経沢社長は目に涙を溜め、流れる前に指で拭き取った。 50分にわたるインタビューも終わりに近づいた時だった。 【画像】批判をうけて初めて親の気持ちが分かったと涙を流す経沢社長 4月と6月、ベビーシッター大手マッチングアプリ「キッズライン」のベビーシッター2人が立て続けに子供への性犯罪で逮捕された。「キッズライン」経沢香保子社長が我々のインタビューに応じたのは、1人目の逮捕からおよそ4カ月が経ってからだった。 利用者の一人である私は経沢社長がきっと会見などをするだろう思っていた。 経沢社長はメディアにも頻繁に登場し、自身のSNSでも積極的に発信する著名な経営者だ。 ところが、事件が報道された後も経沢社長が口を開くことはなかったし、彼女の名前で何かが発信されることもなかった。キッズライン自体も会見は開かずHPサイト下段の「お知らせ」でのみ利用者に報告を続けた。 我々は以前からキッズラインに経沢社長のインタビューを申し込んでいたが、保留のまま時が過ぎていた。そして8月になってキッズラインのHPに「社長より」として突然お詫びの文章が載り、我々の元にも「インタビューを受けます」と返事が来たのだった。HPの謝罪文には「被害者への謝罪を最優先に」「被害者の方一人一人のお気持ちですとか、会社としてすべての見直しですとか、関係者の皆さんにきちんと説明することを優先してこのタイミングに・・・遅くなってしまいました。当初は容疑者のこととか、警察とのやり取りで言えないこともあって、親御さんや社会に不安を巻き起こしたな、と強く反省しております。私の第一声が遅くなってしまったのは社長として大変恥ずかしいことだったと思いましたが、安全対策とセットでと思っていました。」 約束の時間きっかりに上下黒のスーツといった服装で姿を見せた経沢社長は、こう言ってカメラの前で深々とお辞儀をした。 声はしっかりしていて私の質問にもきちんと目をみて答えてくれたが、「報道があってから大変でしたか?」という世間話での問いには答えず、当惑したように目をしばたかせた。 微かな動揺を見た気がした。 このインタビューの前日、私は被害に遭った女の子の母親Aさんに取材する機会を得ていた。 (関連記事:「ママはお仕事してるからダメ」襖一枚隔てた隣室でも・・・在宅ワーク中に起きたシッターの性犯罪) AさんはHPの社長の謝罪文で「被害者への謝罪を最優先にしていた」と書かれていたことに釈然としなかった。 「優先されていません。」…
4 ans Il y a