社会

富士山の混雑緩和で通行料2千円「ちょっと高いのでは」 識者が指摘

池田拓哉2024年2月13日 21時30分 世界文化遺産・富士山の保全管理や活用について専門家が助言する「富士山世界文化遺産学術委員会」の会議が13日、東京都内で開かれた。山梨県が登山道の混雑緩和策として通行料2千円を徴収する方針を示し、識者から意見が相次いだ。 県は今夏から吉田口登山道の5合目にゲートを設置し、任意による従来の保全協力金(千円)とは別に、ゲート通過者から通行料を徴収。登山道の整備費や下山道のシェルター設置費などにあてる計画だ。 これに対し、世界文化遺産アドバイザーの山本清龍さんは「ちょっと高いのではないか」と指摘。加藤峰夫・横浜国立大名誉教授(公園利用)は「法的に問題はないと思うが、世間的な納得が得られにくいのではないか」と、負担の必要性について説明に努めるよう求めた。「通行料を登山道の文化財の維持管理や修理にも充てる必要がある」と指摘する識者もいた。 県世界遺産富士山課の笠井利昭課長は会議で「富士山の文化的価値の継承にもなると考えている」と対策の意義を強調。会議後、記者団の取材に「当面は混雑緩和と弾丸登山防止の観点で通行料への理解を得たい」と今夏の導入を進める考えを示した。 一方、静岡県は十分な休息を取らずに徹夜で山頂をめざす「弾丸登山」の防止対策として、シャトルバスやマイカーの夜間入山制限を検討する意向を示した。交通事業者の協力を得て、数年かけて社会実験をする考えという。静岡県側の登山道は県有地でないため、エコツーリズム推進法を根拠とした入山管理の方法を新年度に研究するという。 学術委員会は、山梨、静岡両県や国などでつくる「富士山世界文化遺産協議会」に対し、2014年から助言や報告をしている。昨年11月、委員長の青柳正規・山梨県立美術館長が、登山者抑制に向けて新たな対策を検討するよう求めていた。(池田拓哉)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

電車と乗用車が踏切で衝突、脱線 車の運転手死亡 愛知のJR飯田線

2024年2月13日 22時14分 13日午後7時半ごろ、愛知県豊川市のJR飯田線豊川駅構内の踏切で、豊橋行きの普通電車(2両編成)と乗用車が衝突した。県警によると、この事故で車を運転していた女性が病院に運ばれたが、約2時間後に死亡が確認された。電車の乗客約20人にけがはなかった。 衝突により先頭車の前寄りの車軸が脱線したため、JR東海は飯田線の豊橋―新城の上下線で終日運転を見合わせることを決めた。 県警やJRによると、現場は警報機と遮断機がある踏切で、電車の運転士が踏切内で車を発見し急ブレーキをかけたが、ぶつかったという。県警が事故当時の状況を調べている。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

大阪城の東側に1万人収容施設や新駅 大学開設を皮切りに開発方針

2024年2月13日 19時38分 大阪府や大阪市、経済界、学者らでつくる「大阪城東部地区まちづくり検討会」は13日、同地区の開発方針について了承した。大学の新キャンパスや新駅、大規模集客施設の開設などが盛り込まれており、関係者は「キタやミナミに続くヒガシの拠点に」と期待を寄せる。 大阪城の東側エリアでは、2025年秋の大阪公立大学森之宮キャンパスの開設を皮切りに、28年春には大阪メトロが中央線森ノ宮駅から支線を延ばし、新駅の開業を予定している。 この日の会議で了承された開発方針では、大阪市が保有する新駅前の土地を駅前広場として一体的に整備するために市から大阪メトロへの売却を検討することを明記。駅南側の大阪メトロの所有地に1万人以上の収容が可能なアリーナやホールなどを新たにつくることなどが示された。また、新駅の駅ビル屋上には2025年大阪・関西万博の目玉のひとつとされる「空飛ぶクルマ」の発着場の整備も検討するという。 吉村洋文知事は「これまではキタ、ミナミの南北軸が重要なまちづくりの方向性だったが、今後は東西軸がより重要になる」と強調。万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)の会場となるベイエリアが「ニシ」の拠点としたうえで、「『ヒガシ』の拠点がこの大阪城東部地区だ。非常に高いポテンシャルがある」と語った。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

新生児の指4本切断、宮崎県が6600万円賠償へ カテーテル誤挿入

中島健2024年2月13日 19時48分 宮崎県立宮崎病院で2021年、1500グラム未満で生まれた新生児の男の子の右手親指など4本の指を切断せざるを得なくなる医療ミスが起きていた。県は約6600万円の損害賠償を支払う方針で、関連議案を16日に開会する定例県議会に提案する。 県病院局によると、男児は21年2月、極低出生体重児と呼ばれる1500グラム未満で生まれた。 宮崎病院の医師は、男児が生まれた直後から栄養補給や薬の投与のため、手の甲からカテーテルを挿入。生後6日目の2月17日、刺し換える際に、本来は静脈に挿入すべきカテーテルを動脈に挿入したが気づかず、20日に刺入部が化膿(かのう)したため抜いたが、その後壊死(えし)が進んで、3月19日に右手の親指など4本を切除した。 病院は、医療問題検証委員会を開いて原因を検証。2月18日時点で、カテーテル内で血が凝固。19日には、親指と薬指が紫色に変色しており、動脈への挿入に早く気づいていれば事態を回避できた可能性があると判断した。 嶋本富博病院長は「患者さま、ご家族のみなさまに改めて深くおわび申し上げます。このような事故が起きたことは誠に残念で申し訳ない。この事故を重く受け止め、職員一同、安全に配慮した良質な医療を提供できるよう万全を期したい」とコメントした。(中島健)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

佐賀・神埼市長を逮捕 ふるさと納税PR事業で官製談合の疑い

岡田将平 三ッ木勝巳2024年2月13日 19時58分 ふるさと納税のPR事業の委託先選定をめぐり、評価委員名などを業者側に伝えたとして、佐賀県警は13日、同県神埼市長の内川修治容疑者(71)を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。 市は昨年1月、業者からの提案内容を審査して委託先を選ぶ公募型プロポーザル方式で「ふるさと納税PR強化事業」の委託先を公募。内川容疑者は、市内のコンサルティング会社「ブルー・フラッグ」を選定させるため、「入札等に関する秘密」にあたる評価委員名やプロポーザルに参加する他社の企画提案書を同社側に伝え、入札の公正を害した疑いがある。 県警によると、同社が委託先に選定された。県警は、秘密事項の提供を受けたなどとして、同社の代表取締役、島由美子容疑者(62)ら3人も、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕した。いずれも県警は認否を明らかにしていない。 内川容疑者は旧千代田町長、県議をへて、2022年の市長選で初当選した。(岡田将平、三ッ木勝巳)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

2階建て住宅が全焼、男性2人死亡 50代と90代か 東京都狛江市

福冨旅史2024年2月13日 14時46分 13日午前6時25分ごろ、東京都狛江市岩戸北2丁目で、近くの住民から「家が燃えている」と119番通報があった。火災は約2時間後に鎮火したが、木造2階建て延べ約50平方メートルが全焼し、警視庁によると、男性2人が死亡した。 調布署によると、1階から90代くらいの男性の遺体が見つかった。2階からは50代くらいの男性が搬送されたが、病院で死亡が確認された。この住宅の住人と連絡がとれておらず、署が遺体の身元や出火原因などを調べている。 現場は小田急線狛江駅から北東に約750メートルの住宅街。(福冨旅史)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

子どもが相談しにくい心理とは「いじめ調査アドバイザー」に聞く

 いじめが見落とされたり、見過ごされたりするのはなぜか。教育臨床心理学が専門で、こども家庭庁のいじめ調査アドバイザーを務める石川悦子・こども教育宝仙大学教授は、子どもの心理や、大人たちの置かれた環境に要因があると指摘する。 石川教授は「子どもには、大人にいじめ被害を相談しにくい心理がある」と語る。全国の学校を対象とした文部科学省の調査によると、いじめられた子どもが被害を「誰にも相談していない」事案は、2018年度以降3万件前後で推移している(コロナ禍で休校が相次いだ20年度を除く)。22年度は3万542件で、いじめ認知件数全体の4・5%だった。 また、東京都が12年度に9360人の児童生徒を対象に行った調査によると、いじめられた経験があると答えた6195人のうち、「相談しなかった」と答えたのは45・6%だった。 相談しなかった理由を尋ねた…この記事は有料記事です。残り1651文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません#ニュース4U「#N4U」取材班が読者の皆さんから身近な疑問や困りごとを募集し、SNSで情報交換しながら深掘り取材します。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

いじめ「私は大丈夫」親にも話さず耐えた 20年後に打ち明けると…

 「学校どうだった? 何かあった?」 横浜市の女性(40)は小学4年生の長男に、毎日必ずそう話しかける。 身体も心も強くなってほしいと、武道教室にも通わせている。 きっかけは、長男が受けたいじめだった。 おととし、体格の小さい長男が複数の同級生から「ちび」と言われていると、学校から連絡があった。 その日の夜。長男が寝た後、女性は同居する両親に、長男の件を相談した。そこで女性は、これまで両親にも話していなかった自身の経験を打ち明けた。 両親は驚き、言葉を失った。 文部科学省の調査では、2022年度のいじめの認知件数は68万1948件、うち被害が深刻な「重大事態」は923件。いずれも過去最多を更新しました。一方で、見落とされるいじめも後を絶ちません。当事者らに取材し、なぜいじめが見落とされ、見過ごされるのかを探ります。連載の初回は、いじめを相談できない被害者の心理に迫ります。 女性は小学校教員の両親のも…この記事は有料記事です。残り1569文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません#ニュース4U「#N4U」取材班が読者の皆さんから身近な疑問や困りごとを募集し、SNSで情報交換しながら深掘り取材します。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

畳にテント、避難場所4カ所渡り歩いた 津波避難のその後「教訓に」

 能登半島地震で地震と津波の被害を受けた珠洲市飯田町。地区の集会所では60代男性が畳の上にテントを張り、避難生活を送っている。 避難するのはこの場所で4カ所。避難場所を転々としたという男性は、「どこにおればよかったのか。雪の中を移動するのはもう嫌やわ」と声を落とした。 1月1日、海沿いに立つ友人宅で食事をしていた時、大きな揺れに襲われた。 屋外へ出ると、友人宅前にある高さ約2メートルの防波堤を、白い波が越えてくるのが見えた。 「ぜったい津波やわ」 近くで動けずにいた80代女性の手を取り、友人宅近くの兄の家へあわてて逃げた。2階の窓から外をのぞくと、濁流が海沿いの家々を破壊し、車が流されていく様子が見えた。 津波が収まった後、500メートルほど離れた病院へ避難した。津波の時は、この病院へ逃げることになっていた。病院には他の地区の住民も一気に押し寄せ混乱していた。 自宅は津波に襲われ、地震で傾いたため、帰る場所はなかった。 その日は待合室のソファで眠った。 「ここは避難場所ではありません……」 2晩を過ごした後、病院関係者にそう告げられ、市の指定避難所へ行くよう促された。 「まさか」 男性は驚いた。その病院は、昨年9月に行った津波を想定した地区の避難訓練でも住民たちの集合場所になっていたはず。 しかし、その病院は津波などの際に一時的に避難する「指定緊急避難場所」で、一定期間避難生活を送ることができる「指定避難所」ではなかった。そのため、他の人も含め、病院から別の避難場所へ移動するしかなかった。 病院を去った後も、高校、中学と避難場所を渡り歩き、1月中旬に自宅近くの集会所に落ち着いた。 津波への訓練で逃げ込む先は知っていたが、「避難生活を送る」場所までは頭に無かったという男性。「緊急避難したその後の『生活』も含めて訓練すべきだった」と悔やむ。今後、教訓として地区の避難訓練に生かせればと思っている。(田辺拓也)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ウズラの卵のピクルス 中国産を「国産」と表記 会社社長を書類送検

有料記事阿部育子 村上潤治2024年2月13日 13時00分 中国産のウズラの卵を使ったピクルスを国産と偽り販売したとして、神奈川県警は13日、同県逗子市の食品会社と同社の男性社長(44)を食品表示法違反(原産地虚偽表示)の疑いで、横浜地検横須賀支部に書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。 捜査関係者によると、社長は県警に対し、容疑を否認し「中国産と分かっていたが瓶に国産と貼っていたことに気づかなかった」などと話しているという。 書類送検の容疑は2023年2月28日、中国から輸入したウズラの卵の水煮を原材料とした「うずらの卵のピクルス」に「国産」と表示したラベルを貼った瓶4本を県内の百貨店に販売したというもの。店頭では1瓶800円(税抜き)で販売していたという。虚偽の表示で22年6月から23年2月まで販売していたとみられ、その後は国産のウズラの卵を使っていたという。家宅捜索後、産地偽装の理由を社長に聞いてみると 県警が卵を専門機関で鑑定し…この記事は有料記事です。残り491文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル