社会

最低賃金の全国最下位は岩手に 昨年は下に10県、なぜ追い抜かれた

 18日に全国47都道府県の最低賃金の引き上げ額が出そろい、岩手の最低賃金が単独の最下位となる見込みになった。元々、岩手の最低賃金は全国で下から2番目に低い854円だったが、1円低い853円は10県あった。なぜ、単独最下位になってしまったのか。 岩手地方最低賃金審議会は8日、国の中央最低賃金審議会による引き上げ額の目安である39円を引き上げることを答申。このまま行けば10月4日に発効され、岩手県内の最低賃金は893円になる。 国の審議会は全国の最低賃金を3ランクに分けており、岩手を含む13県が最も最低賃金が低いCランクに分類されている。今回、Cランクの県で目安通りの引き上げを行ったのは岩手だけで、そのほかの県は軒並み目安から4円以上の引き上げを行ったため、岩手が単独最下位に沈んだ。 なぜ、このようなことが起きたのか。 流れを作ったのは、7日に答申を行った秋田だ。秋田、目安を上回る答申 秋田はこれまで最低賃金85…この記事は有料記事です。残り704文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

【そもそも解説】使用済み核燃料の中間貯蔵施設って何?なぜ必要?

 中国電力の提案に応じて山口県上関町が調査の受け入れを表明した「中間貯蔵施設」。どういう施設で、どうやって原発の使用済み核燃料を保管するのでしょうか。 Q 使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」とは。 A 核燃料を再処理する前に、一時的に貯蔵する施設のこと。すでに東京電力と日本原子力発電の共同出資会社が青森県むつ市に「リサイクル燃料備蓄センター」をつくっていて、今年度中の使用開始をめざしている。 Q どうやって保管する。 A コンクリート製の建屋の中で金属製の専用の容器(キャスク)に入れて保管する乾式貯蔵という方法だ。むつ市の施設で使うキャスクは筒状で高さ5・4メートル、直径2・5メートル。一つのキャスクに10トンの使用済み核燃料が入る。 使い終えたばかりの核燃料は高熱で放射線量も高いため、原発内のプールの水の中で保管する(湿式貯蔵)。中間貯蔵施設で保管するのは、湿式で冷やした後の使用済み核燃料。キャスクに入れて施設に輸送し、保管する。 Q 乾式の利点は。 A より冷えた使用済み核燃…この記事は有料記事です。残り505文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

介護施設で新型コロナ感染者に対応 うつ病発症の事務職員が労災認定

 新型コロナウイルスに感染した入所者への対応でうつ病を発症したとして、兵庫県宝塚市の介護施設に勤務する事務職員の60代女性が、労災認定されたことがわかった。女性の代理人の谷真介弁護士(大阪弁護士会)によると、コロナ対応の心理的なストレスが原因で労災認定されるのは珍しいという。 谷弁護士によれば、女性は2017年に施設を運営する社会福祉法人に事務員として採用され、入所希望者の相談や入所手続きを担っていた。新型コロナ「第4波」に入った21年4月、施設でクラスター(感染者集団)が発生し、入所者36人、職員17人が感染。医療機関の病床逼迫(ひっぱく)で感染者を搬送できず、施設内で8人が亡くなった。 この間、介護職員が不足したため、女性は感染者の介護業務を指示され、計6日間、隔離されたエリアで防護服を着用し、認知症の感染者らの配膳やおむつ交換などを行った。看護師と一緒に透明のポリ袋に包まれた遺体も運んだ。 同年5月に事務職に戻った後も、間近で見た遺体を思い出して落ち込む日々が続き、不眠などに悩まされた。翌6月にうつ病との診断を受け、現在も休職中という。 女性は22年8月、西宮労働基準監督署に労災を申請。同労基署は今年5月、労災と認定した。女性が感染リスクにさらされた環境下で、未経験の、緊張を強いられる業務に長時間当たっており、心理的負担は大きかったと判断した。 女性は弁護士を通じ、労災が認められたことについて、「安心しました」とコメントした。「コロナ感染の最前線に放り込まれ、孤独でつらさを感じた。ご遺体に対面した時は経験したことがないショックで、いま思い返しても頭痛がします」と振り返った。 施設を運営する社会福祉法人は取材に対し、「コメントは差し控えさせていただきます」としている。 谷弁護士は「コロナ対応に伴う長時間労働が原因で労災と認定された事例はあるが、業務そのもののストレスが原因で認められるケースは珍しい。医療や介護従事者らのコロナ対応の負担が適切に認められた意義は大きい」と評価した。 精神障害の労災認定をめぐり厚生労働省は今年9月から、心理的負荷の基準に「感染症など危険性が高い業務への従事」という事例を追加予定だ。谷弁護士は「今後、同様の事例がさらに認められやすくなるだろう」と話した。(堀之内健史)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

中間貯蔵施設の調査受け入れ 上関町議会の全10議員の賛否の思い

 山口県上関町は18日、使用済み核燃料の中間貯蔵施設設置に向けた調査を受け入れる意向を中国電力に伝えた。この日の町議会臨時会で西哲夫町長が「行政報告」をおこない、議員10人が意見を表明したうえで、町長が結論を出した。どんな議論が交わされたのか。議会周辺でのできごとや関係者の動きとともに詳報する。町長「住民説明尽くすよう要請する」 8月2日に中国電力から新たな地域振興策の要請について回答があった。使用済み燃料中間貯蔵施設の検討にあたって、調査を進めたいとのことだった。 国は原発活用を表明したが、新増設が不透明な状況に変わりはなく、福島第一原発事故後の12年間、町は急速に疲弊が進んでいる。 人口は年間約100人の減少が続き、高齢化率も約59%と中国5県で一番高い。毎年、財政調整基金などを取り崩しながらの予算編成で、住民支援策も近い将来できなくなり、住民へ負担をお願いすることが懸念される。 調査申し入れは、施設の設置を認めてほしいと言っているわけではない。調査に半年程度を要し、具体的な計画は改めて提示するということなので、住民説明会などで説明を尽くすよう要請する考えだ。 疲弊していく町の将来を思う…この記事は有料記事です。残り1521文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「泣いて笑って育てた宝物なのに」 自死した医師の遺族、病院を批判

 神戸市東灘区の甲南医療センターの医師、高島晨伍(しんご)さん(当時26)が昨年5月に自殺したのは長時間労働による精神疾患が原因として労災認定された問題で、遺族が18日、大阪市内で記者会見を開いた。亡くなるまでの約3カ月間休みがなく、直前1カ月の時間外労働が200時間を超えていたといい、「労災認定を受けても、あの心優しい大事な息子は私たち家族のもとには帰ってきません。センターにとっては医師の代わりはいくらでもいるのでしょうが、家族にとっては泣いて笑って大切に育てた、かけがえのない宝物なのです」と訴えた。遺族はセンターに慰謝料を求める提訴を検討しているという。 母の淳子さん(60)と兄(31)によると、高島さんは2020年4月に研修医としてセンターで働き始め、22年4月から消化器内科の専門医をめざす「専攻医」として勤務していた。昨年5月17日夕、退勤後に神戸市内の自宅で自殺しているのを、連絡が取れなくなったのを心配した淳子さんが発見した。 高島さんは、医師である父や兄の背中を追って医師の道へと進んだという。幼い頃から動物や年下の子どもを可愛がる優しい人柄で、最近は音楽を聴いたり、野球を見たりするのが趣味だったという。 しかし、昨年4月下旬ごろから、多忙で表情が暗くなり、趣味を楽しむ余裕もなくなった。5月に入ると、淳子さんに「楽しいことが一つもない」「しんどい。誰も助けてくれない」ともらすようになったという。 高島さんは両親あてに、自筆のメモを残していた。メモには感謝の言葉とともに、今後の生活を案じる文言がつづられていたという。 遺族は昨年9月、西宮労働基準監督署に労災を申請。今年6月に認められた。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間超に上った。国が定める精神障害の労災認定基準である「発病直前の1カ月におおむね月160時間以上の時間外労働」を大きく上回っていた。 高島さんの死後、センターは第三者委員会を設置して対応を検証。しかし、センター側は第三者委の報告書を外部へ公表しないことを遺族に要求。遺族が断ったため、現在まで開示していない。淳子さんは「息子の死を軽視している。息子の人生を傷つけたことに向き合い、誠実に対応してほしい」と訴えた。 センターは17日の記者会見で、第三者委の報告書が認定した高島さんの昨年4月の時間外労働時間(197時間)について、「知識や技能を習得する自己研鑽(けんさん)の時間も含まれており、全てが労働時間ではない」と主張。具英成(ぐえいせい)院長は「過重な労働を課した認識はない」と説明している。 センター側の説明について、高島さんの兄は18日の会見で、高島さんが死の直前まで学会発表の準備に追われていたことをあげ、「学会発表は自らの意思によるものではない」と反論。「担当患者のカルテ作成だけが業務なはずはなく、3年目の医師にとってほとんど全てが業務だったはずだ」と訴えた。「センターでは同様の働き方が常態化していたのではないか」と疑問を呈した。 遺族はセンターが違法な残業や休日労働をさせたとして、西宮労基署にセンターの運営法人などを労働基準法違反の疑いで告訴したことも明らかにした。(山本逸生)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

小学生がはねられて大けがでも「物損事故」?警官が不適切発言、謝罪

 長野県警上田署の警察官が、子どもが車にはねられてけがをした交通事故の捜査を担当した際、被害者の家族に対して「物損事故」として処理を済ませようとしていると思わせるような、不適切な発言があったことがわかった。署は、県警本部に報告の上で家族に謝罪したという。 この事故について署は人身事故として捜査し、車の運転手を書類送検している。 署によると、長野県上田市内の路上で4月、小学生の男児が乗用車にはねられ、目の辺りを骨折するけがを負った。 この時、現場で捜査にあたった上田署員は、男児が骨折した事実を知った上で、男児の家族に対して「人身にするか物損にするかは、検討した方がよいのでは」などと発言したという。 その後、男児の家族からの抗議を受けて、署は「物損事故として処理すると受け取れる発言があったのは事実」として謝罪。この警察官に指導を行ったという。「不適切発言」の理由 署幹部の説明は 事故については後日、加害者…この記事は有料記事です。残り304文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

七夕の起源に思いはせ 奈良の都照らすLED 「天平たなばた祭り」

筋野健太2023年8月18日 21時00分 夜の平城宮跡(奈良市)を光と明かりで彩る「天平たなばた祭り」が始まった。18日は七夕をテーマに、LEDライトで光り輝く古代衣装を身にまとった約40人が朱雀大路を練り歩く「天平七夕行列」が行われた。 七夕は奈良時代、旧暦の7月7日(現在の8月ごろ)に平城宮で行われた祭りが起源といわれている。 イベントは20日までで入場無料。天の川に見立てた約6千個のろうそくが朱雀門前を彩るなど光のアート作品が見られるほか、20日夜には再び七夕行列が行われる。問い合わせは実行委(0742・25・0707)。(筋野健太)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

「異様なスピード感」中間貯蔵、提案16日で回答 急ぐ上関町に反発

 山口県上関(かみのせき)町が、原発の使用済み核燃料を保管する「中間貯蔵施設」建設に向けた調査の受け入れを表明した。中国電力の提案から16日後の決定に、住民から反発の声があがった。中国電は来春までに調査を終える日程を描くが、地元住民への説明や県知事の同意など、多くの課題を抱えている。 「中間貯蔵施設の調査を私としては受け入れる考えだ」。町議会で調査の是非を協議するために開かれた臨時会の冒頭、西哲夫町長は議員の意見を聞く前に自身の方針を打ち出した。 その後の臨時会では、10人中7人から「実現すれば、町の経済効果が見こまれる」「恒久的な財源の確保につながる」などと、町長の方針を後押しする声があがった。 最後、町長は淡々と受け入れを正式に宣言。議会の議決は無かった。 今月2日に申し入れを受けてから、町から住民への説明会などは開かれていない。こうした経緯について、西町長は臨時会後、記者団に「この案件は議決を要しないもの。乱暴に言えば、中国電力からの申し入れが来て翌日に町長が『良いですよ』と認めれば、それで済む」と語った。大方の住民が建設反対なら「民意尊重する」 西町長はまた「調査と建設は別もの」と繰り返し、「大方の住民が建設に反対するなら民意を尊重する」とも述べた。 東京電力福島第一原発事故の…この記事は有料記事です。残り2784文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

ジャニーズ性加害問題、揺れるファンの視線 考えたくない…でも

有料記事堀越理菜 照井琢見 滝沢文那2023年8月18日 17時00分 ジャニーズ事務所の性加害問題に対する批判の声がやまない。8月には国連機関も「深く憂慮すべき疑惑」と声明を出すなど、国際問題にまで発展。そんな中、ファンの思いは――。「どれだけ多くの人が救われたか」 「(性加害問題は)事実なら世界レベルの悪いこと。でも、ジャニーズからもらってきた幸せは大きすぎる」。埼玉県の会社員女性(27)は問題を認識しつつ、これからも変わらずにタレントを応援したいと話す。 小学5年の頃に、ジャニーズJr.にのめり込み、中学時代にコンサートに足を運ぶようになった。高校1年の時、Jr.が出演するNHKの番組「ザ少年倶楽部」で、しゃかりきに踊る子に目を奪われ、応援してきた。昨年デビューした7人組のTravis Japanのメンバーだ。 「楽しい思い出は数え切れない」。念願のデビューツアーで彼らのパフォーマンスを見て、幸せな気持ちになれた。でも「私は彼らにお返しできていない」気持ちになり、グループが野菜ジュースのCMに出演すれば、「恩返しのつもり」で箱買いをするようになった。 ジャニー喜多川氏の性加害の…この記事は有料記事です。残り2227文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

中間貯蔵「町を壊す」「金ないんじゃけ…」 山口・上関町が揺れた日

 山口県上関町の西哲夫町長は18日、中国電力から申し入れのあった使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」設置に向けた調査について、受け入れを表明した。上関町議会は臨時会を開き、受け入れの是非を協議した。一方、役場前には早朝から反対する人たちが集結し、周囲が騒然となる場面もあった。この日の動きを追った。 7:35 役場前に原発反対派の人たちがすでに数十人集まっていた。前回町長選で西町長に敗れた木村保さん(75)は「まずは調査といっても中間貯蔵施設を受け入れることが原発推進の動きにつながっていく。賛成多数だから受け入れを進めようという町長の姿勢にも疑問がある。自分は反対の立場を示すためにやってきた」 8:00 役場前で臨時会の傍聴席20席をめぐる抽選がおこなわれた。傍聴席を求めたのは90人。並んでいる人のなかには「次世代に責任ある決定を」と書かれたスケッチブックを掲げる人も。町は、議場に入れなかった人向けにも、議場の様子がモニターで見られる会場を役場1階に設けた。 8:30 西町長が自家用車で役場前駐車場に到着。「今回の騒動を引き起こした張本人は西町長である。そもそも最初のやり方が間違っていた」の横断幕を持った人々など約50人に車を囲まれて動きが取れなくなった。反対派の人たちが「中電(中国電力)の悪徳商法にだまされてはだめ」「一部の人間だけで決めるな」「これのどこが町づくりだ? 町を壊している」などと口々に叫んだ。町職員は「庁舎の管理権限に基づき警察を呼ぶことになります」と警告した。 8:40 反対派が西町長の車を取り囲む現場に、警察官が到着。数分後、反対派の人たちを車周辺から引き離した。西町長は車を出て、午前9時前に役場内に入った。 様子を見ていた町内の女性(…この記事は有料記事です。残り2513文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル