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最高裁の違憲判断にトランス当事者は評価 「自分の体と心で生きる」

 心と体を傷つけることなく、望む性で生きていきたい――。戸籍上の性別変更で手術要件の一部を違憲とした最高裁の決定を、当事者たちは「ようやく動いた」と評価した。一方で、別の手術要件の判断は先送りになり、申立人側は悔しさもにじませた。 「性別変更は今回の審議ではかなわず、先延ばしになってしまったことは非常に残念です。今回の結果が良い方向に結びつくきっかけになるとうれしく思います」 申立人のトランス女性は最高裁の決定を聞き、代理人を通じてコメントした。2019年に男性から女性への性別変更を家裁に申し立てていた。 最高裁は今回の決定で生殖機能を失わせる手術要件を無効としたが、変更する性別の性器に似た外観を求める「外観要件」については、高裁での審理やり直しを求めた。代理人の南和行弁護士は、外観要件も違憲だと訴えてきたことから、「一番良い結論にたどり着いていない。とても悔しい」と話した。 ただ、15人のうち3人の裁…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

秋田県知事の「四国の酒、料理うまくない」発言に、四国の知事が反応

 秋田県の佐竹敬久知事が四国の酒や料理は「うまくない」などと発言して批判を受け、謝罪したことについて、四国の知事が相次いで見解を示した。 高知県の浜田省司知事は25日夕、報道陣の取材を受け、佐竹知事が「どろめ。あのうまくないやつ」と発言したことを念頭に、「この機会に高知のどろめだったり、高知の酒だったり、それはどんなものなのかなと全国の人にたくさん思っていただき、確かめていただくチャンスをいただいたと前向きにとらえたい」と話した。「私は秋田のきりたんぽもハタハタも大好きです」とも語った。 徳島県の後藤田正純知事は25日夕、秘書課を通じてコメントを発表した。 「我々はすべての都道府県と…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

白線が消えた横断歩道、「摩滅が一因」で交通事故 県が受け入れ和解

 横断歩道を歩行中、車にはねられたのは横断歩道の白線が摩耗して消えていたためだなどとして、川崎市の男性(66)らが道路標示を管理する神奈川県などに損害賠償を求めた訴訟は24日、横浜地裁川崎支部で和解が成立した。「摩滅が事故の一因になった」とする裁判所の和解勧告を、県が受け入れて損害賠償金の1割を負担する。 事故は2018年10月31日午前10時55分ごろ、京浜工業地帯の川崎市川崎区水江町、片側2車線の直線路で起きた。 原告側によると、男性は横断歩道を歩行中に、運送会社の男性が運転するタンクローリーにはねられ、頭の骨が折れるなど、大けがを負った。神経系統の機能などに障害を残し、随時の介護が必要になったという。 この事故の刑事裁判では、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の罪に問われた運転手が19年、同支部で無罪(求刑禁錮1年)を言い渡され、確定した。 判決は「車の進行方向の横断歩道を示す路面の白線標示は完全に消失していた。現場が横断歩道上であると認識するのは困難」などとし、「横断歩行者の予見は可能ではなかった」とした。また、検察側が「被告は過去に現場を複数回通行していた。横断歩道と認識できた」と主張した点については、「道路標示を記憶することを運転者に義務付けすることはできない」と退けた。 これを受け、原告側は20年、県と運送会社を相手取り、計約1億4千万円の支払いを求めて提訴した。「横断歩道の道路標示は摩耗して消滅していた。県(県公安委員会)は横断歩道の管理者で瑕疵(かし)があった」と主張した。 県側は「(進行方向の)標示は摩耗している状態だったが、反対側の標示は一部摩耗で、全体として視認は十分だった」と争った。 事故の半年前には現場近くの会社関係者から、横断歩道の補修をするように要望があった。県側は「現場を見た担当者は、総合的に十分、認識できる状態と判断していた」と主張し、事故当時、補修はしていなかった。 同支部は今年6月に和解を勧告した。県によると、運送会社には「運転手は現場の道路を幾度も往復して、道路標識などもあることから横断歩道の存在を認識していた」と指摘し、県についても「事故前に横断歩道の道路標示の摩滅は連絡を受けていた。状況を認識できた。摩滅が事故の一因になったと認められる」とした。 損害賠償金は計6700万円。県が1割(670万円)、運送会社が9割(6030万円)を負担する。(佐藤英法)横断歩道の7.8%で… 県警交通規制課によると、県…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

違憲判断、自民保守派の反発必至 有識者「トランス差別の激化懸念」

 最高裁の違憲判断を受け、国会では性同一性障害特例法の改正議論が始まる見通しだが、自民党の保守派が反発するのは必至だ。 戸籍上の性別変更に生殖能力を失わせる手術などを求める特例法の手術要件をめぐっては、6月に発足した同党の「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」が維持を訴えてきた。議連はLGBT理解増進法への「国民の不安を取り除く」として、同党の国会議員と地方議員、各100人ほどが参加する。 設立趣意書では、手術要件の撤廃で「『男性器のある法的女性』が出現するという今の日本では信じがたい状況が生じる。対応は急務」と強調した。最高裁の決定を控えた9月の声明でも「手術要件が違憲となれば、トイレ・更衣室・風呂・その他女性専用スペースの安心安全確保を行う上で、相当な困難が生ずる」と主張した。 共同代表の山谷えり子参院議員は「(性別変更の要件から)手術をなくしたら混乱が起きる。理解増進法でも、全ての国民の安心に留意すると書かれているので問題ではないか」と語っていた。同じく共同代表の片山さつき参院議員は25日、記者団に「決定をよく読んでから、共同代表とも相談し、今後の対応を考えたい」と述べるにとどめた。 最高裁は25日の決定で、卵巣や精巣の切除を求める「生殖不能要件」を違憲とする一方、変更する性別の性器に近い外観にする「外観要件」については判断せず、高裁に審理を差し戻した。男性から女性に移行するトランス女性は引き続き、性別変更のために陰茎切除が必要で、今回の決定で議連の言う「男性器のある法的女性」は生まれない。「手術要件なくなっても浴場の利用ルール変わらず」 仮に今後、外観要件について…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

太平洋の激戦地に沈んだ戦跡を3D化、現地ダイバーらが保存活動へ

 太平洋戦争の激戦地サイパンで、海中に沈んだ艦船や航空機を少しでも長く保存するため、現地のダイバーや観光客にも参加してもらって現状を調査する試みが進んでいる。戦争の歴史を残し、観光資源としても生かしていくことが狙いだ。 日本の南約2400キロに位置するサイパン島は、戦時中は日本の統治下にあった。1944年6月、米軍との戦場になり、旧日本軍だけで約4万3千人が戦死。島民を含む多くの民間人も犠牲となった。 地元のダイビングショップによると、島の海域には航空機や輸送船などが少なくとも5カ所で沈んでいる。水深が深いところも含めるとかなりの数に上ると地元ダイバーらは口をそろえる。旧日本軍や米軍のものとみられ、こうした「水中戦跡」の周辺は魚が集まることもあって人気のダイビングスポットになっている。 この島に昨年3月、各国で水…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

SNSで「闇バイト」実行役募集の疑い 職安法違反で全国初の逮捕

 X(旧ツイッター)で特殊詐欺の実行役を募集をしたとして、宮城県警は25日、高知市葛島2丁目の無職、中井香菜容疑者(26)を職業安定法(有害業務への労働者募集)違反の疑いで逮捕したと発表した。逮捕は24日付で、県警は認否を明らかにしていない。SNS上で闇バイトを募集した人物を同法違反容疑で逮捕するのは、全国初とみられるという。 組織犯罪対策課によると、中井容疑者は6月9日~7月5日、Xに「受け子募集」「金額で10万~30万円報酬」「1件終わるごとに手渡しで報酬渡してます」などと投稿。不特定多数の利用者を、特殊詐欺で被害者から現金やキャッシュカードを受け取る実行役に勧誘した疑いがもたれている。 このアカウントからは、これまで同様の投稿が100件以上確認されたという。県警は、中井容疑者が特殊詐欺グループの一員とみて、勧誘を受けて実際に「受け子」をした人物がいるかどうか調べている。 同法は「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」での労働者の募集などを禁じており、違反者には、懲役1~10年、または、罰金20万~300万円の罰則を設けている。(平川仁)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

電動アシスト自転車、10台のうち9台が基準不適合 通販サイト販売

 インターネットで販売している電動アシスト自転車を購入して調べたところ、10銘柄中9銘柄が道路交通法の基準に適合しなかったと、国民生活センターが25日発表した。不適合の自転車で道路を通行すると、運転している人が罰則の対象になる。 道交法に基づく基準では、電動アシスト自転車はペダルをこがないと走らない構造とし、人の力に対するアシスト力の比率を最大で1対2と制限。アシスト力は、時速10キロを超えたら徐々に減り、24キロではゼロになるよう定めている。 同センターは今年5月に複数の通販サイトで、基準に適合しているか不明な10銘柄を購入。いずれも中国製造の商品だった。テストの結果、9銘柄がアシスト比率を超過。うち6銘柄は、ほとんどこがなくても加速し、時速24キロになっても電動モーターのアシスト力が停止しなかった。 5銘柄には、ペダルをこがず…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

銀座の時計店強盗で20歳被告に実刑判決 判決は2人目 東京地裁

 東京・銀座の時計店で5月に起きた強盗事件で、強盗罪などに問われた元少年(20)に対し、東京地裁(蛭田円香裁判官)は25日、懲役4年6カ月(求刑懲役7年)の判決を言い渡した。 判決は「大胆かつ危険で悪質な手口。被害金も計3億円あまりと多額で結果は重大だ」と非難。「従属的ながら運転手役として重要な役割を担った」とし、実刑判決はやむを得ないとした。 実行役の少年4人のうち、1人は少年院送致の保護処分となり、3人が起訴された。別の1人も懲役4年6カ月の判決を受けている。 判決によると、当時19歳だった被告は他の3人らと共謀し、5月8日午後6時20分ごろ、東京都中央区銀座8丁目の時計店に覆面姿で侵入。従業員に刃物を示して「ぶっ殺すぞ」などと言い、腕時計など74点(計約3億856万円相当)を奪った。(田中恭太)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「レインボーパレード」古都・奈良で初の開催 主催者がかける思い

机美鈴2023年10月25日 15時30分 LGBTQといった性的マイノリティーへの差別や偏見をなくし、多様な生き方を認め合おうと呼びかける「レインボーパレード」が全国に広がるなか、奈良でも28日に初開催される。主催者は「奈良は保守的な土地柄。だからこそ、実施する意義がある」と語る。 奈良レインボーフェスタ実行委員会は、2018年からLGBTQ当事者が集うイベントを年1回開催し、地域にも定着してきたが、「集まるだけでなく、広く発信することができるパレードを行いたい」との思いを温めてきた。 代表の定政輝(さだまさひかる)さん(33)=奈良県斑鳩町=は女性として生まれ、性別適合手術を受けて戸籍を男性に変更したトランスジェンダーの一人だ。10年以上前から県内を中心に性的マイノリティーへの理解を深める講演活動をする一方、当事者と交流し、相談会なども開催してきた。 「周囲の理解が乏しい」「カミングアウトできない」、そんな理由で奈良を出て都市部で暮らさざるを得ず、帰ってきたくても帰れない、当事者からはそんな悲痛な声を聞いてきた。 同性カップルなどの関係を公的に認めるパートナーシップ制度があるのは県内6自治体にとどまるという。定政さんは「理解者や応援してくれる人が少なく、当事者が声を上げにくく、変化が起きづらい、この悪循環を断ちたい。帰ってこられる、住み続けられる奈良にするために、一緒に声を上げたい」と語る。 パレードは100人程度の参加者を見込む。午前10時にJR奈良駅前に集合。三条通りから奈良公園前、県庁を通る約3キロのコースで、正午ごろ終了予定。 29日午前10時半~午後3時半は馬見丘陵公園集いの丘(広陵町)で、6回目となるレインボーフェスタを開催する。(机美鈴)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【本日最終日】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Think Gender男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「何だ、おかまか、おなべか」 偏見乗り越えた性同一性障害特例法

 戸籍上の性別変更を可能にする「性同一性障害特例法」は2003年に議員立法で成立した。生殖能力の喪失といった「性別適合手術」を求める要件は、どのような経緯で盛り込まれ、当事者らは当時どう考えていたのか。その後、世界では、性別変更の要件はどう変わっていったのか――。 始まりは1人の国会議員が抱いた問題意識だった。00年8月、自民党の南野(のおの)知恵子参院議員(当時)は、神戸市での「アジア性科学学会」で、性同一性障害のことを知る。 助産師として多くの赤ちゃんをとりあげ、男女の別を判定してきた南野氏。生まれた時の性別と自認する性別の違いに苦しむ人たちの存在に衝撃を受け、「国会議員として何ができるのか」と自問したという。翌月に党内の勉強会を立ち上げ、03年5月には与党プロジェクトチームの座長に就いて、立法を牽引(けんいん)した。突然の「子なし要件」 司法の世界では、当時すでに…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル