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偽版画の制作販売、画廊の元代表に有罪判決 東京地裁

新屋絵理2022年3月9日 10時08分 著名な日本画家の偽版画を制作・販売したとして、著作権法違反の罪に問われた画廊「かとう美術」(大阪市)の元代表・加藤雄三被告(53)に対し、東京地裁(小林謙介裁判長)は9日、懲役3年執行猶予4年、罰金200万円(求刑・懲役3年、罰金200万円)の判決を言い渡した。 加藤被告は1月の初公判で起訴内容を認め、「著作権者をはじめ業界や購入者などにも多大な迷惑をかけた」と謝罪した。「一度に大量に流通させると偽物とわかるため少しずつ売っていた」と流通量を調整していたことなども明かした。 冒頭陳述などによると、加藤被告は2007年ごろ、共犯とされる北畑雅史被告(68)=同罪で起訴=に版画作品の修復作業を依頼した。出来が良かったことなどから、翌年から有名版画の複製を頼んだという。弁護側 「美術品の偽物、めずらしくない」 北畑被告は自身の版画工房の経営が悪化していたことから、1作品あたり数十万~100万円で引き受けたという。 20年ごろから画廊経営者らの間で偽版画販売などの疑いが強まると、加藤被告は北畑被告と通じて、保管していた偽版画約100枚を焼却して証拠隠滅もはかったという。 検察側は論告で「作品の価値を低下させ版画業界の信頼を失墜させた」として懲役3年、罰金200万円を求刑。弁護側は「美術品では偽物の混合もめずらしくない。深く反省している」として執行猶予付きの判決を求めていた。 業界団体でつくる臨時偽作版画調査委員会が21年4月、警視庁に告発状を提出。同年9月に加藤・北畑両被告が著作権法違反容疑で逮捕された。(新屋絵理)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

最大想定は震度7 南海トラフと共に備える中央構造線断層帯とは?

 南海トラフ地震が30年以内に高い確率で起きると想定される四国では、もう一つ、大地震の可能性が眠る。中央構造線断層帯による地震だ。 徳島県三好市を流れる吉野川の河原に下りると、南側の地面は青っぽい土が、北側は黄っぽい土が目立つ。この南北の境目に中央構造線の断層が通る。 この河原は、断層が地表に顔を出した「露頭」。南北で土の色が違うのは、露頭を境に地質が違うからだ。愛媛県の西条市や砥部町でも、露出した中央構造線の断層が見られる。 中央構造線断層帯は、奈良県と大阪府の金剛山地を東端とし、大分県まで延びる全長400キロ超の日本最大級の断層帯だ。四国では徳島県鳴門市から三好市、愛媛県の松山市周辺を経由し、伊予灘に抜ける。伊方原発の北側沖合8キロほどを通るとされる。異なる脅威、南海トラフより死者想定多い地域も 中央構造線が活断層として動き始めたのは約300万年前。直近では17~19世紀ごろ愛媛沖付近で動いたと推定されるが、詳細な地震の記録は残っていない。 この断層がいま動くとどうな…この記事は有料会員記事です。残り1140文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

学校から廊下なくしました 校舎を増築した小学校の「発想の転換」

 廊下がなく、多目的スペースを囲むように各教室を配置――。神奈川県海老名市立今泉小学校にこんな校舎が建て増しされた。市や市教育委員会は、この校舎を今後の市立小中学校のモデルに位置づける方針だ。廊下をなくすことに、どんな意味や狙いが込められているのか。 8日にあった完成記念の式典。和田修二校長は6年生に対し「皆さんが社会で活躍するころには、人工知能やロボットが処理するのが当たり前」と語りかけた。この校舎で「学級の枠を超えて自分の考えを発信し、多様な考えに触れ、議論する環境」ができたとし、「新しい発想やアイデア、よりよい物を作り上げる力が育つ」。廊下をなくした狙いをそう説いた。 今泉小は、ここ数年でタワーマンションなどが林立する海老名駅周辺を学区に含む。現在約770人の児童数は、2030年ごろ1500人程度に達する見通しだ。このため、市は校舎を増築した。 廊下撤廃による最大の特徴が教室の配置だ。2~4階は約150~230平方メートルの多目的スペースを中心に据え、それを囲むように各教室を配した。仕切りは扉だけで、開放すれば一体的に利用できる。廊下の脇に教室が一列に並ぶ従来の校舎にはない発想の転換だ。伊藤文康教育長は「学級の枠を取っ払って、常に真ん中に子どもたちが集まれるようにしたかった」と話す。 既存の校舎完成から約40年…この記事は有料会員記事です。残り431文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

神戸の街に寄り添い半世紀 サテスタが歴史に幕 問われるラジオの力

 神戸・三宮の地下街にあるラジオ関西(神戸市中央区)のサテライトスタジオが、三宮の再整備事業にともない3月末で半世紀余りの歴史に幕を下ろす。旬の曲を発信するだけでなく、震災を乗り越えた街の歩みを見届けてきた「サテスタ」に、別れを惜しむ声が上がっている。 日曜の正午過ぎ、買い物客らでにぎわう地下街「さんちか」の一角で、ガラス張りのブースに「ON AIR」の赤色灯がともる。「こんにちは、今日もさんちかサテスタより生放送でお送りします」 ラジオ関西が毎週生放送している「さんちかサテスタサンデー」。地元・神戸の話題とともに、1970~80年代の懐かしの洋楽を届ける25分番組だ。2月27日の放送では、三宮駅や市役所を結ぶ大通り「フラワーロード」の歴史に触れながら、フリオ・イグレシアスやクレモンティーヌの爽やかな歌声を届けた。サテライトスタジオとは テレビの普及した60年代、ラジオ各局は新たな取り組みを模索していた。その中で生まれたのが、人の集まる百貨店や駅前で公開放送を行うサテライトスタジオだ。 62年、ニッポン放送が東京・新宿の小田急百貨店内に設けたのが国内第1号とされており、収録風景を実際に見てもらうスタイルは全国へと広がった。ライブのような臨場感と、有名人を間近で見られることも人気の要因の一つとなった。 さんちかサテスタの開設は、地下街オープンから2年後の67年。地下街への進出は全国初で、バンドの生演奏ができる広いスペースが特徴だった。当時は連日昼から夕方にかけて、30分または1時間のサテスタ発の番組が3本ほど放送されており、パーソナリティーには落語家の笑福亭仁鶴さんや作家の藤本義一さんらが名を連ねた。 生演奏も特徴の一つ。人気ミュージシャンの出演時などには数百人が集まり、ガラスの壁が熱気で曇るほどだった。おしゃれなショッピングエリアの一角で、「サテスタ前」は若者たちの待ち合わせスポットにもなっていった。「若手の登竜門のような場所だった」 フォーク歌手のばんばひろふみさん(72)は、「目の前のリスナーの反応や一体感をじかに感じられるのが醍醐味(だいごみ)。毎週のように見に来てくれる方もいて、一丸となって番組を作っている感覚があった」と懐かしむ。 ばんばさんは74年の春から1年間、サテスタでパーソナリティーを担当した。フォークグループ、バンバンの5枚目のシングル「『いちご白書』をもう一度」でブレークするのは翌75年のことだ。 番組では、その前に出した「冬木立(ふゆこだち)」を繰り返し生演奏した。「結果的に冬木立は売れなかったけど、ここで勢いが付いて東京へ勝負に行ってくるという感じだった。いちご白書で売れた後にさんちかで再び生演奏したときは、ものすごい数のお客さんが来てくれてうれしかったですね」 サテスタには連日、アマチュアも含めて数多くの若手ミュージシャンが出演し、「登竜門のような場所でもあった」とばんばさんは言う。「YouTubeはもちろんないし、テレビに出られるのは売れてから。フォークのヒット曲は、ラジオの深夜放送やサテライトの番組から生まれることが多かった」と振り返る。 だが、時代とともに娯楽は多様化した。各地のサテライトスタジオの多くはいま、すでに役割を終えて閉鎖している。その中で、なぜさんちかサテスタは半世紀以上在り続けたのか。■震災後の人々をつないだ肉声…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大学の出願書類、高校教員が成績を誤記載 11人は本来より低い形に

石井力2022年3月9日 8時06分 山形県立米沢興譲館高校(米沢市)は8日、大学の出願書類に誤記載があった、と発表した。11人分の英語の成績を低く記載していた。11人は計21大学26学部に出願し、このうち私立の11大学14学部の合否に影響はなく、国公立の10大学12学部についても大きな影響はないと考えている、という。 同校によると、1日に生徒の1人から英語の評定に誤りがあるのではないか、との申し出があった。調べたところ、英語の一部の科目で「学年の評定」を記載すべきなのに、「2学期の評定」を記載していたという。3年生194人に同じ誤りをしており、このうち11人は2学期の評定の方が、学年の評定より低かったため、誤りとなった。各大学には正しい調査書を送り、差し替えを依頼した。 本来は複数の教員で作成するはずなのに、1人で作成し、確認も不十分だった。同校は11人の自宅を訪問し謝罪した。曽根伸之校長は記者会見で「生徒には不安な気持ちにさせてしまい、誠に申し訳ない。進路が決まる最後までしっかり見守っていく」と話した。(石井力)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

五十嵐よ… あかんかっても、ままならない人生の先に カムカム

 僕にも夢があった。かなわなかったけれど――。夢破れて去っていく斬られ役に声をかけたのは、あの人だった。長い間、どうにもならない思いを抱えてきた人生の先輩として。3月9日のカムカムエヴリバディで描かれたのは、大切なものとの別れだ。 大部屋俳優の五十嵐(本郷奏多)は、人生をこじらせていた。ライバルが出世していく中、自分は万年斬られ役。とうとう、ひなた(川栄李奈)との結婚も殺陣を極める夢もあきらめ、映画村を去ろうとする。 そんな時、映画村の休憩所に思わぬ人物が現れる。聞けないCD 五十嵐に会いに来たようで、餞別(せんべつ)のつもりか、手にはCDを持っている。トミー北沢(早乙女太一)のものだ。 「知ってる? 僕の友達」 錠一郎(オダギリジョー)だ。 「僕もなあ。夢があったんや。若いころ」暗闇の道の向こうに 「一度は手が届いたように見えたけど。あかんかった」 錠一郎は、一度もCDを聞けずにいると話す。自分はトランペットを吹けなくなったのに、トミーはレコードやCDを出し、渡米まで。届かなかった夢を見るのがつらかった。 「そやから、僕にはわかるんや」 五十嵐がひなたを大事に思っていること、だから別れること。自分がかつてるい(深津絵里)の前から消えようとしたように。トランペットを吹けないままの錠一郎は、五十嵐にどんな言葉を贈るのでしょうか。虚無蔵の言葉とともに、記事後半で。 今があるのは、暗闇の道の先…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「悪いことはしていない」旭川医大・吉田前学長が会見 頭下げず

 国立の旭川医科大学(北海道旭川市)の学長辞任を3日付で認められた吉田晃敏氏(69)が8日、東京都内で記者会見し、同大の学長選考会議が吉田氏の解任を申し出たことについて「全く悪いことはしていない」などと反論した。一方で、「国民の皆様にご心配をかけ、深くおわびします」と述べたが、頭を下げることはなかった。 吉田氏をめぐっては、学長選考会議が昨年6月、34件の不適切支出やパワーハラスメントなどを指摘し、文部科学相に解任を申し出た。吉田氏はこの直前に辞表を提出し、文科省の聴聞に対しては全面的に反論していた。学長選考会議が「新体制への移行を優先したい」として2月25日付で解任申し出を取り下げ、辞任が決まった。 吉田氏が会見するのは、大学病院の古川博之院長の解任の経緯を説明した昨年1月26日以来。 この日の会見では冒頭、吉田氏の代理人を務める弘中惇一郎弁護士が「学長選考会議は、我々の反論に再反論できないから解任申し出を取り下げた、と考えざるをえない」と指摘。不適切行為と指摘されたパワハラや学内での飲酒については、「思い込みや臆測に基づくものがあり、具体的な事実関係を把握していない」と批判した。 また、契約が切れた学長特別…この記事は有料会員記事です。残り467文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

カムカムで注目 本郷奏多の生きる五十嵐 ライト浴びぬ葛藤あらわに

 眉間(みけん)で語る。不機嫌なのか、うれしいのか。眉の角度一つで自在に表現する。 「子どもっぽいところもあるんだけど、この人なりの信念がある役です」 俳優の本郷奏多は、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の五十嵐文四郎についてこう話す。時代劇スターを目指す大部屋俳優で、死体役だったり斬られ役だったり。夢と恋人の間で揺れ動く“売れない役者”を演じている。「無愛想な男」からの「文ちゃん」 主人公のひなた(川栄李奈)と出会った当初、役のクレジットは「無愛想な男」だった。大月の店に現れ、ぶっきらぼうに回転焼きを一つ買う。眉間のゆがみでいらだちを表していた。 笑顔を見せるのは、映画村で再会したひなたと仲良くなってから。「五十嵐」と呼ばれ、恋人になってからは「文ちゃん」に。次第に表情が緩んでいく。 けれど、ひとたび刀を握れば、侍になりきる。いつ回ってくるともしれない出番に備え、殺陣の鍛錬に余念がない。クセ強めな五十嵐について、本郷奏多さんは「好青年ではないけれど」と愛情たっぷりに語ります。記事後半で。 演じる上で、大部屋の独特の…この記事は有料会員記事です。残り749文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「不審取引」指摘も無視 経緯記した資料を押収 SMBC日興事件

独自2022年3月9日 5時00分 SMBC日興証券の専務執行役員らが不正な株価操作をしたとされる事件で、社内の監視部門が元エクイティ部長・山田誠容疑者(44)に不審な取引がシステム上で検知されたことを指摘しながら、是正措置が取られなかったことが、関係者への取材で分かった。経緯を記録した資料も残されていたといい、押収した東京地検特捜部が管理体制の実態を調べている。 金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで逮捕された山田容疑者ら4人は、大株主の保有株を市場外で買い取って投資家に売る「ブロックオファー」取引が成立するよう、取引の基準となる市場終値の下落を避ける株価操作をしたとされる。逮捕容疑は東証1部上場の5銘柄で、自社資金で株式を売買する部署のトップだった山田容疑者が市場が閉まる直前に大量の買い注文を入れたという。システムが警告→ヒアリング→放置 証券会社は不審な取引を検知して警告を発する自動システムを導入しており、SMBC日興では売買管理部がシステムを使って取引を監視、審査している。 関係者によると、山田容疑者が行った取引時間終了間際の大量注文に対し、このシステムが作動した。売買管理部の担当者が山田容疑者にヒアリングをしたが、山田容疑者はあしらうような対応をして是正しなかったという。売買管理部もそれ以上の審査はせず、問題は放置された。一方で担当者は、山田容疑者の発言を含めた一連の経緯を記録に残したという。 同様の買い支えは逮捕容疑を含めて十数銘柄で行われた疑いがあり、特捜部は容疑者らがやり取りした通話データやメールも押収して解明を進めている。 同社の近藤雄一郎社長は5日の会見で、システムが抽出した取引の審査について「問題の有無を判断する目線が担当者間で統一されていなかった」と語った。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

サファイアなど5700万円相当の窃盗容疑「10万円で依頼受けた」

板倉大地2022年3月8日 20時21分 民家から約5700万円相当の貴金属を盗んだとして、福岡県警は福岡県大任町大行事の無職、山橋隆博容疑者(61)を住居侵入と窃盗の疑いで逮捕し、福岡地検飯塚支部に送検したと8日、発表した。容疑を認め「10万円の報酬で依頼を受け、盗んだものを依頼者に渡した。家族に危害が及ぶので誰に渡したかは言えない」などと供述しているという。 県警捜査3課によると、逮捕容疑は昨年10月31日午後3時半~午後7時45分ごろ、同県福智町にある自営業の女性(当時73)宅に侵入し、貴金属66点(計約5700万円相当)を盗んだというもの。ダイヤモンドやルビーがあしらわれた約750万円相当の腕時計や、サファイアの指輪(約300万円相当)が含まれていたという。 県警はこのほか、同容疑者の供述に基づいて、昨年9月~今年1月に大任町などで現金や貴金属など計約500万円相当が盗まれる窃盗被害6件を確認したという。(板倉大地)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル