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空振りの可能性高い後発地震の情報 「死者20万人」の切迫性に重き

有料記事宮野拓也、宮脇稜平、西晃奈2022年11月8日 20時23分 続けて起きるかもしれない巨大な「後発地震」に注意を――。北海道沖から三陸沖の日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード(M)7以上の地震が起きたら、そんな情報を政府が出すことになった。M9級の巨大地震が起きれば北海道から千葉にかけて、津波で甚大な被害が想定される。被害を減らすため、情報の意味と、取るべき対応の正しい理解が必要になる。 政府は8日に公表したガイドラインで、情報が発表された時に、自治体や住民が取る対応を示した。それによると、後発地震に「特に注意を要する期間」の1週間、住民は家具の固定や避難場所、経路の確認など日頃の備えを再点検する。津波の恐れがある地域では、すぐ逃げられる服で寝たり、非常持ち出し品を枕元に置いたりすることも推奨する。 自治体には1日1回を目安に防災対応を住民に呼びかけるよう求める。1週間過ぎて巨大地震が起きなければ、引き続き平時の備えを徹底する。 後発地震に注意を促す同様の…この記事は有料記事です。残り1231文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

手製銃、刑がより重い容疑に問える?安倍氏銃撃、強い殺傷能力を確認

有料記事渡辺七海、浅田朋範2022年11月8日 20時28分 安倍晋三元首相の銃撃事件で、奈良県警が殺人容疑で送検した山上徹也容疑者(42)の手製銃を鑑定したところ、強い殺傷能力が確認された。県警は大勢の人がいる中で銃が発射された事態を重視し、銃刀法違反の発射容疑の適用を視野に入れている。 銃刀法は銃砲の所持を禁じ、拳銃など一部の銃砲については公共の場での発射を禁じている。今回の手製銃が発射容疑の適用対象になるのか県警は慎重に検討するが、専門家は「既製銃を前提にしている銃刀法の改正議論を進めるべき時だ」と指摘する。 山上容疑者は7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、選挙応援中の安倍氏に発砲したとして現行犯逮捕された。県警などによると、山上容疑者は背後約7メートルの距離から1発目を、約5・3メートルの距離から2発目を発砲。安倍氏は2発目の弾が当たり、左上腕と首の2カ所に弾が入った痕があった。研究所で鑑定、弾は複数枚の板を貫く 県警などによると、手製銃は…この記事は有料記事です。残り1293文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「ファイルを暗号化」「金を払え」 沼津市の医療機関にサイバー攻撃

南島信也2022年11月8日 17時45分 静岡県沼津市内にある医療機関が、ランサムウェア(身代金ウイルス)によるサイバー攻撃を受け、電子カルテのシステムに障害が起きていることを、ホームページ上で明らかにした。 医療機関によると、10月27日午前7時半ごろ、職員が電子カルテのシステムを起動したが立ち上がらず、約1時間後に英語のメッセージが表示された。「ファイルを暗号化した。解いてほしければ金銭を支払う必要がある。その意思があれば連絡を」との内容で、支払い方法は記されていなかったという。医療機関は攻撃元との交渉に応じる考えはなく、厚生労働省や県警などに被害を報告した。 電子カルテが使えなくなったため、外部のネットワークから切り離した新たな電子カルテを作成しているほか、残されていた紙のカルテで対応している。診察を受けるまでの待ち時間が多少長くなっている。電子カルテには少なくとも2千人分以上の患者のデータが保存されているが、8日現在で個人情報の流出は確認されていないという。(南島信也)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「パワハラ」訴えたウクライナ人女性、元勤務先と和解 奈良地裁

渡辺七海2022年11月8日 18時00分 上司からのパワーハラスメントが原因でうつ状態になったのに対策を講じなかったとして、奈良県内のウクライナ人女性(27)が東京都内の物資輸送会社に550万円の損害賠償を求めた訴訟が、奈良地裁で和解した。双方によると、会社側が解決金を支払うことで合意したという。和解は10月31日付。 訴状によると、女性は2018年8月から、同社の奈良市内にある事業所で契約社員として勤務。20年1月ごろから上司の男性課長によるパワハラが始まり、理不尽な叱責(しっせき)を受けたり、「野良犬」「早く帰りや、ウクライナ」といった暴言を浴びせられたりしたという。女性は21年5月、うつ状態と診断された。 また、今年の4月にはロシアのウクライナ侵攻を話題にし、女性にも聞こえるような声で、他の従業員と「(侵攻は)ウクライナも悪い」などと発言していたとも主張していた。 女性は7月末に雇用契約が満了し、更新されなかった。現在は就職活動中という。 同社の担当者は取材に対し「両者が納得する形での和解となって良かった」と話した。(渡辺七海)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

公園に描かれた巨大スプレーアート、若者が主導する「壁画」のまち

 「壁画を都市の新たなシンボルに」。そんな提案を10代と20代の若者たちから受けた大阪府富田林市が、壁画のあるまちづくりを目指し始めた。「富田林ミューラル(壁画)プロジェクト」と題し、第1号の壁画が市内の公園に完成。3日、除幕式が開かれた。 「壁画をシンボルに」と提案したのは、2021年4月に施行された市若者条例に基づいて設けた「市若者会議」の1期生25人。 「市のブランド化」「地域交流・多世代交流」など五つの部会ごとにさまざまな提案をまとめ、昨年9月に吉村善美市長に報告した。 若者会議の「ブランド化部会」(5人)が提案したのが、壁画だった。 「若者がSNSで拡散しやすい新しいシンボル」を探すなかでたどりついた。「将来的には御朱印巡りのように複数の壁画を巡るイベントなどでまちを盛り上げたい」と意気込む。 この提案を受けて市は今年度、壁画制作費などの関連予算約230万円を計上した。 完成した壁画は、金剛東中央公園(向陽台3丁目)内の南側通路沿いにある石積みの壁(高さ約5メートル、幅約10メートル)に描かれた。日系ブラジル人3世で大阪在住のアーティスト、チチフリークさん(48)が、約1週間かけて制作した。石積みの壁に描いた「オーバー・ザ・ムーン」 約30色の塗料をスプレーで…この記事は有料記事です。残り292文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

札幌五輪の開催経費、170億円増え最大3170億円に 札幌市公表

 札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪について、同市は8日、経費などを見直した新たな開催概要案を公表した。開催経費総額は昨年11月公表時の2800億~3000億円から170億円増え、2970億~3170億円とする。物価高に伴う運営費の増加が主な要因だ。 最大3170億円の開催経費のうち、スポンサー費用やチケット収入で賄う大会運営費は、前回公表時より200億円多い2200億~2400億円。物価高の影響を反映したほか、スポンサー収入の変動を想定して予備費を積み増した。 税金投入などを伴う施設整備費は770億円で前回より30億円減。ただ減少分は大会運営費に含まれる仮設費用に移されており、実質的にほぼ変更はない。整備費のうち札幌市の負担は490億円で、前回より40億円増えた。 招致スローガンは「世界が驚く、冬にしよう」。経済波及効果は国内全体で7500億円とし、開催後10年間の「レガシー効果」が2兆五千億円見込めるとした。北海道や札幌の知名度が高まり、訪日客や食品輸出が増えるという。 札幌市は五輪簡素化を目指す…この記事は有料記事です。残り484文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

宗教法人への質問権めぐる文化庁の基準案 有識者会議が了承

2022年11月8日 15時02分 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への「報告徴収・質問権」について議論している文化庁の有識者会議が8日開かれた。宗教法人にどんな問題があればこの権限に基づく調査ができるか、文化庁が一般的な基準案を委員に示し、了承された。今後、具体的な質問の内容を検討する手続きに入る。 文化庁の合田哲雄次長は会議の冒頭、「この基準を踏まえ報告徴収・質問権を行使できるようになる。文化庁宗務課の態勢も強化したので、情報収集は同時並行でしっかりと行いたい」と話した。 基準案はまず、宗教法人法が憲法の定める信教の自由などの原則に従い、所轄庁による権限行使について抑制的であることを求めていると言及。質問権を行使できる場合について同法が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」疑いがあることなどを挙げている点を踏まえ、「疑いがあると判断するための一般的な基準を設けることが必要」とした。法令違反めぐり公的機関の認定求める そのうえで、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」疑いがあるかを判断する根拠として、「公的機関で当該法人に属する者による法令違反や当該法人の法的責任を認める判断があること」「公的機関に対し、当該法人に属する者による法令違反に関する情報が寄せられており、それらに具体的な資料か根拠があると認められるものが含まれること」「それらと同様に疑いを認めるだけの客観的な資料、根拠があること」を挙げた。 加えて、「著しく公共の福祉を害する」という要件に該当する疑いも必要だとして、「偶発的な法令違反、一回性の法令違反によりただちに疑いがあると判断するのは相当ではない」と指摘。「当該法人に属する者による同様の行為が相当数繰り返されている」「被害が重大である」など、法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている「疑い」があると認められることが必要だとした。 一方、同法が質問権を行使できるケースとして「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」疑いがある場合も挙げていることを踏まえ、「著しく逸脱した行為」に該当するかどうかを判断する際は、「行為の結果、影響の内容及び程度」「行為の反復性、継続性の程度」などの観点から総合的に判断したうえで、著しく逸脱した「疑い」があると認められることが必要だとした。旧統一教会問題2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[記事一覧へ]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

7月の参院選、広島高裁岡山支部も「合憲」 「一票の格差」訴訟

有料記事神崎卓征 森下裕介2022年11月8日 15時09分 「一票の格差」が最大で3・03倍となった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが「投票価値の平等を定めた憲法に違反する」として、岡山選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決が8日、広島高裁岡山支部であった。河田泰常裁判長は「合憲」と判断し、原告側の請求を棄却した。 二つの弁護士グループが全国14高裁・高裁支部で計16件起こした一連の訴訟で11件目の判決。これで「憲法違反」が1件、「違憲状態」と「合憲」が各5件となった。高裁判決は15日までに出そろい、最高裁が来年にも統一判断を示す見通し。 最高裁は、最大格差が5・0倍、4・77倍だった2010年と13年の参院選について、違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断した。一方、定数の「10増10減」や、島根と鳥取、徳島と高知での合区採用で3・08倍に縮まった16年、3・00倍となった19年の参院選については「合憲」とした。 ただ、今年7月の参院選では3・03倍に広がった。単純計算すれば、定数1あたりの当日有権者数が最多だった神奈川選挙区の一票の価値は、最少だった福井選挙区の「0・33票」分になった。原告側は「国会の格差是正に向けた姿勢は失われた」と主張。被告の岡山県選挙管理委員会側は「格差は合憲判決だった19年とほぼ同じだ」などとして請求棄却を求めていた。(神崎卓征) 選挙区ごとの人口の違いから…この記事は有料記事です。残り399文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

園庭も人手もない、遊ばせられない 待機児童減少だけど 嘆く保育士

 来年4月の入園に向けた保育園の申し込みが各地で始まった。東京都内では今春、待機児童数は300人で過去最少になった。だが、受け皿の整備が進んだ一方で園庭のない施設が増えるなど、保育の環境に課題は残る。23区内で保育士を35年以上続けている女性(59)が思いを語った。混み合う公園、「園庭あれば」 女性は区立園や私立認可園に勤めてきた。いま勤める区では、区立園には園庭があるが、私立園には園庭がほとんどない。園庭がない場合、外遊びで近くの公園に行くが、一つの公園が複数の園で混み合う。 東京都の待機児童は2009年以降7千~8千人で推移し、14年には8672人いた。18年から減少が続き、21年には969人と記録が残る中で初めて1千人を下回った。保育園の整備が進んだことなどが要因とされる。一方で、保護者らでつくる「保育園を考える親の会」によると、保育園が急増した地域では園庭のない施設が多くなった。首都圏の主な100市区を対象にした調査では、18年度の園庭保有率の平均は73・1%、22年度は69・8%と減っている。 ある公園に行った時のこと。遊具を他園の園児が使っていたため、端にある植え込みの前で遊ばせた。園児は遊具に行きたがったが、引き留めるしかなかった。他園児と密集すれば園児の把握がしにくくなり、けがのリスクも高まる。 公園では制約が増える。「園庭があれば」と思う。やりたい遊びを選ぶ機会を子どもたちから奪ってしまい、心が痛む。興味を持った遊びに挑戦することで達成感や満足感が得られ、意欲を伸ばし、成長につながるからだ。 園舎についても、国の基準より広いかどうかは園によって異なる。様々なおもちゃを置く広さが十分にない園もあった。保育士はギリギリ トイレも「ちょっと待って」 職員数の問題もある…この記事は有料記事です。残り979文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「白い闇」ホワイトアウト、目の前なのにGPS頼り 昭和基地へ帰還

大陸沿岸への下り坂、滑りやすい氷の斜面は「列車」編成でそりを下ろす。そりを前後の雪上車の間に置いてワイヤでつなぐ。 昭和基地を出発してから17日目の2020年10月22日。出発準備でそりをつないでいると、あたりが真っ白になる。「また地吹雪か」。停車していた場所へ戻ろうとしたが、何も見えない。数十メートルか百メートルか、いくらも離れていないはずなのに。無線で緯度・経度を聞いてやっと戻った。 「これじゃ無理だな」。出ばなをくじかれて、空気もよどむ。昼食で集まっても、皆の口数は少なく、ピリピリした感じが漂う。ささいなことにいらついてしまうのは、小さな閉鎖社会ならでは。そんな時はこう考えるようにする。「後で振り返って笑えたらいい」 天候は好転せず、再びキャンプ態勢へ。前もよく見えないままそり列をつくる。並べ終わった途端に晴れてきた。絵画のような美しい青空が広がる。地吹雪の中、気象隊員の福田裕大さんが風に向かって仁王立ちしていた。「顔が凍る」。手には風速計。朝昼夕と毎日3回、気温や風向・風速・気圧を測っている。 夕食時はなごやかな雰囲気が…この記事は有料記事です。残り599文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル