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父「娘の冥福祈る日々」 沖縄・うるま女性殺害5年

木村司、寺本大蔵2021年4月28日 22時30分 沖縄県うるま市の女性が、元米兵で当時米軍属だった男に殺害された事件から28日で5年。女性の遺体が見つかった現場には1日限りの献花台が設けられ、訪れた人が手を合わせていた。女性の父親は知人に対し、自分はいま娘の冥福を祈るために生きている、と心境を語っているという。 遺体が遺棄されたのは沖縄本島北部、米軍基地が広がる山中の県道脇。近くに住む元金武町長の吉田勝広さん(76)が遺族の了解を得て献花台を置き、ユリの花やコーヒーを供えた。 沖縄では今年に入っても米兵による強制わいせつ事件が発生。父親と親交のある吉田さんによると、父親は、米軍関係者の事件が繰り返されていることに心を痛めているという。吉田さんは「忘れないんだという思いです。二度と繰り返させない、とも言いたいが、沖縄では頻繁に起きている。繰り返させないために何をするのか、決意しないといけない」と話した。 4月28日は講和条約発効で日本が独立を果たしてから69年にもあたる。沖縄では、日本から切り離された「屈辱の日」とも呼ばれ、この日にあわせて那覇市内では、米軍関係者による事件事故が絶えないことなどに抗議する集会があった。 約50人が参加。主催した労働組合などでつくる「沖縄平和運動センター」の山城博治議長(68)は「来年はいよいよ本土復帰50年。4・28は来し方を振り返り、これからの生き方を考える日」とあいさつ。「残念ながら本土復帰の結果、(在日米軍基地が集中するため)平和で安心して暮らせる社会とはほど遠い」と語った。(木村司、寺本大蔵)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

国基準「事故後6カ月」過ぎて精神障害、高裁が労災認定

大野晴香2021年4月28日 21時30分 職場の事故で2年後に精神障害を発症した男性が、国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が28日、名古屋高裁であった。始関正光裁判長は男性敗訴の一審判決を変更し、労災と認定した。精神障害を労災認定する国の基準は、事故から発症まで「おおむね6カ月」としており、男性の代理人は「画期的な判決」と話している。 男性は愛知県内の工場で勤務していた岩永純弘さん(55)。2012年10月、機械に顔を挟まれ、左目を失明。これは労災認定された。14年10月ごろには痛みや事故の恐怖などで適応障害を発症したが、一宮労働基準監督署は、厚生労働省の基準の「おおむね6カ月」を過ぎ、因果関係が認められないとして労災保険を不支給とした。 高裁判決は「事故や左目の負傷による心理的負荷は相当強度なものだった」と指摘。事故と精神障害との因果関係を認め、不支給を取り消した。 岩永さんは「事故では死ぬ思いをし、今も手が震える。認められて良かった」。代理人の田巻紘子弁護士は「労基署は『6カ月』の基準に形式的に当てはめるのではなく、実態に則して判断するべきだ」と話した。(大野晴香)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

タコの滑り台は芸術品? 類似遊具を訴えた裁判で判決

村上友里2021年4月28日 21時35分 公園にある「タコの滑り台」は、著作物として保護されるべき芸術品かどうか――。この点が争われた著作権侵害訴訟の判決が28日、東京地裁であった。裁判長が示した判断とは……。 原告は、タコの足がスライダーや階段状になっている滑り台を1970年代に開発したデザイン会社(東京都)。被告の遊具製作会社(同)が、これとよく似た滑り台を許可なく都内の公園に計2台作ったことが著作権の侵害にあたるとして、約430万円の損害賠償を求めていた。 訴訟のなかで原告側は、タコの胴体を空洞にするなど工夫を凝らした点をふまえ「不思議さ、楽しさを体感してもらうため彫刻家として創作した」と指摘。誰でも製作できるものでなく「職人の芸術的なセンス」が不可欠だと訴えた。 被告の遊具製作会社は、安全確保のために改修されたり、色彩が大幅に変更されたりし、「一般の人は美的な鑑賞対象より遊具として評価している」と主張した。 国分隆文裁判長はこの日、滑り台の頭や足、空洞、赤い外観について「タコを連想させ、子供たちに親しみやすさを感じさせる遊具としての機能だ」と指摘。そのうえで「遊具の性質の域を出るものではない。美術品とは認められない」と著作権の侵害にあたらないと判断して、原告側の訴えを退けた。 原告のデザイン会社は、タコの滑り台約200台を全国に設置している。敗訴した同社は判決後の取材に「タコで始まり、タコで終わる人生だと思っている。判決は受け入れられない」と回答。控訴する方針という。(村上友里)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「無関心が埋め立て進める」 沖縄「屈辱の日」に抗議

斎藤徹2021年4月28日 22時30分 4月28日は、1952年に沖縄などが日本から切り離された「屈辱の日」。今なお過剰な米軍基地負担を被る沖縄の現状を知ってもらおうと、沖縄出身者らでつくる市民団体が28日夕、札幌市内で無言の抗議活動をした。 主催したのは「沖縄の基地を考える会・札幌」。北海道をはじめ「本土」に住む人たちにも在日米軍基地問題に関心をもってもらおうと、基地の本土引き取り運動をしている。 太平洋戦争で敗れた日本は、1952年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約により主権を回復した。だが、沖縄や鹿児島県奄美群島などは日本から切り離され米国の統治下に置かれた。72年に日本に復帰するまでの間、日本全土にあった米軍基地が沖縄に集中することになった。 街頭活動に立った渡名喜隆子代表は、日米両政府が返還合意してから25年経った米軍普天間飛行場について「沖縄県民が辺野古移設、新基地建設反対の民意を国政や県民投票で訴えているにもかかわらず、日本政府は辺野古を埋め立て新基地建設を続けている。辺野古の工事をやめさせる責任は、日本に住む私たち一人ひとりにある」と訴えた。(斎藤徹)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ファンと市民の場に 関西将棋会館の高槻市移転で覚書

寺田実穂子2021年4月28日 17時52分 大阪市福島区にある関西将棋会館を大阪府高槻市に移転することについて、日本将棋連盟(佐藤康光会長)と高槻市(浜田剛史市長)が28日、覚書を締結した。新会館は、2023年度中の完成を目指している。 佐藤会長と浜田市長は、関西将棋会館で書面に署名した。覚書には、移転先として、JR高槻駅西口近くにある市有地「JR高槻西滞留所」(芥川町)と明記した。佐藤会長は「将棋ファンと高槻市民のみなさまが身近に楽しめる場所として、移転の手続きをすすめたい」、浜田市長は「日本が世界に誇る将棋文化の振興に市がその一助となることを誇りに思っている」と話した。 式後の記者会見では、市からの提案として、固定資産税と都市計画税の免除、ふるさと納税制度を活用した建設費用の寄付募集協力が発表された。今年夏ごろに正式合意書を締結する。 現在の会館は1981年に完成。鉄筋コンクリート造り5階建てで、対局室のほか道場や売店がある。近年は、老朽化のため建て替え時期にあったが、19年、「将棋のまちづくり」を推進する同市から連盟関西本部へ移転の打診があった。今年2月に連盟が臨時総会で同市への移転を決めていた。(寺田実穂子)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

都内の寄席、一転休席へ 「よくやった」と言われたが…

 東京都内にある四つの寄席が5月上旬から休席することが28日に発表された。今回の緊急事態宣言に際し、政府が要請した「無観客開催」を受け入れずに通常通り興行を続けていた寄席だが、何があったのか。 「こんなに反響があると思わなかった」「芸人さんの立場を思った。他の仕事がキャンセルされる中で、寄席ぐらい開けてあげたらどうだろうかという。そんなに世間に波風立てるつもりはなかったんです」 4月26日、浅草演芸ホールの松倉由幸社長はそう語っていた。 東京には上野の鈴本演芸場、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場と四つの寄席があり、落語や漫才、奇術、曲芸などの演芸を毎日興行している。この興行形態は江戸後期から続いており、世界でも特殊な劇場だ。 鈴本は落語協会(落協)のみ、他の3席は落協と落語芸術協会(芸協)が交互に出演する。 3度目の緊急事態宣言を4月…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

元グリーンベレー、6月14日に初公判 ゴーン被告逃亡

三浦淳2021年4月28日 19時15分 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(67)の海外逃亡を助けたとして、犯人隠避の罪で起訴された米軍特殊部隊「グリーンベレー」元隊員のマイケル・テイラー被告(60)と息子のピーター被告(28)の初公判が6月14日に東京地裁で開かれることが決まった。地裁が28日、明らかにした。親子は起訴内容を認めるとみられる。 起訴状によると、親子は2019年12月29日、ゴーン元会長=会社法違反(特別背任)の罪などで起訴=が海外逃亡禁止の条件で保釈中と知りながら、元会長を音響機器用の箱に隠し、関西空港からトルコ経由でレバノンに逃亡させたとされる。3月に日本に引き渡される 東京地検特捜部は20年1月に親子の逮捕状を取得した。米捜査当局は5月、日米間の犯罪人引き渡し条約に基づき、米国に戻っていた親子を逮捕。国務省も引き渡しを承認した。 親子は引き渡しを阻止するための法廷闘争を繰り広げたが、連邦最高裁が今年2月に申し立てを棄却。3月に日本側に身柄が引き渡され、特捜部に逮捕された。(三浦淳)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「風俗店」の客引き、実は詐欺集団 池袋で相次ぐ被害

 東京有数の歓楽街・池袋の路上で、無店舗型風俗店の客引きを装って男性に声をかけ、現金をだまし取ったとして、警視庁は男6人を詐欺容疑で逮捕し、28日発表した。風俗店の営業実態はなく、男性をホテルに案内しながら料金を受け取り、そのまま逃げていたという。 逮捕されたのは、住所不定の無職石川龍馬(31)、東京都豊島区池袋本町4丁目の無職伊東佑典(32)の両容疑者ら、20~30代の6人。 池袋署によると、池袋では数年前から同様の被害が相次いでいる。 昨年1年間だけで署には約200件の相談があり、被害額は計約5500万円に上っていた。「女優が在籍している」「女性の安全のため」などと言われ、保証料やキャンセル料の名目で数百万円を詐取された男性もいた。署は6人との関係を調べている。 6人の逮捕容疑は、2月27日夜に豊島区池袋1丁目の路上で20代の男性3人に「女の子とホテルに行けます」と声をかけ、現金計約9万6千円をだまし取ったというもの。6人は警察の摘発を免れるため、ホテルまでの案内役を次々と入れ替えていたという。 6人は「PSグループ」と呼ばれる地元の客引きグループのメンバーだといい、署はほかにも関与した人物がいるとみている。店関係者装い、声かけ… 東京五輪・パラリンピックを…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

調布の陥没、本当に特殊ケース?指摘された「不十分さ」

 特殊な地盤条件下での特別な工事が要因――。東京都調布市で昨年10月に起きた陥没について、東日本高速道路(NEXCO東日本)の有識者委員会は、報告書でこんな認識を示した。東京外郭環状道路(外環道)の工事が原因と認める一方、あくまで特殊なケースだという。地上への影響がないとされる大深度地下工事を検証する。 陥没場所の地下を通る外環道は、関越道(東京都練馬区)と東名高速(世田谷区)を南北16・2キロのトンネルで結ぶ高速道路だ。大部分が40メートルより深い「大深度地下」を通り、地盤を削る大きな刃の付いた「シールドマシン」(直径16メートル)という掘削機が掘り進める。 陥没は昨年10月、この掘削機が通過したルートの直上で起きた。閑静な住宅街の市道が長さ約5メートル、幅約3メートルで崩れ、その後の現地調査で3カ所の地下空洞も相次いで見つかった。 地上では掘削機がこの地域に達した昨年9月ころ、家屋などで振動が起きたり、亀裂が出たりするなどの異変が起きていた。NEXCO側は現地調査をし、国土交通省もトラブルの報告を受けていたが、その最中に陥没は起きた。 有識者委員会がまとめた報告書は、この陥没や空洞と外環道工事との因果関係を認めた。メカニズムはこうだ。 陥没場所の地下は地表面近く…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

避難勧告を廃止、避難指示に一本化 改正災対法が成立

 災害時の避難情報を大幅に変更する改正災害対策基本法が28日、参議院本会議で全会一致で可決され、成立した。大雨の警戒レベルで危険度が2番目に高いレベル4に避難勧告と避難指示が混在していたが、避難勧告を廃止して避難指示に一本化する。 これまで二つの避難情報の意味の違いが住民に浸透しておらず、避難を始めるタイミングが遅れることなどが課題とされていた。新しい避難指示は、これまでの勧告発令のタイミングで市区町村から出される。 何らかの災害が起きたと確認できた際に出していたレベル5の「災害発生情報」は「緊急安全確保」に変更。災害発生が切迫した段階でも発令できるようにした。この時点では屋外の避難所へ向かうことが危険なため、自宅の上層階や近隣の頑丈な建物への移動などを求める情報だ。 また、今回の改正では、高齢…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル