日本酒にもなった「仁淀ブルー」はなぜ青い? 体験して分かる美しさ

【動画】仁淀ブルーに魅せられて=高橋宣之さん撮影 「仁淀ブルー」という新語は2012年3月、NHKスペシャル「仁淀川~青の神秘~」で全国に紹介された。仁淀川は新たな呼称を得て、それは商機をも生んだ。 早かったのが仁淀川の伏流水で酒造りをしている司牡丹酒造(高知県佐川町)だ。「地域の起爆剤になる酒を造れる。うちがやらずにどこがやると思った」と専務の山岡徳生(73)は振り返る。 清流をイメージして、香りを控えめにし、爽やかさを感じさせる純米酒ができた。淡い空色の瓶に酒を詰めると、かすかに青緑色がかって「仁淀ブルー」を感じさせる酒ができた。 13年4月に「司牡丹 仁淀ブルー」の商品名で発売。仁淀ブルーの名付け親であるカメラマン高橋宣之の写真をラベルに使った。4合瓶で3千本売れたらヒットとされるなか、1年目で7千本、4年目には9千本と販売数を伸ばした。空港や駅で今も売れ続けている。      ◇ では、仁淀川は、なぜ青いのか――。記事後半では、青さを科学的に考察し、住民たちがたどりついた仁淀川の「売り」を紹介します。 それを追究した研究論文は見当たらない。高知工科大学に相談すると、水工学が専門の教授、佐藤慎司(64)がこんな考察をしてくれた。 透明度が高い水に光が差し込…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「日本一美しい廃線跡」SNSで話題、年1万人超が訪れる魅惑の風景

【動画】美しすぎる廃線・旧倉吉線ツアーが人気=上田潤撮影 廃線から40年近く経った鳥取県倉吉市の旧国鉄倉吉線跡が近年、観光客らに人気だ。SNSでは「日本一美しい廃線跡」などといわれ、年1万人以上が足を運んでいる。 倉吉線は1912年に開業。中国山地を越えて岡山県まで延伸する計画もあったが、利用客の減少で85年に廃止された。 廃線跡の一部区間には、今もレールやホーム、橋梁(きょうりょう)などがそのまま残る。最も人気を集めるスポットが、線路の両脇に竹林が迫る区間。2本のレールの中央からも竹が伸び、四季それぞれの風景が楽しめるという。 来訪者が増えたことを受け、廃線跡をたどるウォーキングツアーを開催している倉吉観光MICE協会は今年4月、観光案内所を設け、さらなるPRを目指している。 6月中旬の休日、ウォーキングツアーに記者とカメラマンも同行した。 5・3キロのコースを約2時…この記事は有料記事です。残り935文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ADK前社長に有罪判決 組織委元理事への賄賂認定 五輪汚職

川嶋かえ2023年7月12日 10時04分 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に対する贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」前社長・植野伸一被告(69)に対し、東京地裁(友重雅裕裁判長)は12日、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。 5ルートで計15人が起訴された一連の事件で判決が出るのは6件目。 判決によると、植野前社長は部下の元専務、元五輪担当本部長=同罪で有罪判決が確定=と共謀し、2014年4月~18年3月、組織委元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=に対し、「販売協力代理店」に選任されて大会スポンサーの契約業務を担当できるよう依頼。19年11月~22年1月に元理事のコンサルタント会社「コモンズ」に計1485万円の賄賂を送金した。 ADKルートでは、高橋元理事は計約4800万円の受託収賄罪で起訴された一方、ADK側は贈賄罪の公訴時効(3年)を踏まえて一部で起訴された。弁護側「部下の供述は虚偽」 公判で、植野前社長は起訴内容を認めたが、社内での主導性は否定した。検察側は論告で、「部下に任せていたと自己の責任を小さく見せようとしている」と批判した。 弁護側は、植野前社長はコンサル料の違法性をめぐる報告は受けておらず、報告したとする元専務らの供述は「虚偽だ」として、執行猶予付きの判決を求めていた。 一連の事件では、紳士服大手「AOKIホールディングス」の前会長ら3人、ADKの元幹部2人、玩具会社「サン・アロー」の前社長ら2人、出版大手「KADOKAWA」の元五輪担当室長、コンサル会社「アミューズ」(解散)の元代表の計9人に、既に有罪判決が出ている。 高橋元理事は、5ルートで計約2億円の賄賂を受け取ったという起訴内容を否認し、公判の見通しは立っていない。(川嶋かえ)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

天下り差配、現役は禁止→「OBがやらざるを…」 露呈した規制の穴

 3月31日。 元国土交通事務次官の本田勝氏(70)が2022年12月に上場企業の「空港施設社」のトップ人事に介入した疑いがあることが報じられてから初となる斉藤鉄夫国交相の閣議後会見があった。 「事実とすれば国交省が本件に関与しているという誤解を招きかねず甚だ遺憾」 「どのような発言がなされたか、今後、事実確認を行いたい。本人から直接話を聞いてみたい」 斉藤氏は、独自に聞き取り調査を行う意向を明らかにした。 4月2日。 朝日新聞が、本田氏による人事介入疑惑の1年半ほど前に起きた出来事について報じた。 21年5月、当時取締役だった元国交省東京航空局長の山口勝弘氏(64)が、役員人事を話し合う会議で、国交省側の意向だとして代表権のある副社長のポストを求め、その後就任していた――。 報道の翌日、空港施設社は、山口氏が辞任したと発表した。 広報によると、山口氏は国交省側の意向だとしてポストを要求したことを認め、「威圧的な言動を行ったつもりはないが、受け手がそう感じているのであれば、申し訳なく思っている」と述べたという。 4月4日。 国交省が、山口、本田両氏に対する聞き取り調査の結果を公表した。国交省が明かした元次官2人の名前 国交省によると、山口氏は21年5月に同社の幹部会議で、国交省の権限に言及しながら「バックにいる人たちがどう思っているかということ」と発言したことについて、「歴代社長に国交省OBが就任していることから、OBの皆さんが自分に期待していると想像した」と説明したという。国土交通省OBの人事介入問題の実態や背景に、関係者への取材や入手した記録で迫るA-stories「令和の天下り」の8回目。あるOBは取材に「昔は現役が全部やっていた。それが法律上できないという話になったので、OBがやらざるを得ない」と語りました。 そのうえで、OBらとの直接…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

急死の職人が残した「涼」今夏も 家族が引き継ぎ芽吹いたつりしのぶ

 「つりしのぶ」が今夏も涼しげに揺れている。 仕込んだ本人は春に亡くなったが、家族が大切に引き継いで育てた。 つりしのぶは、竹などで作った芯にシダ植物の「シノブグサ」の根茎や山ゴケを巻き付けて作る。夏に軒先につり下げ、風鈴をつけるなどして涼感を楽しむ。都内唯一の専業生産者「萬園」 生産が盛んだった東京都江戸川区によると、江戸時代に庭師がお中元用に作ったのが始まりとされ、明治から昭和初期に一般家庭に広がった。しかし、生息地や採取者の減少や後継者不足で、1960年ごろに区内に20軒ほどあった生産者は激減。都内に残る唯一の専業生産者が、同区松島1丁目の「萬園(よろずえん)」だという。 35(昭和10)年創業。7月、屋外の棚には球や円筒、芯を「井」の字の形に組んだものなど、約10種がいくつも並んでいた。2代目の深野晃正(てるまさ)さんが昨秋から手がけてきたものだ。深野さんは東京都の優秀技能者として知事賞も受賞。「生涯現役」をめざしたが、4月に急死しました。家族が引き継いだ「つりしのぶ」の今年の出来はどうだったのでしょうか。 晃正さんは15歳から、先代…この記事は有料記事です。残り674文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

動き出した「住宅耐水化」 浸水防ぎ復旧早く、丸ごと浮かせる方式も

 豪雨が頻発するなか、水害に強い住宅づくりを目指す動きが盛んになってきた。水の浸入を防ぎ、もし被災しても早く復旧できるように設計を工夫する。 「耐震」や「耐火」などと並んで、「耐水」も新たな建築のキーワードに加わりつつある。 いったん浸水すれば、家の中は泥だらけ。木材や断熱材は水を含み、放置するとカビが発生、家も傷んでしまう。床や壁をはがして乾燥、修復し、家財を買い直して元の生活を取り戻すには、数百万円以上の費用と数カ月単位の時間がかかることも多い。 2018年7月の西日本豪雨など、各地で相次いだ被害を目の当たりにした専門家や業者の間で、対策を検討する機運が高まった。 家ごと浮かせたり、あえて水を取り込んだりする手法もある。住宅メーカーの一条工務店(東京都)が20年から発売を始めた「耐水害住宅」は、その先駆的な例として知られる。各地のショールームに実物大の体験施設を設けてお客さんに浮上を体験してもらい、すでに2900件以上の申し込みを受けたという。 家ごと浮かせるとは大胆なアイデアにも思えるが、開発に携わった黒田哲也さんは「様々な方法を試し、浮かす方法しか残らなかった」と説明する。まるで船? 家ごと浮上を体験 どういうことなのか。実際に浮上を体験してみた。 体験施設の建物は平屋のワンルームで、コンクリート製の大型水槽の中に据えてある。スイッチを入れると、隣の水槽から勢いよく水が流れ込んできた。外の水位がじわじわと上がっていく様子が窓越しに見える。 床を透明にした部分から床下を見ると、水は入ってきていない。その工夫の一つが、浸入経路になる床下換気口の構造だ。 換気口の内側にボックスを据え付け、中に板状の「浮き」を入れてある。換気口から水が入ってくると浮きが上昇し、ボックス上部にある空気の通り道を密閉する仕組みになっている。 4分もすると、窓の高さまで水に満たされてきた。普通なら床上浸水する高さだが、どこからも漏れてこない。 窓や玄関ドアは特殊なパッキンを取り付けて水密化してある。ガラスは、水圧や漂流物の衝突で破られないように3重構造。ドアの鍵穴は高い位置に取り付けた。 下水の配管には、逆流による浸水を防ぐための弁がついている。外壁には防水シートを貼って基礎との間のすき間をふさぐなど、様々な浸入経路に対策を施しているという。 「もう浮き始めていますよ」。室内にある傾斜計の表示を見ると、さっきまで0のままだった数字に変化が表れ始めていた。ボタンを押してから7分ほど。水深は130センチに達していた。 言われてみると、停泊中の船に乗ったときのように、わずかに床が動いている感覚がある。建物の片側に社員が移動すると、傾きも大きくなっていくのが見た目にもわかった。 浮かせる方式を採ったのは…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

勤め先から1億円超を横領容疑、派遣社員の男を逮捕 大阪地検特捜部

浪間新太2023年7月11日 19時19分 勤務した大阪市内の2社から計約1億円を着服したとして、大阪地検特捜部は11日、同市西淀川区の派遣社員石渡昌芳容疑者(42)を業務上横領容疑で逮捕し、発表した。特捜部は認否を明らかにしていない。 発表によると、石渡容疑者は、勤務先名義の預金口座から自身の預金口座に送金する手口を繰り返し、電機部品製造会社の経理課長だった2021年7~11月には計15回で計8007万円、プラスチック製品販売会社の事務員で経理担当だった22年7月には計5回で計2310万円をそれぞれ横領した疑いがある。 関係者によると、特捜部は2社の告訴をきっかけに捜査していたという。(浪間新太)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

介護給付費170万円詐取容疑で親子逮捕 サービス提供を偽ったか

高井里佳子2023年7月11日 19時27分 介護サービスを提供したと偽り、大阪府泉佐野市から給付費約170万円をだまし取ったとして、府警は11日、無職の岡本信子容疑者(70)=同市羽倉崎2丁目=ら2人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。登記によると、容疑者は同市で介護事業所を運営する会社の取締役。府警は認否を明らかにしていない。 府警が他に逮捕したのは事業所の責任者で容疑者の長男(37)。2人は2021年2月上旬ごろ、50~80代の男女10人に介護サービスを提供したと偽る内容の請求書などを作成し、市側に提出。市から介護給付費約170万円をだまし取った疑いがある。 泉佐野市は容疑者側に同様の手口で約6千万円を詐取されたとして21~22年に府警に告訴していた。同市とともに介護行政を担う近隣の3市町も被害を受けたとしている。(高井里佳子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

トラやオランウータン間近に 東山動植物園の新施設、14日から公開

米田怜央2023年7月11日 19時30分 東山動植物園(名古屋市千種区)に、新たにトラやオランウータンなど、東南アジアの熱帯雨林に生息する動物たちを間近に観察できる施設が完成し、11日に報道向けに公開された。現地の生態系を分かりやすく学ぶことができる施設で、14日から一般公開される。 「新トラ・オランウータン舎」では、インドネシアのスマトラ島に生息する「スマトラトラ」と「スマトラオランウータン」、ベトナムに生息するキジ科の「コサンケイ」を展示する。いずれも絶滅が危惧されている。 動物の姿を間近に観察できる「ビューイングトンネル」を設置。オランウータンの施設では、高さ約15メートルのタワー遊具などがあり、熱帯雨林の樹上を動き回る生態を観察することができる。トラの施設では、トラが岩を駆け上がったりする様子などが観察できるという。 また、プランテーションと呼ばれる大規模農園の開業が、森林破壊を招いていることなどを説明したボードも展示。動物たちが直面する問題を学ぶための工夫もされている。 東山動物園の今西鉄也副園長(52)は「動物たちも広く利用できる施設を作ったので、本来の姿をよく見てもらえる。ぜひ足を運んでいただきたい」と話していた。(米田怜央)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「逃げて」悲鳴の直後、目の前に… 土石流、1人死亡の現場で何が

有料記事西岡矩毅 伊藤隆太郎 池田良2023年7月11日 23時05分【動画】空撮 唐津、久留米、杷木、筑前岩屋の水害の様子=加久雅之撮影 10日の記録的な大雨の影響で大規模な土石流が発生した福岡県久留米市田主丸町の竹野地区。少なくとも7棟、12世帯がのみ込まれ、1人が亡くなった。住民らは直前まで土石流が発生するとは思わなかったという。 11日、被災から一夜が明けた竹野地区では、多くの住民らが土砂や流木を片付けていた。道路は茶色い泥で覆われ、あちこちにがれきの山ができていた。 現場にいた消防団員の男性は「もう少しで押しつぶされるところだった」と振り返った。 団員は当時、未明から続く大雨の警戒で周辺を見回った後、別の団員4人と消防団の詰め所で休憩していた。地区内には、陥没で通行できなくなっている道路もあった。だが、危険が迫っているとは思わなかった。 10日午前9時半ごろ、山に通じる坂道を濁流が下ってくるのが詰め所から見えた。地区は山のふもとの傾斜地。まもなく地響きのような音が聞こえ、そばの道路では、乗用車が大量に流れてくる泥水に遮られて動けなくなった。女性が車から走り出て「逃げて」と悲鳴をあげた直後、岩や流木を含んだ土石流が目の前に押し寄せてきた。 その場から離れる余裕はなか…この記事は有料記事です。残り744文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル