根性焼きされ大学退学…甲子園Vの元主将が罪を犯すまで

 千葉県八街市で2019年、強盗目的で住宅に侵入し住人にけがをさせたとして、強盗致傷などの罪に問われた無職千丸(ちまる)剛被告(21)の裁判員裁判の論告求刑公判が28日、千葉地裁であった。検察側は懲役6年を求刑。弁護側は「再犯の可能性は低い」として執行猶予付きの判決を求めた。判決は2月4日の予定。  千丸被告は、花咲徳栄高(埼玉)が2017年夏の甲子園で優勝した時の主将。共犯とされる20代の被告の男3人には、懲役7~11年が求刑された。  検察側は論告で、千丸被告が他の被告と現場に向かう車内にいた約4時間で、強盗と知らされていなかったのは不自然と指摘。「女性を押さえつけるなど積極的に参加している。公判で自らの高校時代の活躍を雄弁に語った一方、真摯(しんし)な反省をしていない」とした。  弁護側は、千丸被告は強盗とは聞かずに参加し、犯行前に「逃げたらヤクザに家族が狙われる」などと脅されたと主張。現場でも恐怖のあまり、指示をされても女性に暴行できなかったとして、「最も役割は小さい」とした。  起訴状によると、4人は金品を奪う目的で、19年4月26日夜、八街市の住宅に侵入。バールでこの住宅に住む夫を殴るなどし、頭蓋骨(ずがいこつ)骨折など全治約3カ月の重傷、妻の額に全治約10日の切り傷の軽傷を負わせたなどとされる。(福冨旅史) 被告が語った1年半の経緯  2017年夏に甲子園の頂点に立った球児が、強盗事件の被告として法廷に立った。わずか1年半の間に何があったのか。27、28日の被告人質問で一端が明らかになった。  千丸被告は高校卒業後の18年… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

資本主義は「もう限界」コロナに地球破壊、立て普通の人

 頻発する異常気象や猛威をふるう新型コロナウイルス……。地球環境の異変が世界中の人々を苦しめています。経済思想家で大阪市立大学准教授の斎藤幸平さん(34)は、危機を乗り越えるためには、無限の経済成長を求める資本主義システムでは限界があると、最新著「人新世の『資本論』」で指摘しました。環境保全と経済成長は両立できないのでしょうか。話を聞きました。  ――書名にある「人新世」とはなんですか?  人間の経済活動が地球環境を徹底的に破壊する、「人新世」と呼ばれる年代に突入した、と言われています。地表はビルや工場、道路、農地など人類の痕跡が覆い尽くし、海洋にはプラスチックが大量に浮遊し、大気中の二酸化炭素も激増しています。この状況を新しい地質年代として呼ぶことが提案されています。その破滅的な影響は、修復困難なほど大きくなっています。そのひとつが気候変動です。  ――毎年のように異常気象による災害が起き、気候変動の影響が指摘されていますね。 「犠牲になっているのは、環境だけでなく、労働者である私たち自身でもある」。大転換となる資本主義システムの見直しは、可能なのでしょうか。「人新世の『資本論』」の斎藤さんが論じます。  日本のような先進国でもスーパ… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

騒動相次ぐ国立大トップ 選考の全権担う会議の功罪

記者解説 社会部・土屋亮  国立大学でトップをめぐる騒動が相次いだ。文部科学省は総長や学長のリーダーシップの強化を求めるが、混乱が目立っている。  前代未聞の事態が起きたのは北海道大だ。文科相が昨年6月、職員らへのパワーハラスメントがあったとして総長を解任した。2004年の国立大の法人化以降、トップの解任は初めてのことだ。  昨年10月にあった東京大総長と筑波大学長の選考では、選考過程が不透明だとの批判が教職員から噴き出した。東京大は第三者委員会を置き、検証を委ねた。  法人化で国立大は文科省の付属機関ではなく独立した存在になった。背景には財政再建に伴う教育予算の削減がある。法人化以降、人件費や研究費にあてる補助金は1割減り、外部資金の獲得を求められるようになった。14年の法改正ではトップの権限が強まり、「象徴から経営者へと役割が変わった」(学長経験者)という。  そこでポイントになるのはトップ選びの全権を担う選考会議の存在だ。法人化と同時に導入された制度で、メンバーの半数を学外の企業経営者らが占めている。  東京大と筑波大では、この選考会議のあり方が問われた。東京大では1次候補10人を2次候補3人に絞り込む過程が反発を招いた。投票で上位だった候補が外れる一方、工学部系の2人が残り、工学部出身の小宮山宏・選考会議議長(三菱総合研究所理事長、東京大元総長)が誘導したとの疑いが生じたからだ。  東京大の第三者委は昨年12月に出した検証報告書で、選考のやり直しまでは求めなかったが、小宮山氏の議事運営について「やや疑問を呈さざるを得ない」と指摘した。  筑波大では選考会議が学長の任期制限をなくし、在任8年目に入った現学長の続投を決めた。教職員が「選考過程に疑義がある」と公開質問状を出すと、選考会議の河田悌一議長(関西大元学長)は記者会見で「変な会がいちゃもんをつけた」と突っぱねた。  パワハラ騒動が起きた北海道大のほか、旭川医科大でもコロナ禍対応で学長の問題発言があったとされ、文科省が事実関係を確認する事態に発展した。両氏を選んだ選考会議にも責任の一端があるだろう。  法人化前まで国立大のトップは教職員の投票で決めていた。投票は「大学の自治」を踏まえた民主的な方法である半面、教授の派閥争いなど内向きの論理に傾きがちな点を問題視する声もあった。  そうした弊害を改め、学外の視点も交えて運営能力の高いリーダーを公正に選ぶのが、選考会議に課された役割だったはずだ。一連の騒動は、選考会議が必ずしもうまく機能していないことを示している。  今後のカギになるのは選考の透明性だろう。どんな議論を経てトップを選ぼうとしているのかを公開し、教職員が過程をチェックできるようにする。そう改められなければ、騒動が繰り返されるのではないか。 Source :…

みんな魔法少女 障害ある子らが出演、特撮映画を撮影

 障害がある子も病気がある子も、そうでない子も、みんな「魔法少女」――。こんなテーマの特撮短編映画を滋賀県近江八幡市の企画制作会社が制作中だ。4月の完成に向け、子どもたちが撮影に励んでいる。  昨年11月下旬、京都府内のスタジオ。集まった女の子たちの手には、色とりどりの短い杖が握られていた。設定は「魔法学院」。先生役の女性が「頭の上を通過するまでに呪文を言い切って」と解説した後、一斉に杖をふっていた。  タイトルは「魔法を使うおんなの子。」。小学1年生から中学1年生までの約20人が出演する。魔女を目指す少女たちが魔法学院に通い、人間を食べる鬼たちと戦うというストーリーを、約30分間で描く。  「何度も撮り直しになって大変だけど、映画を作る大変さがわかった。精いっぱいやりたい」  そう語るのは、「二分脊椎症(にぶんせきついしょう)」という病気を抱えながらアイドルを目指す京都市の宮本果凜(かりん)さん(8)。主人公のカリン役だ。勉強嫌いだったが、鬼と戦うために努力を重ね、「炎の魔法使い」として活躍する。  二分脊椎症は生まれつき脊髄(せきずい)の一部が脊椎の外に出て変形してしまう病気。宮本さんはこの病気により膀胱(ぼうこう)に機能障害があり、右足にまひもある。  宮本さんは保育園のころから女… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

63歳で司法試験合格 初受験から40年、あの日を境に

 山形市の粟野和之さん(65)は東日本大震災後、司法試験に再び挑み、3年前に63歳で合格した。大学在学中の初受験から40年以上が過ぎ、二十数回目で念願かなった。  自宅のパソコンで自分の受験番号を見つけて、グッと拳を握りしめました。  中学生の頃に見た海外ドラマがきっかけで、弁護士に憧れました。大学卒業後も家庭教師の傍ら、司法試験を受け続けたが不合格。母親の説得で、30歳を過ぎて裁判所に就職しました。  東北各地や東京の裁判所を転々としながらキャリアを重ねた。震災当時は仙台地裁の会計課長だった。  あの日は、地裁5階の部屋で報… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

密避けるには…バレンタイン企画、高校生が考えた奇策

 JR宇都宮駅ビルの「宇都宮パセオ」2階に、高校生が手がけたお菓子のオブジェが30日からお目見えし、通行客の目を楽しませている。バレンタイン企画の一環で、来月14日まで展示する。  制作したのは宇都宮短大付高のパティシエ部約30人。同部は2016年から、毎年バレンタインシーズンに宇都宮パセオでオブジェを展示している。6回目の今年は県特産のいちごがテーマ。約3週間かけて作り上げた。  オブジェは三角形になる位置に置かれ、手前左右の高さ1メートルの円柱の上には高さ50センチのいちご。円柱部分には黄、白、オレンジ3色のマカロンが貼り付けられ、鮮やかだ。正面奥に配置した最も大きないちごのオブジェには、チョコレートを加工して40センチ四方のQRコードを作った。実際にスマホなどでウェブページを読み込め、制作過程を動画で見ることができる。  「密集せずに遠くからメッセージを伝えられるようにと、部員からQRコードのアイデアが出た」と1年の谷田優二郎さん(15)。チョコレートをナイフで切り、細かいパーツを一つずつ貼り付けていく「気の遠くなるような作業」だったという。少しでもずれがあれば動画は読み込めない。1日約5時間で約3週間かかった。「実際に読み込めた時は、すごい達成感でした」と笑顔を見せた。  コロナ禍を受け、宇都宮パセオではバレンタイン企画の規模を例年より縮小。感染対策のため、試食や改札前での出店は行わない。運営する宇都宮ステーション開発の井口朋彦チーフは、「制約がある中、できることを高校生が考えてくれた。オブジェを見て少しでも皆さんが笑顔になってくれれば」と話した。(平賀拓史) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

仰ぎ見る大地の彫刻 冬季限定、大雪山で絶景ツアー

 大雪山のふもと、北海道上川町・層雲峡にある渓谷「大函(おおばこ)」。石狩川の水がかれる冬の間だけ、大函の中を歩くことができる。訪れる人たちを、圧巻の景色が出迎える。 拡大する冬の間に水がかれた大函では、歩いて柱状節理を間近に見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町、360度カメラで撮影  ツアーは毎週土日、層雲峡ビジターセンターが催している。川幅約10メートルの大函の両岸には、角形の岩が規則正しく並ぶ柱状節理(ちゅうじょうせつり)がそびえ立つ。春から秋にかけては水が流れていて、展望台から眺められるだけ。ツアーでは長さ約500メートルの渓谷の中を、スノーシューで歩くことができる。途中には氷瀑(ひょうばく)や霜の結晶が天井を埋める洞窟がある。 拡大する冬の間は水がかれるため、大函を歩いて柱状節理を見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町  層雲峡ビジターセンターの佐久間弘さんは「普段はなかなか近づくことができない柱状節理を間近に見ることができるのが、冬の大函の魅力」と話す。 拡大する大函に流れ込むニセイチャロマップ川沿いにある氷柱群=2021年1月23日、北海道上川町 【360度動画】冬だけ出会える柱状節理の絶景 層雲峡・大函=本田大次郎撮影  大函コースは土日の午前中で、午後には近くの氷柱(ひょうちゅう)群を観察するコースもある。1回4人まで、中学生以上。参加料1500円。申し込み・問い合わせは同センター(01658・9・4400)。(本田大次郎) 拡大する大函に流れ込むニセイチャロマップ川沿いにある氷柱群=2021年1月23日、北海道上川町 拡大する大函のそばの洞窟にできた霜の結晶=2021年1月23日、北海道上川町 拡大する大函のそばの洞窟には、3~4センチにも育った霜の結晶も=2021年1月23日、北海道上川町 拡大する冬の間は水がかれるため、大函を歩いて柱状節理を見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町 拡大する冬の間に水がかれた大函では、歩いて柱状節理を間近に見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町、360度カメラで撮影 拡大する冬の間に水がかれた大函では、歩いて柱状節理を間近に見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町、360度カメラで撮影 拡大する冬の間は水がかれるため、大函を歩いて柱状節理を見ることができる=2021年1月23日、北海道上川町…

川崎市の特養2施設、一時休止へ 入居81人転居の必要

 川崎市は、指定管理者制度で運営する特別養護老人ホーム2施設について、3月末で一時休止することを決めた。建物を無償譲渡し、民設民営への移行をめざして運営者を公募したが、応募が無かった。計81人の入居者は、別の施設に移らなければならず、現在の運営者からは市の姿勢に疑問の声も上がる。  休止するのは、中原区の「こだなか」(定員50人)と高津区の「陽(ひ)だまりの園」(同)。現在は土地と建物を市が所有し、それぞれ別の社会福祉法人が運営している。  市は2018年に策定した計画に基づき、指定管理者制度で運営する市内8カ所の特養ホームの建物を、21年度に民間に譲渡する手続きを進めてきた。5カ所については現在の指定管理者が譲渡を受け、そのまま運営することが決まったが、2施設を含む3施設は最終的に応募が無かった。  市によると、このうち多摩区の「しゅくがわら」(定員68人)は、現在の指定管理者が3年間継続して運営することが決まった。だが、2施設は条件面で合意できず、運営継続が困難になった。市は来年度以降に再度、運営者を公募する方針だ。  市の公募では、土地は市が所有したままで、運営終了後は運営者が建物を撤去するとした。建物の修理や設備の更新などの投資も運営者が行うとされる。  こだなかを運営する白山福祉会は「老朽化した建物で、定員50人ほどの規模ではとても運営できない」として、昨年5月には撤退を市に伝えた。小規模施設を再編し、より規模の大きな施設にすることを提案したという。  陽だまりの園を運営する照陽会は民設民営は受け入れられないものの、昨年末には、市に対して水漏れが起きているエアコンの改修を市が行うことなどを条件に、指定管理者として運営を継続する意思を伝えた。だが市は今月、今年度いっぱいでの休止を法人に通達した。  施設の責任者は「市には要望を聞こうとする姿勢がみえず、今のままでは運営を続けることができない。コロナ禍に移動しなければならない負担も含め、入居者に申し訳ない」と話す。  運営法人との交渉にあたった市高齢者事業推進課の中村隆永課長は「入居者や家族に申し訳ない」と述べ、まずは移転先の調整を進めるという。「各法人に引き続き運営してほしいと思っていたが、先行きの経営への不安などに明確に応えることができず、反省するしかない」と話す。再公募にあたっては、応募がなかった理由を検証し、条件などを見直す方針だ。(大平要) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

がん闘病、食事は「拷問」に 体重40キロ落ちた

それぞれの最終楽章・足し算命(3) 海南病院緩和ケア医 大橋洋平さん  手術の後、最初に襲ってきたのは激痛でした。胃の大半を切除した手術の痕は30センチと大きく、体を少し動かしても、くしゃみをしても激痛が走ります。  病理検査の結果、ジスト(消化管間質腫瘍)だとの確定診断が出て、術後1カ月足らずの7月半ばから抗がん剤治療が始まりました。抗がん剤は最も効き目が大きいと考えられる薬から試すのが鉄則です。凶悪な顔つきのジストを相手に、切り札を後に回す余裕などありません。抗がん剤グリベックを1日1回、4錠飲むことになりました。  グリベックは抗がん剤の中でも副作用が比較的少ないとされる薬です。しかし、それでも吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、食欲不振、白血球の減少などはあります。もともと下痢気味だったのが激しくなり、20日で1日3錠に減らされました。  何よりつらかったのは、大食漢だった私が、胃の大部分を摘出してほとんど食べられなくなったことです。一度の食事でご飯は7粒とか10粒とか数えられるほど。小さな乳酸菌飲料も3分の1飲むのがやっと。少しずつ食べなければならず、朝食、昼食、夕食と、その間に2回の間食。2時間おきに何かしら口にします。するとすぐにおなかが張り、吐き気がして下痢になる。しゃっくりも頻繁に起きるようになりました。  しかも横になると、消化液が逆… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

深夜に1人雪まみれの女性…祖母と同じ?声かけた会社員

 深夜に1人で路上を歩いていた80代の認知症の女性を保護したとして、宮城県警気仙沼署が、気仙沼市上東側の会社員斎藤亘(わたる)さん(37)に感謝状を贈った。当日は厳しい冷え込みで、大雪に見舞われる前夜だった。女性は薄着で、見過ごせば命の危険もあったという。  署によると、斎藤さんは1月11日午後11時半ごろ、車で会社から帰宅途中、市内の鹿折地区の橋の上でよろよろ歩く女性を見つけた。手袋もせず、用足しで荷物を持っている様子もない。服は雪まみれ。いったん通り過ぎたがどうしても気になり、引き返した。  「どこへ行くの?」  声をかけると「高田(岩手県陸前高田市)」という。つづら折りの峠を越えた、約20キロ先のまちだ。気温は零下3・6度。女性は部屋着の上にカーディガンを羽織った程度だった。「認知症じゃないか」と気づいた。斎藤さんの祖母も認知症だったからだ。  車に乗るよう促し、署に連れて行った。女性は現場付近の住人で、家族が迎えに来た。家族は連絡を受けるまでいなくなったことに気づいていなかったという。翌日は未明から大雪だった。  気仙沼署で25日、感謝状の贈呈式があった。笠松真治署長は「命の危険もあった中、連れてきて頂いた」とたたえた。斎藤さんは「川に落ちたら、車にひかれたら、と思うと気が気でなかった。無事で何よりでした」と語った。(星乃勇介) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル