分、東京都文京区、宮坂麻子撮影 この日の独協中の午後入試は、定員約20人の28倍にあたる562人が受験。合格者は233人で、最終的に45人が進学を決めた。 「午後入試を導入したことで、本校に目を向けてくれる受験生が増え、波及効果で午前の入試も受験者が増えた」と坂東広明教頭。来年度には、独協高と独協埼玉高(埼玉県越谷市)を対象に、独協医科大への計10人以内の系列校推薦枠が設けられる。「教育内容もあわせて充実していきたい」と意気込む。 2019年度に共学化した桐蔭学園中等教育学校(横浜市)は昨年も、2月1日に午後入試をしたが、今回、2日も試験時間を午前から午後に切り替える形で、午後入試を行った。その結果、今回の2日午後入試の受験者数は299人になり、午前だけだった昨年の2日入試の受験者124人の2倍以上に増えた。1日の午後入試も、昨年の1・5倍以上の554人(定員70人)が受験したという。 拡大する1教室につき受験生は20人と例年の半分に。受験生は1席おきに着席した=2021年2月2日午後2時45分、横浜市青葉区の桐蔭学園中等教育学校、松沢奈々子撮影 川崎市の男子児童は、1日午前と午後、2日午後の計3回、同校を受験。1日午前で合格は得たが、2日午後は特別奨学生狙いで受けた。「アクティブラーニングの授業が魅力で志望した」という。同校の午後入試は入試直前まで出願でき、前日に出願して受験する児童もいた。 入試対策・広報部の河原利行次長は「コロナ禍で受験者数が減らないか心配していたが、新たに2日午後入試を設けたこともあって、全体として想定以上に受験生が集まった。午前に上位校を受験した優秀な生徒を取れるのは魅力だ」と話す。 このほか、2月1日に午後入試を新設した神奈川大付属中(横浜市)、2月1日以外は午後入試にした広尾学園小石川中(文京区)も、定員を大きく超える人気となった。 拡大する感染防止用の透明なシート越しに受け付けをする受験生ら=2021年2月2日午後2時49分、横浜市青葉区の桐蔭学園中等教育学校、松沢奈々子撮影 全体の実受験者は微増か…
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