転覆した漁船に知人の姿 船を飛ばした83歳「30年前にも…」

中川壮2023年6月7日 12時32分 松山市沖の津和地島に住む岩田夘吉(うきち)さん(83)が2日、松山海上保安部から感謝状を贈られた。5月に船で釣りをしていた時、小型漁船同士の衝突事故を目撃し、海に転落した87歳の男性を救出した。 5月12日午前7時半ごろ、津和地島と隣の怒和島の間を船で移動中、2隻の漁船が視界に入った。「危ないなあ……、当たる!」と思った矢先に衝突し、あっという間に片方が船底をあらわにした。 すぐに針路を変えて接近し、転覆した船につかまり、水面に頭だけを出した男性を自分の船に引っ張り上げた。津和地島に住む知人で額から出血し、「寒い、寒い」と言っている。 船を飛ばし、男性の自宅近くの砂浜に乗り上げた。男性は自力で船から下りて走って家へ。衝突したもう一方には、怒和島に住む89歳の男性が乗っていて、転落せず無事だった。 岩田さんは「(助けた男性には)運が良かったのうと声をかけた。感謝状をもらって気分が悪いことはない」と笑顔を見せた。若い頃はタチウオ漁師で、30年前にも広島県呉市沖で橋から落ちた若い女性を救助したことがあるという。(中川壮)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

給食中の事故、新居浜の保育園で新たに2件 リンゴの後は紙片混入

堀江泰史2023年6月7日 8時27分 生後8カ月だった男児が給食後に意識不明の重体になった新居浜上部のぞみ保育園(愛媛県新居浜市中村2丁目)は6日、新たに2件の事故が起きたと発表した。事故後、別の男児に提供したサラダの中に紙片が見つかり、卵アレルギーの女児に卵が入った菓子を食べさせた。2人とも登園しているという。 園によると、保育参観日だった5月17日、離乳食として出したカボチャサラダを母親が8カ月の男児に食べさせた際、数ミリ大の紙片を複数見つけ、翌日提出した連絡帳で「複数入っていました」と園に報告。カボチャを細かく切る際にクッキングペーパーを敷いており、この紙片が混入した可能性がある。実物は残っておらず、男児が食べたかどうかは判然としていないとしている。 さらに同月24日の午後3時のおやつで、卵アレルギーがある1歳7カ月の女児に卵が入ったマドレーヌ(8グラム)を食べさせた。保育士はアレルギーを把握していたが、用意していた別のお菓子と取り違えた。 園を運営する社会福祉法人新居浜社会福祉事業協会の石井孝允理事長は会見で、「一歩間違えば重大事故につながりかねない新たな事案を起こし、皆さんにご不安、ご心配をおかけし、心からおわびします」と謝罪した。 園では同月16日、当時8カ月だった男児がリンゴ(縦7ミリ、横2ミリ、厚さ3ミリ)を2片食べた直後に息をしなくなった。松山市内の病院で現在も治療中で、意識は戻っていないという。(堀江泰史)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「普通の警察官」が8段に 地域のクラブで磨く剣と心 達した最高位

 合格率1%以下で「国内最難関試験」と言われる剣道の8段審査に、埼玉県警幸手署の小林憲司巡査部長(59)が合格した。8段に達するのは、強豪の高校か大学を出て、都道府県警の師範候補として日常的に稽古をする特別訓練員(特練)のOBが多いが、小林さんは「普通の警察官」。稽古の機会は市民と変わらず、拠点は地域の剣道クラブだ。8段合格は偉業で、多くの市民剣士が沸いた。 北海道天塩町出身。剣道は小学1年で地元のスポーツ少年団に入り、始めた。東海大四高(現・東海大札幌)や東海大でも続けたが、地元のスポーツ関連会社への就職を機にやめた。 古くから警察官に憧れており、埼玉県警に入ったのは26歳だった1989年。警察学校では柔道か剣道の稽古が必須で、剣道を再開した。仕事の一環で、積極的なものではなかった。学生時代に華々しい実績を残したわけでもなく、厳しい稽古がずっと嫌だった。 ただ、仕事の合間に稽古を続け、昇段審査への挑戦を続けた。何度も落ちたが、決してめげなかった。 背景にあったのは、剣道をや…この記事は有料記事です。残り597文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

何が善で何が悪か、ぶつかる主張 葛藤する沖縄描いた劇 京都で上演

 1972年、沖縄が日本に復帰するのを目前に控えたある日、住民が意見をぶつけ合う。復帰を願う女性、文化や言葉を残したい男性、議論そのものを敬遠しようとする若者、考えがまとまらない有識者……。 沖縄が復帰から51年となった5月、那覇で活動する劇団・劇艶(げきしょく)おとな団の代表作「9人の迷える沖縄人(うちなーんちゅ)」の上演が京都市内であった。 テーブルと九つの椅子。復帰前、立場の違う9人が新聞社に集められた。 主婦が聞く。「結局基地はなくならないんですか?」。「大きな基地返還はなさそうですね」と別の女性。若者がつぶやく。「なーんだ、うちなーんちゅは蚊帳の外ってことじゃないか」 ドドド。舞台は暗転し、米軍機の音が鳴り響く。場面が転換すると、一人が言った。 「今回の台本難しくないですか? 知らないと、演じられないこと多いし」 復帰を前に、本土復帰について意見交換する――。そんな芝居を上演するため、稽古をするという二重の設定であることが、ここで明かされる。 現代の沖縄の稽古場は和やか…この記事は有料記事です。残り1267文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

硫化水素の理科実験で搬送相次ぐ なぜリスクがあっても必要なのか

 硫化水素を発生させる中学校の理科の実験中に、気分が悪くなり、病院へ救急搬送される事故が全国で相次いでいる。この2カ月で少なくとも、秋田、茨城、愛知、福岡の5校で44人が搬送された。硫化水素の実験はなぜ必要なのだろうか。硫化鉄に塩酸をかけ 福岡県飯塚市の中学校では6月2日午後、硫化水素の実験を実施した。市教育委員会によると、中学2年生の31人の生徒が参加したという。 実験ではまず、乳鉢の中で、鉄と硫黄を混ぜ合わせる。その化合物を熱して「硫化鉄」を作る。その硫化鉄に磁石をくっつけてみると、鉄ならくっつくはずの磁石がつかない。異なる物質になったことがわかる。 次の段階では、硫化鉄から米粒ぐらいの固まりを取り出し、試験管に入れる。その上に薄めた塩酸をかけると、「硫化水素」が発生。硫化水素は直接臭いを嗅ぐのではなく、手であおいで嗅ぐように指導したという。ドアや窓は開け放ち だが、授業が終わった後に「…この記事は有料記事です。残り1710文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

首都直下地震備え、感震ブレーカー全戸配布へ 東京23区で初

張春穎2023年6月7日 6時30分 東京都江戸川区は6日、地震による強い揺れを感知すると通電を遮断する「感震ブレーカー」を希望者に無償で全戸配布すると発表した。区によると、無償で全戸配布するのは23区で初めてという。 首都直下地震が発生した場合、区内では都内最多の62件の火災が発生する予測があり、電気火災による被害を抑制しようと考えた。取り付けが簡単で遮断したい機器を選べるコンセントタイプ(5千円相当)を配る。都が配布予定の木造住宅密集地域5万世帯を除く30万世帯を想定する。 また区は、区立小中学校や幼稚園などの給食費無償化を9月(2学期)から始めることを明らかにした。子育て支援策の一つとして取り組む。小中学校では児童・生徒約4万7千人が対象。今年度の予算額は14億円を見込む。(張春穎)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

リンゴ食べた後に女児死亡の保育事故 姶良市検証委員会が初会合

 鹿児島県姶良市の私立認可保育園で4月、女児がのどに異物をつまらせて意識不明になり約1カ月後に亡くなった事故で、市の事故検証委員会の初会合が5日夜、開かれた。発生原因を分析して再発防止策を検討し、年内に報告書をまとめる。 委員は医師、栄養士、保育関係者、弁護士ら6人で構成。初会合では、委員長に伊東安男・市保育協議会長を選出した。事故の概要について報告を受けたうえで、疑問点や不明な点の整理、今後の検証の進め方などを話し合った。今後は月1回、会合を開く。 一方、女児の保護者は5日、代理人の弁護士を通じて検証委員会に意見書を提出した。「なぜ生のリンゴを提供したのか。職員間の情報共有はできていたのか」「リンゴは十分になめらかにすりおろされていたのか」「異変に気づいた後の救護措置は適切だったのか」などについて重点的に調査するよう求めている。(宮田富士男) 姶良市の保育園事故で亡くな…この記事は有料記事です。残り106文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

胃潰瘍で死亡し労災認定、遺族提訴 代理人「企業側の責任を明確に」

山本逸生2023年6月6日 20時11分 富山市の男性(当時62)が2021年、出血性胃潰瘍(かいよう)を発症して死亡したのは長時間労働による過労が原因として、遺族が6日、男性が勤務していた東証プライム上場の北陸電気工事(富山市)に計約7300万円の損害賠償を求める訴訟を富山地裁に起こした。男性は今年5月、消化器系の病気としては異例の労災認定を受けた。 訴状によると、男性は19年8月の定年後も再雇用され、発症当時、放送局の新局舎建設事業で、電気設備工事の現場責任者として働いていた。21年10月以降、工事日程が過密になって長時間労働が目立つようになり、同12月に自宅で倒れて死亡した。 労災と認めた富山労働基準監督署は、死亡前直近1カ月の時間外労働を122時間だったと認定した。遺族側は、同社が男性に対する安全配慮義務などを怠り、「強い心身の負荷が生じることが明らかな過重な業務に従事させたことで死亡した」と訴える。 提訴を受け、北陸電気工事は朝日新聞の取材に「訴状が届いていないためコメントできない」とした。ホームページでは5日付で見解を公表し、「労災認定の事実を大変重く受け止める。同様のことを起こさないよう今後も健康経営の推進に努める」とした。 過労による労災を巡っては、脳や心臓の病気と精神障害以外は国の認定基準がなく、労働者側が申請をあきらめる事例があるという。遺族側代理人で過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士は提訴後の記者会見で、「裁判所が企業側の責任を明確にさせることが、労働者全体にとって大きな前進になる」と話した。(山本逸生)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

オートロックで来校者をチェック 中学校教員切りつけで埼玉・戸田市

有料記事浅田朋範 浅野真2023年6月6日 21時00分 埼玉県戸田市の市立美笹中学校で3月、無施錠の正門から侵入した少年(17)=さいたま市浦和区=が、テスト監督中だった教員に刃物で切りつけたとされる事件で、さいたま地検が6日、少年を家裁送致した。 少年は同校と無関係で、逮捕直後「誰でもいいので殺したかった」と供述した。無差別事件とみられ、市は再発を防ぐため、小中学校の安全対策を進めている。 全国的に珍しい対策は、美笹…この記事は有料記事です。残り482文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

名古屋城「差別の象徴になるかも」 市の対応、市議会で批判相次ぐ

 名古屋城木造天守の復元とバリアフリー化を考える名古屋市主催の市民討論会で、参加した身体障害者に対し差別発言があった問題をめぐり、6日の市議会経済水道委員会で「リスクマネジメントができていなかった」などと市側の対応を批判する意見が相次いだ。 討論会は3日に名古屋市内で開かれ、約40人の市民が参加した。河村たかし市長も出席した。 討論会では天守最上階までのエレベーター(EV)設置を求めた車いすの男性に対し、EV不要の立場の他の参加者から身体障害がある人への差別表現の発言などがあった。市側は差別発言を制止できず、注意もしなかった。河村市長は5日の定例会見で制止できなかったことを謝罪した。 委員会では、議員からは「(…この記事は有料記事です。残り182文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル