社会

あなたたちは家族でないと突きつけられた 同性カップルが法廷で訴え

松浦祥子2022年12月23日 14時00分 同性同士の結婚を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、京都府や香川県などの同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が23日、大阪高裁(本多久美子裁判長)であった。合憲とした一審判決に控訴した原告側は、「婚姻の自由」を保障した憲法24条には同性婚も含まれ、認められない現状は「法の下の平等」を定めた憲法14条にも違反すると改めて主張。国側は控訴の棄却を求めた。 坂田麻智さん(43)、テレサさん(39)の原告カップルは意見陳述で、テレサさんが精子提供を経て娘を出産したが、出生届の親の欄に坂田さんの名前を書かせてもらえなかったと振り返り「国が、あなたたちは家族ではないと突きつけてくる。今度こそ、差別だという姿勢を明確に判決で示してほしい」と訴えた。 一審判決の後、性的少数者の友人がいるという高校生からインタビューを受ける機会があり、「将来、友だちが悲しむ顔を見たくない」と訴えられたという。坂田さんは「婚姻の平等の実現は、同性カップル当事者だけの問題ではない。自分とつながる誰かが差別を受け続けている、そんな社会であってほしくない」と述べた。 原告側代理人の三輪晃義弁護士も陳述し、一審判決が、同性カップルの法的保護が現行の法律婚以外の制度でも可能だとしたことについて「別制度しか認めないのは差別の強化だ。高裁で、同性カップルの排除が許されるのか検討してもらう必要がある」と述べた。 同種訴訟は全国5地裁で起こされ、札幌地裁は「違憲」、東京地裁は、同性カップルが家族になる制度が存在しないのは「違憲状態」とし、判断が分かれた。国への賠償請求は3件とも棄却され、原告側がいずれも控訴している。(松浦祥子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Think Gender男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

身元はっきりなのに「無縁」納骨堂に 核家族化のすき間を埋めるのは

 神奈川県横須賀市の丘の地形を利用してつくられた貯蔵庫の奥には、無縁者のための納骨堂があった。入り口のシャッター前に「無縁」「霊」などの文字が彫られた石像が番人のように建っている。手をあわせて中に入ると、洞窟のようにヒンヤリとしていた。真っ暗なので懐中電灯で周囲を照らした。 コンクリで固められた広い四角い部屋に置かれた簡素なステンレス製の棚に様々な骨つぼが所狭しと並んでいる。桐(きり)製の骨つぼや菊の刺繡(ししゅう)が施されたシルバーの骨箱、紙袋に入ったままのものなど様々だ。 江戸時代から港町の浦賀(現・横須賀市)には、村が管理する無縁者のための納骨堂があった。平成に入り横須賀海軍墓地があった馬門山墓地にも、市が新たに合葬墓をつくった。ここもやがて満杯になったため、18年に浦賀と馬門山を閉じ、一部を新納骨堂へ移し、残りは残骨灰処分事業者が処分した。 かつては無縁納骨堂に納められるのは「行旅死亡人」と呼ばれる身元不明者がほとんどで、骨壺などには番号が振られていたという。だが、現在は、担当したケースワーカー、預かった年月日、名前などが記された紙が貼られている。身元がわかっていても引き取り手がおらず、「無縁」となっている。 「今では9割以上、身元がわかっている人のお骨がここへやって来る」。横須賀市終活支援センター福祉専門官の北見万(かず)幸(ゆき)さんは話す。身元がわかっているのに、無縁納骨堂に納められる遺骨が増えています。身寄りのない人たちの最期をどうサポートするか。行政の取り組みを追いました。 墓地埋葬法では、誰も葬儀をする人がいないときは、自治体が火葬する義務を負うことが決められている。市役所の倉庫などで遺骨を数年間、保管し、市の職員が住民票、戸籍などをたどり、親族など遺骨の引き取り先を探すが、拒否されたり、行き先が見つからなかったりすると、横須賀市の場合、最終的にここにくるという。「無縁」だと、緊急入院も断られる場合も 横須賀市では、15年から2…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

師走の夜風に揺れる赤ちょうちん 闇市の面影残る横丁で「もう一軒」

現場へ! 夜の街は沈まず⑤ 再開発の波に洗われ、昭和のにおいがどんどん消えつつある首都・東京。コロナ禍で閉店してしまった老舗酒場もあるが、うれしいことに戦後闇市の面影をしぶとく守り続けている横丁がまだ残っている。 JR京浜東北線・大井町駅(品川区)の東口改札から徒歩1分。駅前の一等地でありながら戦後77年経ても現存している飲食街「東小路」もその一つだ。初めて足を踏み入れた人は、映画のセットのようなたたずまいに驚くだろう。 記者はこの横丁に通い続けて20年以上になるが、最近は若い人が多いのに圧倒される。ノスタルジックな雰囲気にひかれて動画を撮影し、ユーチューブに投稿する人も多い。 「大規模再開発された渋谷の…この記事は有料記事です。残り1016文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

クリスマス寒波が襲来 金沢に「顕著な大雪情報」、高知も記録的積雪

 強い冬型の気圧配置となった影響で、23日は各地で大雪となっている。金沢市では、23日午前8時までの6時間に20センチの雪が降ったとして、金沢地方気象台は午前8時16分、「顕著な大雪に関する気象情報」を発表した。今後も強い降雪が続くとして注意を呼びかけている。 気象庁によると、真冬並みの強い寒気が西日本の上空まで広く流れ込み、日本海側を中心に雪が強まっている。24日にかけて大雪はピークを迎えるとみられ、北日本から西日本の日本海側の広い範囲で大雪となり、太平洋側の平地でも雪が積もる所がある見込み。26日まで大雪が降る所がある。 23日までの6時間降雪量が多いところは、北海道では遠軽町など各地で最大56センチ、岡山県真庭市と富山県高岡市で26センチとなっている。 高知市では午前8時現在、積雪の深さが14センチとなり市街地で記録的な大雪になっているとして、高知地方気象台が不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。総務省消防庁によると、この大雪で岩手県で3人のけが人がでているという。 24日午後6時までに予想される24時間降雪量は、いずれも多い所で北陸100センチ▽東北・東海・中国70センチ▽北海道・近畿60センチ▽四国50センチ▽九州北部40センチ▽関東甲信30センチ▽九州南部20センチ。25日にかけても各地で降雪が続く予想となっている。(宮野拓也)      ◇…この記事は有料記事です。残り362文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

襲撃された宮台教授と安倍元首相 教え子で番記者でもあった私の思い

 【栃木】20代の一時期、濃密な時間と空間をともにした2人が今年相次いで襲撃された。東京都立大学教授で社会学者の宮台真司さん(63)と元首相の安倍晋三さん(享年67)だ。安倍さんは7月の参院選期間中に帰らぬ人に。宮台さんは11月末、男に刃物で襲われ重傷だが、一命はとりとめた。 私(39)にとって2人はコインの表裏のような存在だ。ともに主張が明快なゆえにファンもアンチも多い。思想的な立場は正反対で、宮台さんはリベラルな立場から安倍政権を批判し続けた。 宮台さんは1990年代以降、人文社会科学の分野のスター学者の一人だった。女子高校生の援助交際が社会問題になった際、そのフィールドワーク取材で名前を知られるようになったが、彼の真骨頂は東大で博士号をとった理論社会学の枠組みで、森羅万象を解説してみせる点にあった。 高校時代に著作を読破していた私は都立大とは別の大学に進んだが、宮台さんの大学や院生のゼミに参加させてもらえるようになった。親しくなり、頼まれて個人的なアルバイトもした。 教え子である私が朝日新聞に入ったことを喜んでくれた。私は主に政治記者の道を歩み、永田町で起きる他社との特ダネ競争に忙殺され、ここ数年は会わずじまいだった。渡される「答えのないバトン」 宮台さんが批判する安倍さん…この記事は有料記事です。残り510文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

片岡護さんの牛テール煮込み セロリとトマトたっぷり、ローマの味

記事の後半でレシピをご覧いただけます イタリアで修業した日本人シェフが現地仕込みの本格的な料理を出す店を相次いで開店させた1980年代。片岡護さん(74)がオーナーシェフを務める「リストランテ アルポルト」も83年に東京・西麻布に開店しました。来年40周年を迎えます。 イタリアンブームがわき起こった80~90年代を経て、ずっと一線で活躍してきましたが、40代ぐらいまでは「コンプレックスを感じていた」と言います。 「レストランで何年もまとめて修業を積んだわけではない。確固たる技術があるわけでもない」。そう思ったこともありました。 そんな片岡さんを支えたのが…この記事は有料記事です。残り1106文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

大阪大のスキューバダイビング部、未成年の部員に飲酒強要で活動停止

浅倉拓也2022年12月23日 7時55分 大阪大学スキューバダイビング部が8月に開いた懇親会で、20歳未満の部員に飲酒を強要したとして、大学が同部を活動停止処分にしていたことがわかった。 大学によると、同部は8月中旬に大阪府内のホテルにある飲食店で、現役部員と卒業生の男女計約30人で懇親会を開き、20歳未満の部員約10人も参加していた。その際に、卒業生や上級生が、20歳未満の部員に対し、かけ声をかけるなど断りにくい状況を作り、酒を飲ませていたという。 急性アルコール中毒や救急搬送はなかったが、20歳未満の1人が泥酔して自力で歩けなくなり、上級生が自宅まで送ったという。 8月下旬に外部からの連絡で発覚し、大学側が調査。大学は11月9日付で同部を無期限の活動停止にした。同部内で再発防止策などを話し合わせ、報告を受ける予定という。 課外活動の支援などをする学生・キャリア支援課の担当者は「飲酒などについては大学として定期的に注意喚起をしてきたが、結果として十分でなかった。これまで以上の対策を講じていきたい」とコメントした。(浅倉拓也)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

13対2で至誠小の校名に「待った」 採決直前、賛否変えた議員も

有料記事奥平真也、清野貴幸2022年12月23日 8時00分 「賛成の諸君の起立を」。22日の鳥取県倉吉市議会本会議。福谷直美議長の呼びかけに、15人中13人の市議が立ち上がった。倉吉市に来春、「至誠(しせい)小学校」として開校するはずだった学校名が白紙に戻った瞬間、傍聴席からはざわめきと拍手が起こった。開校まで3カ月余りとせまった状況の中で、市民運動が市議会を動かした格好だ。 市民有志は9日、4815筆の署名を添えて、広田一恭市長に対し、校名を「至誠」と定めた改正学校設置条例を廃止するよう直接請求。この日の市議会で、市長が提案した条例廃止案の採決が行われた。 採決前には、議長を除く15人中13人が討論。賛成意見は8人、反対意見は5人。討論は約1時間半に及んだ。 「公明党・改革新政会市議団」(5人)は、3人が反対討論に立った。「開校準備は中断を余儀なくされ、既に影響が生じている」(鳥羽昌明市議)、「議論を積み重ねた統合準備委の決定を尊重するべきだ」(鳥飼幹男市議)。 一方、賛成意見が過半数の8人に達した時点で、その後の採決では僅差で可決される見込みとなった。傍聴席から驚きの声 十数分の休憩後の採決では…この記事は有料記事です。残り912文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

自然保育を未来の子にも 東京・日の出「森の教室」園名新たに再出発

 自然豊かな森の中で子どもたちを育む東京都日の出町の保育施設が、来年度から新たな名称で再出発することになった。高齢の園長が閉園を決意したことを知った保護者有志が、「他にはない自然を生かした保育環境を、未来の子どもたちにも残したい」と自分たちで新しい運営組織を立ち上げた。 施設は「大久野(おおぐの)幼児園 森の教室」(同町大久野)。園庭に柵がないなど一般的な保育施設の基準には当てはまらない部分もあり、認可外保育施設として運営している。園児は現在、2~6歳の24人。登園中のほとんどを外で過ごす。ユニークな保育環境を求め、青梅など近隣の西多摩地域や八王子などから来る子もいる。23区の子がいた年もあったという。きっかけは海外 子どもたちは木々に囲まれた園庭で追いかけっこをしたり、生き物探しをしたりと思い思いに遊び、一輪車も上手に乗りこなす。 「どの子もバランスがいいでしょ。外で遊ぶと体がしっかりして、けがをしてもすり傷ぐらい」。田中則子園長(87)はそう話し、ほほ笑んだ。「次はあっち行こ」「そこ危ないよ」。子どもたち同士が声をかけ合い、田中園長らは黙って見守る。自ら考えて教え合うように導くことで、主体性や思いやりの心を育てているという。 園はJR武蔵五日市駅から徒…この記事は有料記事です。残り1189文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

神社本庁の総長ポストめぐり判決 「統理」だけの指名、認められず

村上友里2022年12月22日 20時35分 全国の神社を束ねる宗教法人神社本庁(東京)の代表役員で事務方トップの総長ポストをめぐり、宗教団体を代表する「統理」から総長に指名されたのに役員会で否決された芦原高穂理事が、自身が総長だとの確認を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁(笹本哲朗裁判長)であった。判決は「総長選任には役員会の議決が必要」として、芦原氏の請求を棄却した。 判決によると、今年5月、鷹司尚武統理が旭川神社(北海道旭川市)の宮司を務める芦原氏を総長に指名した。だが15人の理事による役員会は翌月、2010年から総長を務める石清水八幡宮(京都府八幡市)の宮司の田中恒清氏の続投を賛成多数で議決。鷹司統理はそれでも改めて芦原氏を総長に指名した。 神社本庁では近年、職員宿舎の売却の不正を内部告発した職員の懲戒処分が裁判で取り消された。鷹司統理はこうした問題が起きた田中総長体制の刷新のため、芦原氏を指名したと説明し、総長人事をめぐる混乱が生じていた。 神社本庁の「庁規」は、総長選任は「役員会の議を経て統理が指名する」と定めている。今回の裁判で芦原氏側は「議決の内容に縛られず、統理が指名できる」と主張したが、判決は、庁規の他の規定などに照らし、総長選任の規定は「役員会の議決で決定するという意味だ」と認定。議決がない芦原氏は総長ではないと結論づけた。(村上友里)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 - 朝日新聞デジタル