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【そもそも解説】海底地震計トラブル なぜ緊急地震速報が遅れるの?

 地震を観測するために気象庁が設置している「海底地震計」で昨年トラブルが相次ぎました。現在も当該システムは故障したまま。緊急地震速報が最大13秒遅れる可能性が出ていますが、なぜ13秒遅れるのでしょうか。修理が難しい理由とあわせて、解説します。 Q 気象庁が設置している海底ケーブルで問題が起きているの? A 東海地方の沖合に設置している「東南海ケーブル式常時海底地震(じしん)観測システム」のことだね。8カ所ある観測点の全てで昨年12月からデータが取得できない状態が続いているんだ。 Q どんな仕組みなの?…この記事は有料記事です。残り621文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「貧しさの象徴」だったかやぶき屋根 三多気の桜とともに歩む古民家

 「子どもの頃の私には、かやぶき屋根は貧しさの象徴でした」 JR津駅から車で約1時間。津市の最西端で奈良県境の山あいにある国の名勝「三多気(みたけ)の桜」(美杉町)。国道368号(旧伊勢本街道)から真言宗「真福院」の山門までの約1・5キロの参道に植えられた約500本のヤマザクラの並木坂が今年も見頃を迎えた。 その道沿いに、田中稔さん(67)が生まれ育った、かやぶき屋根の古民家が今も残る。「田中家住宅主屋」として国登録有形文化財になっている。 小学校の春の遠足は、決まって「三多気の桜」。毎年、同級生とともに自宅前を歩いた。当時、隣近所は瓦屋根。かやぶきで家の中に牛がいる我が家を、同級生に見られるのが恥ずかしくて嫌だった。 「三多気の桜」は、平安時代中期(900年ごろ)に、理源(りげん)大師が参道に桜を植えたことが起源とされる。その後、南北朝時代に伊勢の国司となった北畠氏が真福院を祈願所にして、館からの道沿いに桜を植えて広がっていったといわれ、江戸時代以前から桜の名所として古文書にも登場する。 千年以上の歴史がある桜並木の魅力に気付いたのは、進学で故郷を離れ、大学卒業後に地元の旧美杉村役場(現津市役所)に就職してから。「日本のさくら名所100選」や「美しい日本のむら景観コンテスト」受賞村に選ばれ、雑誌やテレビに取り上げられて注目を集め、全国に知られる存在になっていた。 その評価の対象の中にかやぶき屋根の自宅も含まれていた。「三多気の桜に似合うなぁ」「懐かしい屋根や、ホッとする」「この風景を残してほしい」。訪れた人たちからの感想を耳にするうち、貧しさの象徴だった屋根が、次第に誇りへと変わっていった。「この風景を守っていこう」と心に決めた。 名勝「三多気の桜」景観保全…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「あっ!」と驚きスピード抑制 園長先生が考えた斬新な道路標示

足立朋子2023年4月6日 12時46分 神奈川県二宮町の町道2カ所に平仮名で大きく「あっ!」と書かれた道路標示が登場した。いずれも町立小学校の近くにある信号のない横断歩道の手前。「止まれ」などと同じ法定外標示と呼ばれるものだが、より斬新な文句を採用することで、車のスピード抑制効果を狙うという。 2カ所は周辺への抜け道として交通量が多いうえ、下り坂でスピードが出やすい。前方に横断歩道があることを知らせる「◇」標示はすでにあるが、「ドライバーの直接的な気づきにつながる」と町が地元警察などと協議して設置した。 ただ、町のオリジナルではない。川崎市には幸区の12カ所を筆頭に「あっ!」が書かれている市道が複数の区にあるという。ドライバーに見過ごされず 「何だろう?」と思わせようと 発祥は2013年に多摩区の幼稚園前に設置されたものだという。提案した宿河原幼稚園の関山真弘園長(52)によると、目の前の市道をスピードを落とさずに走る車があり、ヒヤリとする場面が多かったことから安全策を模索してきたという。 当初はガードレールや路面を隆起させるハンプの設置などを求めて区や警察と協議したが、道幅の制約や住民合意の壁があり、次善の策が道路標示だった。 やるからにはドライバーに見過ごされず、「何だろう?」と思わせようと知恵を絞り、幼稚園児も読める平仮名にしたという。思わぬ広がりに「園でいつも子どもたちを楽しませよう、驚かせようと考えているからかも」と話す。 「あっ!」が多数書かれた市道を管轄する幸署によると、事故件数の減少など明らかなデータはないものの「非常に目立つのは確かで、注意喚起には有効なのではないか」としている。二宮町でも効果を検証したいとしている。(足立朋子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

浜学園流ニュースの読み方 日本に島はいくつある? 驚きの倍増

 塾の現場で授業を担当していると、ときどきびっくりするような事実の変更にあわてることがあります。その中でも、2月末に国土地理院が発表した「島」の数の変更には驚かされました。 これまで、1987年に海上保安庁が発表した6852個をあたりまえの事実として長い間教えてきたのです。ところが今回、電子国土基本図をもとに数え直すと1万4125個だったというのです。なんとその差2倍以上! 見逃してしまっていたというのであれば、そもそも「島」ってどのくらいの大きさから「島」に数えられるのでしょう。 見逃してしまうほど小さいも…この記事は有料記事です。残り467文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

補助金18億円も使い残し返還へ 再開発誤算続きで街は空き地だらけ

 草むす空き地群、テナントが抜け解体を待つばかりのビル――。宮城県内第2の都市・石巻市の中心部に、時が止まったような一角がある。震災後に再開発の計画が持ち上がったが、一向に進まず、使い残した18億円もの復興の補助金が国に返されることになった。浮かび上がるのは、衰退しつつある地方都市が被災した後の、まちづくりの難しさだ。 JR石巻駅や市役所に近い立町1、2丁目と中央2丁目の一帯で、5地区に分かれた約7千平方メートル。ここに3~5階建てのビルを5棟建てる計画がある。 青写真で描かれたのは、「食と健康のウエルネスタウン」構想だ。 石巻の水産業と健康サービス…この記事は有料記事です。残り1071文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「夢を超えた」伝説のパソコン復刻 「無ければ作る」有志たちの奮闘

 1980年代のパソコンは個性にあふれていた。メーカーごとの独自仕様でしのぎを削り、日本が世界をリードしていた。そこに、ライバルを圧倒する描画と音楽性能を引っ提げた1台が現れ、クリエーターや技術者を志す若者たちを夢中にさせた。 この「伝説のパソコン」が36年の時をへて有志たちの手により復刻された。 「私たちの技術で『ロクハチ』を復活させたい」 「無いものは作る、無ければ作るという文化とコミュニティーを形成したパソコンなんです」 昨年4月、40代後半の技術者たち数人の提案は次第に熱を帯びていった。特定用途向けのコンピューターを開発する「瑞起(ずいき)」(横浜市)の会議室で、取締役の米内雄樹さん(42)は、パソコンについて語っているとは思えない言葉の数々に引き込まれた。技術者たちは最後にこう付け加えた。 「夢の続きを描きたい」 ロクハチとは、どんなパソコンなのだろう。 正式名称は「X68000」(エックスろくまんはっせん)という。「ロクハチ」「ペケロク」の愛称で親しまれ、家電大手シャープが1987(昭和62)年3月下旬に発売した。プロが使うシンセサイザーに匹敵する音楽性能と、6万5536色まで表示できるグラフィック性能はライバルに比べ突出していた。究極のホビーパソコン シャープのパソコン事業部ではなく、テレビ製造を担う部署が手がけた「変わり種」。あの有名な企業スローガン「目の付けどころが、シャープでしょ。」が発表される3年前のことだった。伝説のパソコン「X68000」への思いを語った技術者たち。とはいえ復刻は簡単な道のりではありませんでした。技術者たちの細部へのこだわりと、著名クリエイターやファンたちの思いに迫ります。 X68000の発表を報じた…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

南部せんべい「もぐもぐ」でカーリング楽しむ 夢は二戸に専用リンク

 「YES! YES!」 ストーンの行き先を見すえ、かけ声が響く。冷気が漂うスケート場は熱気に包まれていた。「氷上のチェス」と呼ばれ、冬季五輪で日本選手が大活躍する「カーリング」。観戦だけでなく、実際にプレーしてその奥深さに魅了される人が増えている。そんなカーリングをまちづくりにいかそうと、岩手県二戸(にのへ)市で取り組みが広がっている。 県北青少年の家(同市仁左平)で、「イーハトーブカーリングフェスティバル」(県北地域の関係者らでつくるカシオペアカーリング協会など主催)が3月11、12日に開かれた。 24回目の今年は17都道府県から30チーム約140人が出場した。レベルは初心者から国内トップクラスまで様々で、大学時代のメンバーが全国から集まり、再結成したチームもあった。 カーリングは髪の毛1本が落ちているだけでストーンがコースを外れたり、スピードが落ちたりする。会場は通常、スケート用で使っており、大会では協会のメンバーが荒れた表面を可能な限り整えた。 それでも専用施設ではないため、上手な選手でも思い通りにいかず、実力差はあまり開かなかった。 場内には地元の菓子メーカーが提供した色々な種類の南部せんべいが試食できる「もぐもぐブース」も登場。選手たちはプレーだけでなく、休憩中にはあの「もぐもぐタイム」の雰囲気や交流なども楽しんでいた。 二戸市は県内のカーリング発祥の地とされ、県の協会本部もある。市内では毎年12~3月、県北青少年の家のスケート場で誰でも体験できる初心者向けのスクールが開かれる。料金は無料(入場料が別途必要)で用具も貸してくれ、子どもから大人まで毎回にぎわっている。 今シーズンは計11回開かれ、小学2年生から40代までのべ164人がチャレンジした。隣接する青森県田子町や、同県八戸市からの参加もあった。毎回訪れて腕を磨き、試合で勝つまで上達した選手もいた。 もっとカーリングで二戸を盛り上げたい――。北海道北見市常呂町は40年前から住民たちが活動を始め、今や世界的に有名な「カーリングの聖地」にまで発展。二戸でも取り組みが広がっている。 愛好家や関係者たちは、市内…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ストーカー警告で逆にエスカレートも 加害者を治療につなげるには

 ストーカーによる犯罪が後を絶たない中、加害者への医療措置の必要性を指摘する声が広がっている。警察も近年、加害者にカウンセリングや治療を積極的に促す施策を導入。ただ、治療を受け入れない加害者もおり、課題は多い。 ストーカー規制法は、恋愛感情を満たすなどの目的でつきまといを繰り返すことを禁じている。これまでも事件が起こるたびに議論され、規制できる行為の範囲が広げられてきた。 しかし、今年1月に福岡市の博多駅近くで起きた刺殺事件では、殺人罪やストーカー規制法違反罪などで起訴された寺内進被告(31)が被害女性へのストーカー行為を繰り返していた。福岡県警は被告に緊急の禁止命令を出していたが、結果的に事件を防げなかった。 2019年以降4年連続でストーカー相談件数が全国最多の福岡県では、22年にストーカー規制法に基づく禁止命令が150件出されたが、15件では加害者が命令に従わずに摘発されたという。県警幹部は「多くの命令は効果があった」と話すが、1割には効かなかったとも言える。 なぜなのか。ストーカー加害者だった東京都の30代男性に話を聞いた。怒りの言葉しか出てこない 男性は約10年前、親しくし…この記事は有料記事です。残り994文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「俺がストーカーなわけねえ」博多女性刺殺、被告が記者に語った認識

 福岡市博多区のJR博多駅付近で今年1月、女性(当時38)が刺殺された事件で、殺人罪などで起訴された寺内進被告(31)が、朝日新聞記者の面会に応じた。事件の原因について「過去のトラブルの話になり、怒りが暴走した」などと説明。一方、「自分はストーカーではないと思っていたが、(自身の行動は)当てはまるとは思う」とも話した。 専門家は、詳しい動機や経緯は今後の公判で明らかになると前置きした上で、「被告の言葉からは、自己中心的な思考や、ストーカー独特の行動形態がうかがえる」と分析した。 寺内被告は1月16日午後6時過ぎ、博多駅近くの路上で、帰宅途中だった元交際相手の女性を包丁で刺して殺害したなどとして起訴されている。またこの直前、女性を勤務先近くで追いかけた疑いがあるとして、ストーカー規制法違反罪で3月31日に追起訴された。 記者は2月下旬~3月上旬、勾留先の福岡拘置所などで寺内被告に3回面会した。 計1時間超。被告はがっちりした体を時々前のめりにしながら、経緯を語った。ただ、事件への反省を尋ねると、言葉に詰まる場面もあった。 主なやり取りは以下の通り。元交際相手の女性を路上で刺殺したとして起訴された被告が、事件の経緯や動機について記者に語りました。後半では、被告の言動の特徴について、犯罪心理学と捜査の専門家の分析を紹介します。 ――事件の直前、女性とどんな話をしたのか 過去のトラブルの話になった。「あなたが謝って。警察に今から言うから」と言われ、だんだんと怒りがエスカレートし、「全部こいつのせいなんやないか」と思った。 ――なぜ刺したのか 怒りが暴走してしまった。気づいたら女性が倒れていた。周りに人もいたので、「やばい、やばい」と思って逃げてしまった。「自分は普通やないんかな」 ――女性を待ち伏せしていたのか 偶然会った。携帯電話の料金…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

民間「DVシェルター」綱渡り運営 財政難85%、人手不足58%

 85・4%。家庭内暴力(DV)を受けた女性のための民間シェルターのうち、財政基盤が弱いと考えている施設の割合だ。自治体では行き届かない支援を民間の力で支えているが、職員の高齢化も進み、綱渡りの運営を迫られている。 「夫からDVを受けて、家を出たいが、県の保護施設には飼い犬を連れて入れない。この子が私の代わりに虐待を受けたらと思うと、家を出られない」 「保護先でカーテンを開けるな、と言われ、精神的につらい」 愛知県の民間団体「かけこみ女性センターあいち」には、公的な保護を受けにくい女性たちから相談が寄せられる。集合住宅の一室をシェルターとして提供し、保護する。昨年1年間で、5世帯を受け入れた。 暴力にさらされ続けた女性は精神的にも疲弊しきっており、柔軟な対応ができる民間のシェルターが果たす役割は大きい。 県女性相談センターによると、DVの相談件数は2021年度に1093件。緊急性が高く一時保護に至ったケースは81件あった。同センターの保護施設は定員20人の集団生活で、喫煙やペットの同伴は不可。加害者から居場所を特定されないよう、携帯電話が使えないといった制約もある。「心のよりどころ」奪うことも 「公的保護の利用者の安全の…この記事は有料記事です。残り809文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル