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私立幼稚園連合会の前会長らを刑事告訴 不正な出金問題

 全日本私立幼稚園連合会(東京都千代田区)の基金など約4億円が不正に出金された問題で、香川敬前会長らが関与した疑いがあるとして、同連合会が11日、業務上横領容疑などで警視庁に告訴状を提出したことが関係者への取材でわかった。前会長は連合会の内部調査に私的流用を否定する一方、通帳偽造への関与を認めたという。  同連合会は約7500の私立幼稚園で構成され、各都道府県の団体を通じて会費を集めている。連合会によると、2017年度からの3年間で災害対策や国際交流の名目で積み立てられていた計約3億2千万円が、理事会の承認なく不正に引き出されたり、宿泊費やタクシー代として支出されたりしていた。このほか20年度にも約8千万円の不正出金が確認されたという。  9日に取材に応じた同連合会の田中雅道会長代行によると、香川前会長は昨年11月に辞任。内部調査に対して偽造した通帳を示して発覚を逃れようとしたという。私的流用は否定する一方、監督責任をとって1億5千万円を弁済した。田中氏は「香川氏が横領した」として法的対応を検討していることを明らかにしていた。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

工藤会トップ公判が結審、8月24日判決へ 福岡地裁

 四つの市民襲撃事件で殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団・工藤会(北九州市)のトップで総裁の野村悟被告(74)とナンバー2で会長の田上不美夫被告(64)の公判が11日、福岡地裁(足立勉裁判長)であり、弁護側が最終弁論で改めて無罪を訴え、結審した。判決は8月24日に言い渡される。  両被告は市民4人が殺傷された4事件で殺人や組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた。検察側は、両被告が事件に直接関与した証拠がないなか、1月の論告で「両被告には襲撃の動機があり、犯行状況から工藤会の組織的な犯行が明らか」として、野村被告に死刑、田上被告に無期懲役、罰金2千万円を求刑した。  最終弁論で弁護側は「間接証拠の評価が極めて恣意(しい)的で、強引に両被告と結びつけるために他の合理的な仮説を考慮せず、独善的な推認に終始している」と検察側の主張を批判した。  1998年2月に北九州市で起きた元漁協組合長射殺事件では、田上被告が一度不起訴になったことや、無罪が確定した男性を共犯者として検察側が起訴内容に盛り込んだことから、弁護側は「無謀な起訴」と批判した。  さらに、実行役が事件前に野村被告の関与をうかがわせる発言をしたとの証言を検察側が重視している点についても「事件前にわざわざ言う必要はなく、不合理で不自然」と指摘。田上被告が組員に事件に関する話を禁じたことを「口止め」と検察側が指摘した点にも「うわさ話が広がれば疑心暗鬼を生む。幹部として当然のことで口止めではない」とした。  このほか、2012年4月に北九州市であった元福岡県警警部銃撃事件、13年1月に福岡市であった看護師刺傷事件、14年5月に北九州市であった歯科医師刺傷事件についても両被告が事件に関与したことをうかがわせる証言は「信用できない」と主張した。  両被告はこの日、黒っぽいスーツにマスク姿で一礼して入廷した。最終意見陳述で、野村被告は「どの事件も一切関与はない。私は無罪です」。田上被告は「少しでも私が関与したことはありません。あまりにずさんな裁判です」と述べた。  検察側は組織トップの了解なしに事件を起こすことはあり得ないとして、野村被告らが事件を主導したと主張している。これに対し弁護側は公判後の取材に「下の者が勝手にやる場合もある。そういった反対の仮説を考えないのは問題だ」と述べた。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

全国で1319人感染 東京・埼玉・千葉が増加に転じる

 新型コロナウイルスの国内の感染者は11日午後8時半現在で、新たに1319人が確認された。また、全国で計45人の死亡が発表された。  緊急事態宣言が再延長された4都県のうち、東京都は新たに335人の感染を確認。11日までの1週間平均の感染者は273・1人となり、前週比は101・5%と再び増加に転じた。ほかの3県のうち埼玉県では126人、千葉県では122人の感染者が新たにわかり、いずれも1週間前よりも増えた。  沖縄県は、県内で初めて変異ウイルスの感染者8人を確認したと発表した。うち2人は感染力が強まったおそれのある「N501Y」だという。残る6人は、国立感染症研究所が新規変異株として発表し、ワクチンの効果が弱まる可能性が指摘されている「E484K」だという。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

子の誕生日にメール 存在確かめるよう…親たちの10年

 これほど穏やかな青空の3月11日はめずらしい。  午後3時、宮城県石巻市を流れる北上川の川べり。青木恭子さん(62)は、3メートルほどに育った桜の木をなでて、つぼみのついた枝を見上げた。  息子の謙治さん(当時31)は10年前のこの時刻、ぎりぎりまでここで避難誘導にあたったはずだ。2年ほど前に桜を植え、名前を刻んだ石板を置いた。  私(57)が青木さんの取材を、3月のこの日にするのは初めてだった。  私が「手を合わせないんですね」と言うと、「息子が確かに生きていた場所だから」と。遺体が見つかった沼に寄って花を置き、帰途についた。  青木さんには同じ境遇の仲間か… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

陛下のおことば、上皇さまより「かなり分量多い」理由は

 11日に開かれた東日本大震災の10年追悼式。天皇陛下が述べた「おことば」について、名古屋大の河西秀哉准教授は「平成を踏襲しつつも、『皇后とともに、今後も被災地に寄り添っていく』という、令和の天皇の決意表明のように感じる」と話す。  震災5年の追悼式で、上皇さまが述べたおことばと比較して、河西さんは「かなり全体の分量が多い」と指摘。その理由として、コロナ禍で行幸啓や被災地訪問ができず、国民とふれあう機会が持てていないことから、「伝えたいことや考えをしっかり詰め込んだのでは」とみる。  河西さんによると、今回のおことばの冒頭は、5年前の上皇さまのおことばを継承している表現が目立ったが、①2度にわたって登場する「皇后と共に」②「震災は過去のことでなく現在も続いている」③「歴史を振り返ると、巨大な自然災害は何度も発生している」――の三つが天皇陛下らしいフレーズだと感じたという。  河西准教授は「皇后とともに、というのは即位の時から貫いている姿勢。そのほか、歴史や記録についての言及や、被災地に心を寄せ続けることは、これまでの会見や発言でも触れている。今回のおことばは、今の天皇の考え方が凝縮されているとも言えるものだ」と話す。(聞き手 杉浦達朗) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

へずまりゅうと共に業務妨害 ユーチューバーに有罪判決

 大阪・ミナミの洋服店でいいがかりをつけたとして威力業務妨害罪に問われたユーチューバー吉本航(わたる)被告(32)に、大阪地裁(宮崎桃子裁判官)は11日、懲役8カ月執行猶予3年(求刑懲役8カ月)を言い渡した。  吉本被告は「わたきん」と名乗って活動。判決によると、昨年5月、「へずまりゅう」と名乗るユーチューバー原田将大(しょうた)被告(29)=同罪などで起訴=と共謀し、大阪市中央区の店で動画を撮影しながら買ったTシャツが偽ブランド品だとするうそに基づいて返品を要求し、業務を妨害した。  判決は、「動画の視聴者の興味をひくようなトラブルを期待してあえて因縁をつけた」と指摘。一方、犯行を認めて反省しているとして執行猶予をつけた。(米田優人) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「もう一度抱きしめたい」津波に消えた娘、捜索いまも

 東京電力福島第一原発から約4キロ離れた小高い丘の上に、小さな石碑がある。 福島県大熊町の木村紀夫さん(55)が2013年夏、津波で亡くなった家族のために自宅裏の丘に作った。「ずっとあなたたちと共に」との文字が刻まれ、隣には可愛らしいお地蔵様。たくさんのお菓子と花に囲まれている。 特集企画「会いたい、会わせたい」東日本大震災から10年。行方不明者はなお2500人を超え、今も家族を捜す人たちがいる。遺体の身元捜査を続ける警察、身元が分かっているのに引き取り手がない遺骨……。「会いたい」「会わせたい」。人々の思いが交錯する。 特集企画「生きる、未来へ」3月11日、発生から10年となる東日本大震災。愛する人を失った悲しみ、住み慣れた土地に戻れない苦しさ……。さまざまな思いを抱え、歩んできた3家族を通して、被災地のこれまでを振り返る。  1月上旬、木村さんは石碑の前にしゃがみ込むと、献花用の水を替え、両手を合わせ、目を閉じた。後ろから飼い犬のドーベルマンの「ベル」が体をなすりつけてくる。  「わかった、わかった」。木村さんは苦笑いしながら、「じゃあ、捜しに行こうか」とベルの頭をなでた。 拡大する自宅の裏の小さな丘の上に立つ木村紀夫さん。震災後、自宅跡には木村さんが作業小屋や花壇などを作った=2020年11月10日、福島県大熊町、三浦英之撮影  震災前、木村さんの自宅は砂浜から約100メートル離れた、海面より少し高い農地の脇にあった。両親と妻、娘2人の2世帯で暮らしていた。  11年3月11日、木村さんは隣の富岡町の養豚場で働いていた。大きな揺れの後、大熊町へ戻ると、自宅は跡形もなく流されていた。避難所になっていた町の体育館に向かうと、母の巴(ともえ)さん(82)と長女の舞雪(まゆ)さん(20)がいた。一方、父の王太朗(わたろう)さん(当時77)と妻の深雪(みゆき)さん(同37)、次女の汐凪(ゆうな)さん(同7)が行方不明になっていた。  午後5時ごろ、自宅周辺の捜索に向かった。  「汐凪ー、深雪ー」「いたら声を上げてくれー」  夕闇に向かって大声で叫ぶが、返事がない。  午後7時ごろ、自宅裏の丘からベルが砂だらけで飛び出してきた。普段とは違って、リードを付けている。嫌な予感が脳裏をよぎった。「地震後、誰かが自宅に戻り、ベルを外に連れ出して逃げようとしたんじゃないか。そのときに津波にのみ込まれたんじゃ……」  夜を徹して捜したが、結局3人は見つからなかった。翌朝、原発が危機的状況に陥った。木村さんは巴さんや舞雪さんと一緒に大熊町からの避難を強いられた。  1週間後、木村さんは避難していた妻の実家の岡山県から、3人を捜索しようと大熊町に戻ろうとした。しかし、原発の約30キロ手前の道で警備員に止められ、町に近づくことさえできなかった。行方不明になっている3人の写真と自分の携帯番号を記したチラシを作り、避難所などに配って回った。 拡大する木村紀夫さんが避難所の掲示板に貼ったポスター=2011年3月27日、福島県須賀川市の須賀川アリーナ、下地毅撮影(画像を一部加工しています)…

31歳の「定年」拒否した私 悔しさ、苦しさ、まだまだ

 「ちょうど一年前、(中略)三十一歳になった私に定年退職の辞令が出ました」。1971年4月18日の朝日新聞朝刊の連載「男と女」は、こんな言葉で始まる。辞令を受け取った盛岡市の大沢栄子さん(81)は当時を振り返って笑う。「職場でこんな差別があったなんて、いまの人には信じられないでしょ」  「結婚(寿)退職」、「妊娠退職」、「男女別定年」。いまであれば、男女雇用機会均等法で禁止されている女性差別が、労働現場で残っていた。  そんな状況を変えようと、1960年代以降、差別撤廃を求めて、女性たちが次々と立ち上がった。労働組合などの支援を得ながら、裁判を起こした。66年末には、結婚退職制をめぐり、「結婚の自由を制約するもので、公の秩序に反する」として、違憲とする初の判決が出た。  大沢さんの闘いもこの時代と重なる。大沢さんは61年、岩手県経済連(現JA全農いわて)で臨時職員として働き始め、翌年に結婚。「生活していくために共働きは当たり前だと思っていた」  65年にできた制度で准職員となったが、次第に男女差別が目につくようになる。同じ仕事をしているのに、隣の正職員はボーナスをもらい、諸手当もでた。准職員は職種により定年があり、大沢さんら女性がつく事務職の定年は31歳と定められていた。 ジェンダーをめぐる状況は何が変わり、何が変わらずにきたのでしょうか。50年前の新聞と、今とを行き来しながら考える連載です。  70年4月、31歳の誕生日の… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「八ツ橋」の創業年訴訟、聖護院が勝訴 井筒は上告へ

 京都銘菓「八ッ橋」の老舗大手「井筒八ッ橋本舗」がライバル社の「聖護院八ッ橋総本店」に、創業を元禄2(1689)年とする表示の使用禁止や600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11日、大阪高裁であった。山田陽三裁判長は、訴えを退けた一審・京都地裁判決を支持し、井筒側の控訴を棄却した。井筒側は上告する方針。  聖護院は、のれんや看板に「創業元禄二年」「since1689」と表示。井筒側が、創業年などに正確な根拠がなく、不正競争防止法が禁じる商品の優位性などを誤認させる表示にあたると訴えていた。  高裁判決は、誤認表示の対象になるのは、客観的に真偽の検証や確定が可能な事実だと示した。その上で聖護院の表示は「300年以上前のことで明確な文献などがない言い伝えによるもの」とし、誤認表示にあたらないと結論づけた。  判決を受けて井筒側は「最高裁で不正競争防止法の適正な適用を求める」、聖護院側は「主張が全面的に受け入れられた」などとコメントを発表した。(遠藤隆史) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

着心地良く「エレガントに美しく」 マメ・クロゴウチ

 日本ブランドのマメ・クロゴウチが2021年秋冬コレクションを映像で発表した。夜、窓からの月明かりが室内に作る様々な影から着想を得た。夜が訪れる直前の夕日のオレンジと、影や月明かりを思わせるグレーを象徴的に使った。  服には直線状の影を表すストライプ柄が多用されている。ドレスやブラウスは、伝統的な「板締め絞り」で染色。直線のストライプに見えるが、線はにじんで揺らいでいる。室内に走る影が、ソファやベッドなどの上では線がゆがんでいる様子を表したのだという。プリーツが大胆にカーブを描くトップスやスカートもある。  特に目をひくのが、インクを落としたようなサイケデリックなドレスやトップスだ。デジタルプリントのようにも見えるが、京都の工場による「マーブルプリント」の職人技だという。  また、アトリエの庭で見たキンモクセイの小花をブラウスやドレスに落とし込み、日常の美をとり入れた。腰に巻くスカートバッグやトレッキングブーツなど、今季はアクティブな印象のスタイルも。デザイナーの黒河内真衣子は、コロナ下で「動きやすいスポーツテイストは今の自分の気分に近い。ただ、着心地が良くてもエレガントさや美しさは大事な要素。マメらしさから離れないように、凜(りん)とした美しさを意識した。服を着る機会は減っているかもしれないが、ベーシックなものだけでなくファッションを楽しんでほしい」と話した。(神宮桃子) Source : 社会 - 朝日新聞デジタル