佐賀県警、事件の2カ月前にも被害届を断る 女性暴行死

 福岡県太宰府市の女性暴行死事件が起きる2カ月前、後に傷害致死などの疑いで逮捕される被告らが女性の実家に押しかけたため、遺族が被害届を出そうとしたところ、佐賀県警が断っていたことが関係者への取材でわかった。県警は事件の1カ月前にも被害届を断ったことが明らかになっている。  遺族に県警から開示された「110番通報受理票」によると、事件前の2019年8月27日午後7時すぎ、女性の妹が「姉(瑠美さん)が見知らぬ男2人を連れて実家に押しかけているようだ」と通報。直後に妹が実家に駆けつけたが、男らのほかに山本被告も30分以上居座り、玄関内まで入っていたという。  この日は現場に到着した警察官が説得して山本被告らは帰宅。後日、遺族は鳥栖署に対し、住居侵入容疑で被害届を出したいと伝えたが断られたという。遺族は9月にも暴力団組員を名乗る被告らから脅されているとして脅迫容疑で被害届を出そうとしたが署は断った。その後女性は暴行を受け、10月に亡くなった。 県警「被害届があるから捜査するわけではない」  遺族は昨年6月、県警に質問状… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

熊本城の国重文「長塀」復旧工事完了 地震と風に強く

 2016年4月の熊本地震で被災した国指定重要文化財、熊本城「長塀(ながべい)」(242メートル)の修繕が終わり29日、報道陣に公開された。地震で一部倒壊したため、解体して19年2月から復旧工事を進めていた。熊本城にある重文で復旧が完了したのは初めて。  城南側の坪井川に面した高さ2・4メートルの木造塀。管理する熊本市の熊本城総合事務所によると、15年の台風15号で西側約80メートルが傾き、熊本地震では東側約80メートルが倒壊した。  長塀は坪井川対岸の城外から眺めることができるが、この日は普段立ち入れない城側からの姿が公開された。国内最長級とされる塀が石柱「控石柱(ひかえいしばしら)」に支えられて立つ。石柱は68本のうち約40本が折れたが、ボルトでつなぐなどして直した。金属製の補強材も石柱と塀の間に入れ、強度が増した。  屋根瓦には細川家の家紋「九曜紋」が刻まれている。約7割の木材や屋根瓦は元のものを再利用した。解体作業を含む復旧工事費は約2億9400万円。(渡辺七海) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

除外した6人「4月までに任命を」 学術会議が声明

 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命しなかった問題で、学術会議は28日、幹部による幹事会を開き、4月に予定されている総会までに6人を任命するよう菅首相に求める声明を発表した。梶田隆章会長は「総会は今後の学術会議のあり方を決める重要な役割を担う。会員210人全員がいる状態で開催したい」と話した。  学術会議をめぐっては、任命問題とは別に、国からの独立を検討するよう自民党や政府が求めており、学術会議は4月の総会を経て改革案をまとめる方針だ。  声明は、設置法が定める定員が満たされない状態での総会開催を避けるのが目的。特に、6人が所属する予定だった人文・社会科学の第1部は定員の1割近くが欠員で「部会や委員会などの遂行に困難が生じている」として、「任命を求めてきたにもかかわらず、正式の回答や説明は一切ない。是正できるのは内閣総理大臣のほかにない」と、速やかな任命を菅首相に求めた。  4月までに6人が任命されなかった場合について、菱田公一副会長は「(仮定の質問に)答えることは控えるが、ぜひ任命して欲しいという強い気持ちだ」と話した。(石倉徹也) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大阪市のワクチン接種、区民施設で 4月から利用中止

 大阪市は29日、区民センターやスポーツセンターなどを新型コロナウイルスのワクチン集団接種会場とすることを決め、4月から半年程度、利用中止にすると発表した。すでに予約が入っている場合はキャンセルを求める。  対象は天王寺区以外の区民センターや区民ホールと、西区や阿倍野区など7区を除くスポーツセンター。対象施設は市や各区のホームページなどで公表する。民間施設や学校の体育館などの利用も検討するという。  市内で優先接種の対象となる65歳以上は約70万人。松井一郎市長は記者団の取材に対して「市民には不便をかけるが、感染を収束させ、多くの人々の命を守るためにご理解をお願いしたい」と述べた。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

上皇さまも3度訪問、志摩マリンランドが休止 老朽化で

 水族館「志摩マリンランド」(三重県志摩市)が、3月いっぱいで営業を休止することになった。ユーモラスな表情で人気があるマンボウの飼育で知られ、昨年には開業50周年の節目を迎えたが、施設の老朽化には勝てなかった。  運営会社の近鉄レジャーサービス(同市)から、29日午前に連絡を受けた橋爪政吉市長は「子どものころは親に連れられ、親になってからは子どもを連れ、延べ100回以上は足を運んだ。ショックが大きく、心に突き刺さる」と話した。鈴木英敬知事も報道陣の取材に、「私自身、子どもを連れて何度も行った。三重県にとって重要な場所で残念だ」と語った。  館内では、ワシントン条約で国… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

夫婦別姓求め、法学者と弁護士1千人が共同声明

 全国の法学者と弁護士約1千人が29日、結婚する際に夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓制度」の早期実現を求める共同声明を発表した。近く、国会の衆参両院議長や各政党などに提出する。  法制審議会が1996年に民法改正の法律案要綱を答申してから25年経つことを踏まえ、立命館大学の二宮周平教授ら家族法学者4人が呼びかけた。昨年12月24日から今月27日までに、法学者302人と弁護士720人の計1022人の賛同が集まった。  選択的夫婦別姓は、夫婦や家族の絆のあり方の多様性を認める制度として必要だとし、「氏名は個人の人格の象徴である」とした1988年2月の最高裁判決の法理が尊重されるべきだと付記している。  二宮教授は、同日のオンライン記者会見で、「(有識者会議がつくった)第5次男女共同参画基本計画が、審議の過程も明らかにされないまま自民党内で変わり、閣議決定されたのは問題だ。開かれた議論をしてほしい」と述べた。(杉原里美) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

建設石綿訴訟、国とメーカー8社の賠償責任確定 最高裁

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸って中皮腫や肺がんになったとして、京都府内の元作業員と遺族ら27人が国と建材メーカー32社に計約10億円の賠償を求めた裁判の「京都訴訟」で、最高裁第一小法廷(深山(みやま)卓也裁判長)は国やメーカーの上告を退けた。二審・大阪高裁判決のうち、国とメーカー8社に約3億円の賠償を命じた部分が確定した。28日付の決定。  メーカー責任については、作業員がどの建材で被害を負ったかを特定する難しさがあった。京都訴訟の確定判決は、メーカーの販売シェア(市場占有率)や作業員の作業実績などをもとに幅広く責任を認めた。同種の訴訟は全国で24件あり、ほかの裁判に影響を与えそうだ。昨年末には「東京訴訟」で国の責任を認めて賠償を確定させる決定が出ている。  ただ、いずれの決定も国やメーカーの責任を認めた具体的な理由は書いていない。第一小法廷は今後、東京や大阪、神奈川など計4件の訴訟について一括して判決を出す見通しで、その中で判断の枠組みが示されるとみられる。  京都訴訟の原告は、国やメーカーは遅くとも1960年代には石綿の有害性を把握したのに、防じんマスクの着用指示や製品への警告表示を怠ったと主張。これによって作業員は建物の解体や石綿の吹きつけ時などに粉じんを吸い、重い健康被害を負ったと訴えた。  大阪高裁は労働者に対する国の責任やメーカー責任について認めたほか、一審・京都地裁が否定した個人事業主の「一人親方」などに対する国の責任も認定。国とメーカー10社に計3億円を払うよう命じた。今回の決定は、屋外で作業していた被災者1人については国・メーカー2社の上告を受理し、弁論を指定した。(阿部峻介) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

新社長に中村副社長、常務執行役員新設 朝日新聞社人事

 朝日新聞社は29日の取締役会で、渡辺雅隆社長の退任と、後任の社長に中村史郎副社長(コンテンツ統括/デジタル政策統括/バーティカルメディア事業担当)が就任する人事などを決めた。4月1日付。渡辺社長は6月24日の定時株主総会で取締役も退任する。  渡辺社長は昨年11月の社内説明で、新しい中期経営計画がスタートする今年4月に社長から退き、中村副社長を後任とする意向を明らかにしていた。      ◇  中村 史郎(なかむら・しろう) 東大卒。86年朝日新聞社。国際報道部長、東京本社広告局長、執行役員編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長などを経て20年6月から副社長。57歳。 朝日新聞社人事  朝日新聞社は29日の取締役会で、4月1日付役員人事を決めた。常務執行役員を新設する。内容は次の通り。 (カッコ内は現職、記載がない場合は従来通り)  ◇取締役  代表取締役社長(代表取締役副社長 コンテンツ統括/デジタル政策統括/バーティカルメディア事業担当)中村史郎▽営業統括/プリントメディア事業統括 小西勝英▽大阪本社代表 小林剛▽取締役(代表取締役社長)渡辺雅隆▽取締役(常務 マーケティング統括/マーケティング/知的財産/出版/国際担当)西村陽一▽取締役(常務 東京本社代表/技術統括〈CTO〉)藤井龍也▽取締役(常務 コーポレート統括/グループ・ネットワーク政策統括)梅田正行▽取締役 藤ノ木正哉 (渡辺雅隆、西村陽一、藤井龍也、梅田正行は6月24日の定時株主総会で退任予定)  ◇常務執行役員  経営戦略統括/グループ・ネットワーク政策統括/経営企画/出版担当(執行役員 経営企画/メディアラボ担当兼経営企画室長)堀江隆▽コーポレート統括/管理・労務/コンプライアンス担当(執行役員 管理・労務・人材戦略・働き方改革/コンプライアンス担当兼人材戦略本部長)岡本順▽イベント戦略/企画事業/オリンピック パラリンピック・スポーツ戦略担当(執行役員 イベント戦略/企画事業/オリンピック パラリンピック・スポーツ戦略担当兼企画事業本部長)堀越礼子▽コンテンツ統括/デジタル政策統括/編集担当(執行役員 編集担当兼ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長)角田克▽東京本社代表/技術統括(CTO)/情報技術/国際担当(執行役員 デジタル担当兼デジタル・イノベーション本部長)大西弘美▽不動産担当(執行役員 不動産担当)宍道学▽販売戦略/教育事業担当(執行役員 販売戦略担当兼東京本社販売局長)小田桐則雄▽財務担当兼財務本部長(執行役員 財務担当兼財務本部長)清水隆▽メディアビジネス/知的財産担当(執行役員 メディアビジネス担当)金山達也 (堀江隆、岡本順、堀越礼子、角田克は6月24日の定時株主総会で取締役に選任予定)  ◇執行役員  広報/ジェンダープロジェクト/環境担当(広報/環境担当)福島繁▽製作担当 尾形俊三▽名古屋本社代表 佐古浩敏▽西部本社代表(放送メディア企画担当兼放送メディア企画室長)大滝敏之▽人材戦略・働き方改革担当兼人材戦略本部長(大阪本社編集局長)岡村邦則=新任▽CSR担当(経営企画室付)高田圭子=新任▽マーケティング担当兼マーケティング戦略本部長(マーケティング本部長)山盛英司=新任▽デジタル事業/メディアラボ担当(デジタル・イノベーション本部付)高野健一=新任…

「正しく恐れる」のは難しい 個々人の合理とリスク判断

内田麻理香・東京大特任講師  東日本大震災から十年、新型コロナウイルスの感染が国内で確認されてから一年経つ。この間、「正しく恐れる」という言葉を、数多く目にした。  これは物理学者かつ文筆家である、寺田寅彦の随筆から引用された句だ。寺田は、「小爆発二件」の随筆で「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた」と書いた。この全文を読めば、寺田ほどの科学的知識、科学的思考力を持つ者でも、正当にこわがることは難しいという述懐であると解釈できる。  しかし、いま使われる「正しく恐れる」という言葉は、自分と感覚が異なり「こわがりすぎる」と思われる者に向けて、「あなたのリスク認知は歪(ゆが)んでいる」という、非難の意味合いをもって使われているように見える。 飛び交う「放射脳」「コロナ脳」  東日本大震災に続く福島第一原… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

佐賀県警本部長、暴行死事件を説明 従来の見解繰り返す

 福岡県太宰府市で起きた女性暴行死事件で、佐賀県警が事件前に女性の遺族から相談を受けながら事件化しなかった問題について、県警の杉内由美子本部長が29日の定例会見で初めて自ら説明した。「ただちに危害が及ぶ内容とは認められなかった」というこれまでの県警の見解を繰り返し、「今後の教訓としてより丁寧な対応を心がけていきたい」と話すにとどまった。  事件は2019年10月、太宰府市の駐車場の車内から無職高畑瑠美さん(当時36)の遺体が見つかり発覚。福岡県警は高畑さんと同居していた無職山本美幸被告(42)ら3人を死体遺棄などの容疑で逮捕(うち1人の死体遺棄は無罪)した。  事件前の19年7月中旬から9月下旬の間、遺族は高畑さんから金銭を無心され、暴力団との関係をちらつかせる山本被告らに脅迫されていると佐賀県警に少なくとも8回相談。被害届受理も求めたが、事件化されず、その後高畑さんは暴行され亡くなった。  佐賀県警は遺族の相談について、刑事部の幹部らが「ただちに危害が及ぶとは認められなかった」と説明。杉内本部長も定例会見や県議会で同じ説明を繰り返したが、報道陣の取材には直接応じてこなかった。  一方で、遺族が被害届の提出を求めていたのに、県警の内部文書には被害届提出の意思について「なし」「解決」と事実と異なる記載がされていたことが発覚。遺族が県警の対応を批判し、第三者による再調査を求めていた。(平塚学、大村久) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル