がれきの街、酒浸りの日々 いとおしい日常に気づくまで
プシュ。 枕元に並ぶ350ミリリットルの缶ビール。布団にあぐらをかいて座り、飲む。5口ほどで1缶が空く。 酔いがまわりだすのは10缶目あたりか。4時間ほどで24缶が空になった。「もうない。うそだべ?」 特集「生きる、未来へ 東日本大震災10年」 3月11日、発生から10年となる東日本大震災。愛する人を失った悲しみ、住み慣れた土地に戻れない苦しさ……。さまざまな思いを抱え、歩んできた3家族を通して、被災地のこれまでを振り返る。 東日本大震災から約3年後の宮城県気仙沼市。ヒロシさん(仮名、50)はアルコール依存症で「どん底」にいた。 梅酒を瓶ごと抱えて飲み干す。除菌スプレーを口に吹きかける。「何やってんだい、馬鹿だなあ」。心の中でつぶやいていた。 申し訳ない、情けない。でも酒をやめられない。いくら飲んでも足りない…。記事の後半では、酒に溺れたヒロシさんが、震災がなければ会えなかった大切な人と出会い、いとおしい日常を取り戻すまでの軌跡をたどります。 《気仙沼市の死者・行方不明者… 2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちらSource : 社会 - 朝日新聞デジタル