アイヌ民族の少女が100年前につづった願い 日伊を結ぶ絵本に

 8月で刊行から100年となる「アイヌ神謡(しんよう)集」は、アイヌ文化を伝える作品として時代や国境を越えて親しまれてきた。編んだのは19歳で生涯を閉じたアイヌ民族の知里幸恵(ちりゆきえ)(1903~22)。6月8日に生誕120年を迎えたのを記念し、その生涯を描いたイタリアの絵本「ユキエとくま」の日本語訳が出版された。 幸恵は明治36年、現在の北海道登別市に生まれた。幸恵は言語学者の金田一京助の勧めで神謡集を編みはじめた。 神謡はアイヌ民族の口承文芸の一つで、カムイ(神)が自らの体験を物語るといった形式の叙事詩のこと。幸恵は特定の文字を持たないアイヌ語の音をローマ字に起こし、美しい日本語訳と格調高い序文をつけた。 《銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに》 「梟(ふくろう)の神の自ら歌った謡」など13編をまとめあげた直後、幸恵は生まれつきの心臓疾患で亡くなった。 イタリアの出版社の編集者の…この記事は有料記事です。残り905文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「恋愛小説書いたわけでなく……」 島清恋愛文学賞の吉田修一さん

 恋愛を描いたすぐれた小説に贈られる第29回島清(しませ)恋愛文学賞の発表が6月29日、主催する金沢学院大学(金沢市末町)であり、吉田修一さんの「ミス・サンシャイン」(文芸春秋)が選ばれた。当の本人の吉田さんは、「恋愛小説として書いたわけではなかった」と話しつつ、受賞を喜んだ。 「ミス・サンシャイン」は2022年発行。大学院生の岡田一心が、昭和の大女優、和楽京子の家へ荷物整理のアルバイトに通い、交流を深めていく物語。長崎出身という共通点を持った60歳差の2人の恋が描かれる。 作者の吉田さんも1968年、長崎市生まれ。「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞したほか、「悪人」「横道世之介」「怒り」など多くの作品が映画化されている。 同賞は学生らが推薦作を選び、作家の村山由佳さん、島田雅彦さん、桜木紫乃さんと同大の秋山稔学長が受賞作を決めるというユニークな選考過程を持つ。島田さんと桜木さんは、昨年まで選考委員を務めた林真理子さんの後任だ。村山さんは第16回に「ダブル・ファンタジー」で、桜木さんは第19回に「ラブレス」でそれぞれ同賞を受賞しており、島田さんは芥川賞などの選考委員も務めている。 最終選考後の記者会見によると、「ミス・サンシャイン」は「満場一致」だったという。年齢差のある男女と政治や歴史が絡む複雑な構造でありながら、語り口は分かりやすく、書く技術の高さが評価された。 島田さんは「うまいエンターテインメント書きやがって」と評価した。桜木さんは「技術的にかなわない。これ出してくるのかと思いました」と話した。 受賞決定後、電話取材に応じ…この記事は有料記事です。残り959文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

築地場外にぎわい復活 客層は多国籍化、人気グルメの楽しみ方も変化

 東京・築地場外市場が再び活気を取り戻している。隣接する築地市場の移転やコロナ禍のピンチに直面しながら、今では平日でも観光客でごった返す。地元では「築地ブランド」の強みを再認識するとともに、まちの変化も感じている。 6月の土曜日。前夜の雨が昼前まで残っていたものの、築地場外市場は人でごった返していた。すし屋、魚介類を焼いて出す店、和菓子屋、果物店……。店の前には品定めする人や店に並ぶ人の行列ができ、街には呼び込みの声と外国語が入り交じる。各店でつくるNPO法人「築地食のまちづくり協議会」の広報部長で近江屋牛肉店の寺出昌弘社長(59)は「感覚的にはコロナ禍前の1・5倍ほどの人出。平日の客数が違う」と喜ぶ。 新型コロナの水際対策が緩和され、昨年末ごろから外国人観光客が増えている。海外のインフルエンサーが投稿したSNSを見て訪れる人も多い。家族5人で来日したタイ在住の米国人ケビン・エリオットさん(48)は「すしが好きだから築地で食べようと思って。色々な食べ物があり、新しいものにチャレンジできるのもいい。魚だけじゃなく、様々な店が並ぶ雰囲気が最高」と話す。「『築地』が強いブランドに」 1923年の関東大震災で日…この記事は有料記事です。残り1360文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

九州・山口24時間雨量300ミリ超の地点も 湯布院で住宅流される

2023年7月1日 8時49分 6月30日から続く大雨の影響で、大分県由布市湯布院町では、住宅1軒が土砂に流された。市消防本部によると、住民の1人と連絡がとれていないという。 気象庁によると、24時間雨量(7月1日午前6時40分まで)は、同市湯布院で385ミリを記録し、7月の観測史上最大となった。このほか、24時間雨量(同午前7時10分まで)は山口市で282ミリ、福岡県太宰府市で232ミリ、熊本県湯前町で323ミリ、宮崎県えびの市のえびの高原で292ミリ、鹿児島県伊佐市で326・5ミリなどとなっている。 気象庁は1日午前1時、線状降水帯によって山口県で非常に激しい雨が降り続いていると発表。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっているとして、警戒を呼びかけている。 山口県山陽小野田市では1日未明、1513世帯の3367人を対象に、5段階の避難情報で最高のレベル5にあたる「緊急安全確保」が発令された。市によると、市内を流れる随光川と桜川が氾濫(はんらん)し、一部の家屋で床下浸水も確認されているという。 山口市では1日午前1時ごろ、タクシー1台が冠水した道路で動けなくなった。市消防本部によると、運転手1人を救助し、無事という。同県下関市などでは記録的短時間大雨情報も出された。氾濫(はんらん)のおそれがある基準まで水位が上がっている河川がほかにもあり、注意が必要だ。 福岡県内でも未明、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となったことを警告する「土砂災害警戒情報」が追加で出された。岡垣町では住宅1軒が倒壊し、住人の女性(90)が取り残された。県警などによると、女性は消防隊に救助され、軽傷を負って病院へ搬送されたという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「復縁したかった」容疑者が供述 横浜・鶴見区の18歳女性殺害

手代木慶 阿部育子2023年7月1日 5時00分 横浜市鶴見区で大学生冨永紗菜さん(18)が包丁で刺され殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された元交際相手の伊藤龍稀(はるき)容疑者(22)が神奈川県警の調べに「復縁したかった。(包丁で)脅すつもりだった」という趣旨の供述をしていることが、捜査関係者への取材でわかった。一方、冨永さんの上半身には複数の刺し傷があり、死因は出血性ショックと判明。県警は強い殺意があったとみて調べている。 捜査関係者によると、伊藤容疑者は事件直前、鍵を使い冨永さんの自宅マンションに侵入。鉢合わせた家族から鍵を取り上げられて屋外に出されたが、その後も冨永さんが外出するのを待ち、敷地内の駐車場で襲ったとみられるという。 県警によると、6月22日、冨永さんと伊藤容疑者の間でトラブルがあり、鶴見署が対応。署は翌日、伊藤容疑者のもとにあった冨永さんのリュックサックを回収したが、中にあったはずの鍵がなくなっていた。伊藤容疑者はこの鍵を使い冨永さん宅に侵入したとみられている。 知人らによると、2人は冨永さんが以前働いていた飲食店で知り合い、2年ほど交際。冨永さんは6月に入り、「暴力をふるわれたので別れた」と周囲に話していたという。県警には2021年10月以降、伊藤容疑者の冨永さんへの暴力などに関する通報が計4回あった。昨年末の通報時に冨永さんは、けんかになった際に同容疑者から「別れるなら殺す」と言われたと説明したという。(手代木慶、阿部育子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

海外パビリオン、建設申請「ゼロ」 大阪万博 開幕間に合わぬ恐れ

 2025年大阪・関西万博をめぐり、参加する国や地域が独自に建てるパビリオン建設で必要な申請が、大阪市に1件も提出されていないことがわかった。人手不足が深刻化する建設会社と契約が進まないことが背景にある。開幕までに工事が完了しない可能性があり、国や地元の関係者は対策を急いでいる。 万博には153カ国・地域が参加を表明。出展には、各国が費用を負担して独自のパビリオンを建てる「タイプA」▽日本国際博覧会協会(万博協会)が建てた施設を引き渡す「タイプB」▽建物の一部区画を貸す「タイプC」がある。 問題となっているのは万博の中心的な施設となるタイプA。万博協会は該当する国を公表していないが、建設計画を公表している中国やドイツ、オランダなど、約50カ国・地域が見込まれている。これらの国・地域は、建設会社と協議して基本設計をつくり、万博会場のある大阪市に建築基準法で定められる「仮設建築物許可」を申請する必要がある。 市計画調整局によると、市へ…この記事は有料記事です。残り579文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

体罰で書類送検の東海大菅生前監督が不起訴 監督復帰は未定

2023年7月1日 5時00分 野球部員に暴力をふるったとして暴行容疑で書類送検された東海大菅生高校(東京都あきる野市)野球部の若林弘泰前監督(57)について、東京地検立川支部は5月17日付で不起訴処分にした。朝日新聞の取材で分かった。同支部は理由を明らかにしていない。 前監督は、監督を務めていた2022年8月、当時1年生だった男子部員の尻を蹴ったほか、翌9月にはこの部員の頭をバットのグリップエンドでたたいた疑いがあるとして、今年4月に警視庁福生署から書類送検されていた。 今年1月、この部員への体罰などを理由に日本学生野球協会から、昨年12月から4カ月の謹慎処分を受けた。学校からも監督を解任され、停職6カ月の処分となった。同校によると、いずれの処分期間も終わったが、監督への復帰については未定だという。 同校の小山恵教頭は朝日新聞の取材に対し、「今後こういうことが二度と起きないよう、再発防止に努めたい」と話した。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

おしゃべりOKの公立図書館、東京に誕生 きっかけは子育て世代の声

 おしゃべりができる公立図書館が7月1日、東京都多摩市でオープンする。全国的にも珍しい取り組みの出発点は、「子どもを静かにさせないと行けない」という親世代の声だった。 多摩市立中央図書館は古い図書館を移転新築した。総工費は約45億円。地上2階地下2階建てで、蔵書は約43万冊。開架スペースは1階と2階にある。 利用者が会話OKなのは2階の開架エリアの全域だ。友人と話しながら本を選んでも、子どもが絵本を読んでいるときに親子でおしゃべりしてもいい。子ども向けの本のほか、くらしやスポーツなど生活に身近なジャンルの一般書など最大約7万5千冊を置く。 もちろんグループでの会話や議論もOKだ。グループ学習やディスカッションに使えるよう、人数に応じて自由につなげられる可動式の机を備えた。多くの閲覧席に電源を備え、WiFiも無料。フロアでは鳥がさえずるBGMを流す。一方で1階は静かに読書や自習をする空間に。携帯電話の使用も所定の場所以外ではNGだ。■飲食OKの「先進地」に聞い…この記事は有料記事です。残り723文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

宝恵かごに乗った「愛染娘」が練り歩き 江戸時代の参拝を再現

小宮路勝2023年6月30日 21時00分 大阪の夏の風物詩として知られる「愛染(あいぜん)まつり」が30日、大阪市天王寺区の四天王寺支院・愛染堂勝鬘院(しょうまんいん)で始まった。7月2日まで。 初日に行われたパレードでは、浴衣姿の「愛染娘」9人が4基の華やかな「宝恵(ほえ)かご」に交代で乗り、雀(すずめ)おどりの人たちとともに沿道を練り歩いた。パレードは、江戸時代に商売繁盛などを願う芸者がかごに乗って同堂を訪れたことを再現しているという。 参拝者らでにぎわう境内に愛染娘らが入ると「あいぜんさんじゃ」「商売繁盛」などの声が掛けられた。担ぎ手がかごを持ち上げ、愛染娘が手を振ると大きな歓声が上がった。 今年は6年ぶりに露店も復活。約40店が出店されている。(小宮路勝)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

山口県で線状降水帯が発生、山陽小野田市で河川が氾濫 福岡では落雷

2023年7月1日 2時36分 気象庁は1日午前1時、線状降水帯によって山口県で非常に激しい雨が降り続いていると発表した。 命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっているとして、警戒を呼びかけている。 山口県山陽小野田市では1日未明、1513世帯の3367人を対象に、5段階の避難情報で最高のレベル5にあたる「緊急安全確保」が発令された。 市によると、市内を流れる随光川と桜川が氾濫(はんらん)し、一部の家屋で床下浸水も確認されているという。 下関市などで記録的短時間大雨情報も出され、山口県内では深夜になって激しい雨が続いている。氾濫のおそれがある基準まで水位が上がっている河川もあり、注意が必要だ。 福岡県内でも1日未明、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となったことを警告する「土砂災害警戒情報」が追加で出された。 福岡市内でも雷が鳴り響くなど、各地で荒れた天気が続いている。 各地で避難指示も相次いでいる。 6月30日夜までに、福岡県久留米市が約25万3千人を対象に避難指示を出したほか、朝倉市や東峰村、佐賀県嬉野市、武雄市、熊本県小国町、大分県日田市、山口県周南市などでも避難指示が出されている。【動画】九州の広範囲で大雨、JR博多駅前の様子=池田良、豊島鉄博撮影有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル