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産めるか産めないかで人を選別? 自民党の奨学金減免案に批判の声

有料記事金沢ひかり 山本知佳2023年3月3日 21時30分 自民党の中で、学生時代に奨学金の貸与を受けた人が子どもをもうけた場合、返還を減免する案が浮上している。この案が報道された2日夜、SNS上では「子どもを産めるか産めないかで人を選別」「『金と引き換えに生ませる』感半端ない」といった批判が相次いだ。 検討しているのは、自民党の「教育・人材力強化調査会」。会長は、元文部科学相の柴山昌彦・衆院議員がつとめる。2月の調査会会合後、柴山氏は「子どもを出産した時に、返済を免除または減額する発想はないのか、という意見が出た」と説明。3月2日に示された、子育て世代の教育費負担の軽減に向けての論点整理(案)では、「特に、高等教育について費用負担が大きい」とし、「例えば、出産や多子世帯への配慮など、子育て時期の経済的負担を増加させないような制度設計を考えるべき」とまとめた。 来週以降、党の「『こども・若者』輝く未来実現会議」に提言する。政府が3月末までに取りまとめる「異次元の少子化対策」のたたき台への反映を目指す。「国がいうのは乱暴すぎる」 東京都内で3人の子どもを育てる母親は、知人のツイッターの投稿で、今回の自民党の案を知った。思わず「ええ!」と大きな声が出た。自民党案に「なぜだめなのかわからない」という声もありました。記事後半では、若い世代の反応も紹介しています。 憤るのは、出産という個人的…この記事は有料記事です。残り1014文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「キネマの天地」の歴史たどる 蒲田撮影所とモダンな街並みを紹介

細沢礼輝2023年3月3日 21時30分 大正から昭和初期にかけて数多くの邦画を生み出した「松竹キネマ蒲田撮影所」の歴史を伝えるイベントが、撮影所跡地に建つ大田区民ホール・アプリコ(東京都大田区)で3日に開かれた。「キネマの天地」として輝いた往年の街の様子を感じさせる展示などがあり、参加者は興味深そうに見入っていた。 蒲田撮影所は1920年に開設。16年後に神奈川県・大船に移転するまでに、約1200本の映画が撮影された。現在、JR蒲田駅で発車メロディーとして使われている「蒲田行進曲」は撮影所の所歌だった。 会場ではパネルを使って、女優の田中絹代や監督の小津安二郎ら撮影所で活躍した映画人のほか、カフェや喫茶店が点在したモダンな街並みを紹介。また、俳優がカツラをあわせたり、着付けをしたり、太陽光が差し込むセット内で撮影したりしている風景を、リアルな人形や模型で再現したジオラマを展示した。 蒲田映画祭のプロデューサーを務め、今回のイベントで撮影所の歴史を解説した岡茂光さん(79)は「今では蒲田には映画館もなくなってしまったが、映画とともに歩んできた街の歴史を忘れて欲しくない」と話した。(細沢礼輝)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

女性支援事業の経費、192万円認めず 東京都、返還請求はなし

2023年3月3日 21時43分 東京都は3日、虐待や性暴力を受けるなどした女性を支援する2021年度の委託事業で、受託団体の会計処理の一部が不適切だったなどとして192万6085円を事業経費と認めない措置をとったと発表した。 ただ、認められる経費は委託料の上限を超えており、超過分は団体側が支出していた。このため、都が過払いした分はなく、返還請求はしないとしている。 受託団体は一般社団法人「Colabo(コラボ)」。過大計上を指摘する住民監査請求を受けた都監査委員が昨年12月、指摘の大半を「妥当ではない」とする一方、「妥当性が疑われる支出がある」などとして都に再調査を求めていた。 担当の都福祉保健局によると、再調査の結果、他の事業にも関わる税理士らの報酬は案分すべきだった▽一部の領収書の提示がない▽管理台帳の誤記――などを確認。該当分を除く2713万1千円を経費と認めた。委託料は2600万円を上限としていた。領収書の提示について団体に改善を指示するという。同局の担当者は「書類が不十分なものも含め不適切な経費計上があったことは遺憾。受託者には丁寧な事務処理を求めていく」としている。 都監査委員は、「事業として不適切なものがある場合などは過去の事業も精査し、返還請求などを講じる」ことも都に求めていた。福祉保健局は「委託料は2600万円が上限で、認められた経費は2713万円なので、事業としては適切な支出の範囲内。過払いは生じておらず、過去にさかのぼっての調査は必要ないと判断した」という。 法人代理人の神原元(はじめ)弁護士は「書類の誤記などはあったが、不正はないことがはっきりした」とコメントした。領収書を提示しなかった点は「女性のプライバシー保護のため」と説明し、今後の提出方法については「都と協議して対応する」としている。 福祉保健局は、この事業について、今年度は外部有識者のみで構成する委員会を設けて支出を確認するなどし、審査する。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

第1子出産時に仕事を持つ母親は62.9% 過去最高に 厚労省

 2020年度に第1子を出産した母親のうち、仕事を持っていた人の割合が62・9%だったことがわかった。厚生労働省が3日、人口動態職業・産業別統計を公表した。5年前の前回調査(15年度)の45・8%から17・1ポイント上昇。1970年度の調査開始以来、初めて過半を超え、過去最高となった。 少子化が急速に進む中で、子育てと仕事を両立できる支援策の必要性が改めて浮き彫りになった。 調査は5年に1度、国勢調査にあわせて実施されている。第1子を出産したときに仕事を持っていた母親は、20年度が24万508人で、15年度の21万7650人から大きく増えた。第2子の出産時に仕事をもっていた母親(20年度)の割合は57・7%(前回比18・0ポイント増)だった。いずれも過去最高を更新した。 結婚した夫婦の就業状態でみ…この記事は有料記事です。残り159文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ミャンマー国軍から麻生氏らがなぜ勲章? 在日ミャンマー人が抗議

 在日ミャンマー人たちが3日、外務省前で抗議行動をした。クーデターで実権を握ったミャンマー国軍から、自民党の麻生太郎副総裁と、元郵政相の渡辺秀央・日本ミャンマー協会長に2月、名誉称号と勲章が贈られたことに対し、日本政府の見解を求めた。 デモに集まったのは、約20人。「無差別に虐殺しているミャンマー軍を制裁しろ」「暴力ミャンマー軍と麻生副総裁の関係を解明しろ」などと声を上げた。その後、岸田文雄首相らにあて、外務省を通じて要請文を提出した。 要請文では、勲章を受けたニュースにミャンマー人たちは「大きなショックを受けている」とし、麻生氏ら政府要人が国軍司令官からの受勲の申し出を断らなかったことで密接な関係が明らかになったとし、日本政府には説明責任があるとした。また、日本からのODAの資金が軍による国民の弾圧に使われているとし、ODAの停止を求めているのにもかかわらず継続する理由の回答も求めた。(平山亜理)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

金銭トラブルきっかけに殺害か 容疑の72歳男を送検 長崎殺人事件

 長崎県大村市で14年前、同居していた40代の女性を殺害したとして、馬場恒典容疑者(72)=大村市三城町=が殺人容疑で逮捕された事件で、女性が馬場容疑者と同居する前に夫を病気で亡くし、保険金を得ていたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は、この保険金をめぐって馬場容疑者と女性の間に金銭トラブルがあった可能性があるとみて調べている。 県警は3日午後、馬場容疑者を長崎地検に送検した。 馬場容疑者は2009年4月中旬~5月、大村市の無職松永千賀子さんを鈍器のようなもので複数回殴り、殺害した疑いが持たれている。馬場容疑者は容疑を否認している。発表によると、松永さんの両親が同年10月、県警に行方不明届を出していた。18年、県警は諫早市内の山林にあったプレハブ倉庫で大部分が白骨化した遺体を発見。松永さんと判明した。 捜査関係者によると、松永さ…この記事は有料記事です。残り335文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

タリウムで女子大生を殺害した疑い 大阪府警、知人の37歳男を逮捕

2023年3月3日 21時24分 タリウムを摂取させ、知人の女子大学生を殺害したとして、大阪府警は3日、京都市左京区修学院中林町の不動産賃貸業、宮本一希容疑者(37)を殺人容疑で逮捕し、発表した。黙秘しているという。 死亡したのは京都市北区紫野西野町の大学生、浜野日菜子さん(当時21)。捜査1課によると、宮本容疑者は昨年10月12日午前、浜野さんが住むマンションの一室で、何らかの方法で浜野さんにタリウムを摂取させて中毒を起こさせ、殺害した疑いがある。浜野さんは同15日に死亡した。 宮本容疑者は、同11日に2人で外食をし、浜野さんの部屋で2人で過ごしていた12日になってせき込みだしたと府警に説明。容疑者から電話を受けた浜野さんの家族が駆けつけ、病院に運んだという。 その後に搬送された大阪府内の病院から、「事件かもしれない」と府警に通報。府警が調べたところ、浜野さんの吐瀉(としゃ)物などからタリウムが検出されたという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

無償化の給食費を徴収か 小学校元事務職員を業務上横領容疑で追送検

2023年3月3日 17時59分 保護者から集めた給食費などを着服したとして、大阪府警は3日、堺市立小学校の元事務職員、長谷川将司容疑者(35)=堺市西区鳳北町8丁、業務上横領罪で起訴=を同容疑で追送検し、捜査を終えたと発表した。容疑を認めているという。西堺署によると、市が無償化していた給食費も文書を偽造して徴収していたといい、計約670万円の被害を裏付けたという。 長谷川容疑者は西区の小学校で、保護者から徴収する教材費などの管理を担当。署によると、長谷川容疑者は2022年3月22日~9月6日に計13回、校長が管理する預金口座の現金を引き出し、自身が管理する口座に移した疑いがある。 市教委によると、長谷川容疑者は昨年10月、着服を校長に申し出て、同12月に懲戒免職となった。容疑者からの返金はなく、市がいったん補塡(ほてん)するという。容疑者から支払われない場合、市の負担になるとみられる。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ウクライナの彫刻家、公募作に込めた思い モチーフはメキシコの画家

 福岡県行橋市の国際公募彫刻展「ゆくはしビエンナーレ2023」の大賞に選ばれたウクライナの彫刻家フォロディミール・コチュマルさん(52)。1年前に応募した直後、ロシアが母国へ軍事侵攻を始めた。さまざまな困難を乗り越えながら取り組んだ作品のモチーフはメキシコの女性画家。創作に込めた思いは――。 「ビエンナーレに応募します」。コチュマルさんから彫刻展事務局にメールが届いたのは昨年2月23日。その翌日、ロシアが軍事侵攻を始めた。 コチュマルさんが住んでいたウクライナ北東部のハルキウ(ハリコフ)は、報道によると侵攻早々に激しい砲撃を受け、市街戦も発生した。 コチュマルさんは授賞・除幕式を前に行橋入り。1日に記者会見を開き、自宅が損傷し、地域の建物の多くが破壊され、知人が傷ついた様子を話した。 「戦争のせいで未来が失われた。明日がどうなるか不安だった」「戦争になると、人間はしたいことが出来ない。行きたい所へも行けない」。かみしめるように、そう語った。 戦況悪化に追われるように…この記事は有料記事です。残り531文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

「善意が動員されている」 美談の研究者が見る戦時下の日本と今

有料記事聞き手・田中聡子2023年3月3日 18時00分耕論 戦時の動員どう考える 戦時下の日本では総動員体制が敷かれ、さまざまな形で人々が戦争に動員されました。銃後の美談を研究する民俗学者の重信幸彦さんは、「追い詰められた人たちが、自発的に戦争に参加していく姿」が美談から読み取れると言います。その姿は今の時代を生きる私たちとどのようにつながるのか、話を聞きました。しげのぶ・ゆきひこ1959年生まれ。北九州市平和のまちミュージアム館長。著書に「みんなで戦争」「<お話>と家庭の近代」。美談は「プロパガンダ」だけじゃない ――戦時下の銃後美談というと、プロパガンダのために作られたうさんくさいイメージしかありません。 「今の私たちは、『プロパガンダにすぎない』『作られたものだ』など、軽く見る傾向があります。私ももともとは、そう思っていました。確かに天皇を中心とした当時の世界観の中で『赤誠』とか『軍国の母』とか戦意発揚のための色々な意味づけがされているのですが、それをきれいに消していくと、わたしたちの等身大の振る舞いと選択の記録として読むことができます」 ――何が浮かび上がりましたか。 「人と関わって生きる中で、当たり前に生まれる共感や同情、善意が、人々を戦争に前のめりにしていったことです。例えば、妻に先立たれた男性が、子どもを残して戦争に行く状況で、近所の人が『なんとかしてあげなきゃ』と動いたり、シンパシーを抱いたり。そのさしのべた手が、人々を戦争に参加させていく。そんなことが見えてきました」 「美談には『おまえたち、ちゃんと戦地に行かなきゃだめだろう』と大声で叫ぶような人は全く出てきません。全員がいい人なんです。それがショックでしたし、動員の怖さです」「空気」が生んだ自発性 ――同調圧力と言われるものですね。 「私は『空気』と表現してい…この記事は有料記事です。残り2255文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル