社会

冷凍えびしんじょうの賞味期限を改ざん グランヴィア岡山が謝罪

上山崎雅泰2023年6月16日 18時45分 JR西日本の子会社「ホテルグランヴィア岡山」(岡山市北区駅元町)は16日、披露宴や試食会に提供したえびしんじょうの賞味期限を最長で約1年4カ月改ざんしていたと発表した。22年2月~今年6月にお吸い物の具として計64食を提供。これまでに体調不良などの健康被害は寄せられていないという。 ホテルの説明によると、宴会担当の50代の男性和食料理長が部下に指示し、賞味期限が22年1月末の冷凍のえびしんじょうを少なくとも3回にわたって賞味期限を書き換えさせていた。24個入りパックを一度開封し、社内規定に違反して小分けにして再び真空冷凍した際に、期限を改ざんしたシールを貼っていた。 納入時の賞味期限は約半年間で、その期限内に使い切れないことに困ったためという。毎月の棚卸しの際に発覚しないよう、管理台帳にえびしんじょうを記載していなかった。 今月の社内点検で改ざんが発覚。さらに点検を進めた結果、今月1日が賞味期限だった穴子の長焼きを5日の宴会で穴子丼として39食を提供していたことも分かったという。社内の引き継ぎミスが原因という。 16日に会見した本井誠総支配人は「実際に召し上がった方や、ご利用されている方にご心配やご迷惑をおかけして誠に申し訳ない」と謝罪した。食材管理体制を見直すなど、再発防止に努めるという。(上山崎雅泰)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

元法務事務次官の辻検事長を尋問へ 検察官の定年延長巡る訴訟で

松浦祥子2023年6月16日 14時26分 東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を半年間延長した2020年1月の閣議決定を巡り、法務省などが関連文書を開示しないのは違法だとして、神戸学院大の上脇博之教授が不開示決定の取り消しなどを求めた訴訟で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は16日、当時の法務事務次官だった辻裕教(ひろゆき)・仙台高検検事長の証人尋問を行うことを決めた。現職検事長に対する証人尋問は異例。尋問は9~10月ごろに行われる予定。 黒川氏を巡っては、検察庁法が定める63歳の定年を目前に控えていたが、政府が20年1月、国家公務員法の規定を適用し、検察官で初となる定年延長を決定。同法の規定は従来、「検察官には適用しない」とされてきたが、政府は「法解釈を変更した」と説明した。 上脇氏側は、法解釈を変更した経緯や関連文書の作成状況などを明らかにするため、辻氏の証人尋問を地裁に請求。国側は必要性がないと主張していた。 訴状によると、上脇氏は20年2月と21年9月、関連文書の開示を請求したが、法務省はほとんどの文書を「作成していない」などの理由で不開示とした。上脇氏は「本当に作っていないなら、公文書管理法違反にあたる」などと訴えている。 原告代理人の阪口徳雄弁護士は16日の口頭弁論後、「解釈変更がどのような目的で、誰によってなされたのか明らかにしたい」と述べた。(松浦祥子)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

強制不妊、北海道の女性の控訴棄却 手術受けたと認めず

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で、知的障害を理由に不妊と中絶の手術を強いられたのは憲法違反だとして、北海道内の女性(80)と夫(提訴後に死去)が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、札幌高裁であった。佐久間健吉裁判長は不妊手術の実施自体を認めなかった一審・札幌地裁判決を支持し、原告の控訴を棄却した。 今回の判決は、中絶手術についても一審判決と同様に、実施されたことは認めたが、知的障害が理由とは認められないと判断した。 控訴審の焦点は、女性が不妊手術を受けたことを、原告側が客観的に立証できたかどうかだった。 訴状によると、女性には乳幼期の熱病が原因とみられる知的障害があり、77年に夫と結婚し、81年に妊娠した。親族から「(女性は)子どもを産むことも育てることもできない」と出産を反対され、夫は逆らえずに中絶と不妊手術に同意した。だが女性は同意しておらず、81年6月に両方の手術を強制されたという。 控訴審で原告側は、女性が手術のため病院に少なくとも1泊したことについて、夫と親族の証言が一致すると指摘。当時の文献などから、中絶手術のみを行う場合は日帰りが一般的で、不妊手術は体への負担が大きいことから術後の入院が必要だったとして、女性は中絶と不妊の両方の手術を受けたとした。 女性の腹部に外見上手術の痕が残っていないことについては、旧法で認められていた不妊手術の二つの方法のうち、卵管を圧迫して縛る「卵管圧ざ結紮(けっさつ)法」で行うのが一般的で、膣(ちつ)から器具を挿入する手術を女性が受けた可能性が高いと主張した。 一審判決は中絶手術について、当時夫婦が金を借りに毎月来ていたとの親族の証言を踏まえ、「中絶が経済的理由だった可能性も否定できない」と判断を示した。 これに対し原告側は控訴審で、夫は現像所や神職としての職を得ていたことから、困窮していなかったと反論。入院中の女性が弁護団に対し「手術に同意したことはない。手術の際に金具のようなもので押さえられて、嫌で抵抗した」と新たに証言したと主張した。(石垣明真)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

トランスジェンダー女性へのトイレ使用制限は違法か 最高裁で弁論

 戸籍上は男性だが女性として暮らす性同一性障害の経済産業省の職員が、省内で女性トイレの使用を制限されたのは違法だと国を訴えた訴訟で、最高裁第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は16日、原告と被告双方の意見を聞く弁論を開いた。原告側は「女性として社会生活を送る重要な法的利益を軽視した制限で、違法だ」と訴え、結審した。判決は7月11日に言い渡される。 弁論は二審判決を変えるのに必要な手続き。使用制限を違法と認めた一審・東京地裁判決を覆し、適法と判断した二審・東京高裁の判断が見直される可能性がある。 原告の職員は1999年ごろに性同一性障害と診断されたが、戸籍変更に必要な性別適合手術は、健康上の理由で受けていない。2010年から女性の服装で勤務しているが、経産省は、他の女性職員に配慮するなどの理由で、勤務フロアから2階以上離れた女性トイレを使うよう求めた。 原告は13年、この制限を撤廃するよう人事院に行政措置要求をしたが認められず、人事院の判定の取り消しなどを求めて15年に提訴した。記事の後半では、原告の経産省職員に、裁判に込めた思いなどを聞きました。 この日の弁論で原告側は、人…この記事は有料記事です。残り1340文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ぼっちの恐怖、相次ぐ事件 社会学者「孤独は個人の問題ではない」

 長野県中野市で男女4人が殺害された事件で、自宅に立てこもった後に殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者(31)は動機について、死亡した近所の女性2人に「『(ひとり)ぼっち』と言われたように聞こえ、恨みを爆発させた」と語ったとされます。 孤独や孤立の問題に詳しい早稲田大の石田光規教授(社会学)に、社会の中にある「ぼっちへの恐怖」とその背景について聞きました。 ――今回の事件の背景に孤独があるとしたら、私たちが考えるべきことは。 今回に限らず、孤立に行き着いてしまった人が、行き場のない思いを外に爆発させたとみられる事件を近年目にする機会が多いです。小田急線刺傷事件や大阪・北新地のクリニック放火事件、東大前の刺傷事件などがありました。もちろん大前提として、自分が孤独だから人を傷つけるという人は極めてまれです。 ――孤独は個人の問題ではないのでしょうか。 その人の性格や努力による結果というだけではなく、経済的・社会的に恵まれていない人が孤立しやすい傾向が、先行研究や国の調査ではっきり明らかになっています。 これは社会の問題だというのが、先進諸国の政策や研究の潮流です。 ――長野の事件の容疑者は31歳で、市議長を務める父親と母親と同居し、農業を手伝い、ジェラート店でも働いていたようです。 容疑者は、親の社会的地位や世帯年収からすると恵まれていると言えるかもしれません。 一方、本人の状況を見ると、「不安定な雇用の中にいる若年層」という、孤立しやすい人の平均的な傾向と符合します。昨年や一昨年の内閣府の調査では、孤独感が強く出ている年代は20~40代でした。 ――容疑者は大学を中退して実家に戻ってからは、周囲とあまり接点を持っていなかったとされます。 高校卒業時点で転出すると、中高のつながりから一度切り離されがちです。さらに中退して大学の人との関係を断っていたり、その後実家に戻っても、家族とうまくいっていなかったりすれば、さらに孤立したのだろうと想像します。「リア充」と「ぼっち」に二極化 ――「ぼっちの恐怖」について著書で触れられています。 「ぼっち」は、1990年代から2000年代にかけて生み出された概念です。 ネットの普及もあり、私たちは、人と一緒に何かをするよりも個人単位で動くことが増えました。強制的な人付き合いが減ったぶん、人間関係は主体的に作らないとできない、自己責任のものになりました。 その結果、友人がいる人といない人、つまり「リア充」と「ぼっち」がはっきり分かれてしまって、中間がなくなったのです。 ――なぜ二極化したんでしょ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

祇園祭、祭神を先導する久世駒形稚児が決まる 4年ぶり

 祇園祭で八坂神社(京都市東山区)の祭神を乗せた神輿(みこし)を先導する「久世駒形稚児(くぜこまがたちご)」が4年ぶりに選ばれ、京都市南区の綾戸国中(あやとくなか)神社で15日に神事があった。 7月17日の神幸祭(しんこうさい)では京都市立境谷小3年の岸田快斗さん(8)が、24日の還幸祭(かんこうさい)では私立立命館小3年の戸倉央暉(ひさてる)さん(9)が稚児を務める。 稚児は例年、綾戸国中神社の氏子から選ばれている。当日は、同神社のご神体で木彫りの馬の首「駒形」を胸に掲げ、白馬に乗って、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を乗せた中御座(なかござ)神輿を先導する。 祇園祭では、山鉾(やまほこ)巡行を先導する長刀鉾(なぎなたほこ)の稚児が広く知られているが、久世駒形稚児は祭の本来の主役である素戔嗚尊を導く重要な役割を担う。岸田さんは「ドキドキしていますが、楽しみです」、戸倉さんは「素戔嗚尊に代わって疫病を退散させたい」とそれぞれ話した。(西田健作)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

自民・高野参院議員が議員辞職の意向固める 秘書への暴行問題で

今林弘 羽賀和紀2023年6月16日 12時35分 元秘書にけがを負わせたことが明らかになった自民党の高野光二郎参院議員(48)=徳島・高知選挙区=が、議員を辞職する意向を固めたことがわかった。16日午後に高知市内で記者会見を開き、説明すると事務所が発表した。 高野氏は14日に都内で報道陣の取材に応じていた。そのときの説明によると、昨年末に居酒屋で秘書たちと会食していた際、左隣に座っていた秘書をたたき、鼻にけがをさせた。「頑張れよと気合を入れる意図で胸のあたりをたたくつもりだった」としていた。 関係者によると、秘書は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、今年に入り高野氏の事務所を退職したという。 高野氏が副会長を務める自民党高知県連は16日午後、党紀委員会を開き、党籍の除名などを検討する。県連の西内健幹事長は「秘書に暴力行為をすることなどは議員辞職に値すると考えている」と朝日新聞の取材に答えた。 高野議員は高知県議を経て、2013年の参院選高知選挙区で初当選し、現在2期目。(今林弘、羽賀和紀)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

高級宿で無銭宿泊繰り返した疑い 男を逮捕、被害総額110万円か

本間久志2023年6月16日 8時18分 温泉地の高級ホテルや旅館などで無銭宿泊を繰り返したとして、静岡県警熱海署は15日、福岡市の無職の男(24)を詐欺(無銭宿泊)の疑いで同日までに逮捕、送検したと発表した。男は容疑を認めているという。 署によると、逮捕容疑は4月7~9日に熱海市内の宿泊施設に宿泊するなどしたにもかかわらず、料金約11万円を支払わなかったというもの。 同署が調べたところ、ほかにも今年3月ごろから同市や神奈川県箱根町のホテル、旅館の計5施設で無銭宿泊を繰り返していた疑いがあることがわかり、同容疑で地検沼津支部に書類送検した。被害総額は6施設で計約110万円になるという。 男が宿泊していたのは1泊あたり5万~10万円の高級なホテルや旅館。2泊3日で泊まることが多く、エステなどのサービスも受けていたという。それ以前にも神戸や大阪、京都、奈良などで無銭宿泊を繰り返していたとみられ、捜査関係者は「最初はそれほど高額なところではなく、徐々にエスカレートしていったのではないか」とみている。(本間久志)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

直径80m、海に浮かぶ風車の先端に人の姿が…朝日新聞社機から目撃

 青い大海原に浮かぶ巨大な風車をよく見ると、真下を向いた羽根の先端に、作業員がとりついている――。長崎県の五島列島付近を本社機で飛行中、そんな光景が目に飛び込んできた。 この風車は、福江島の沖約5キロにある浮体式の洋上風力発電所「はえんかぜ」(出力2千キロワット)。海面からのタワーの高さ約56メートル、羽根の直径80メートル。約1800世帯分の電気を海底ケーブルで送る。海面下の部分が重たくなっており、「起き上がり小法師」のようにバランスを保つ仕組みだ。2013年に環境省の実証機として設置され、実証を終えた16年以降も運転を続けている。 羽根にとりつく作業員は、タ…この記事は有料記事です。残り351文字有料会員になると続きをお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

服を買うときに考えを巡らせて 縫製工場の崩落事故10年で展示開催

横川結香2023年6月16日 9時00分 バングラデシュの縫製工場が入ったビル「ラナ・プラザ」が崩落し、多数の死傷者を出した事故から10年を迎えたことに合わせ、ファッション産業の変化を振り返る展示「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」が東京都渋谷区神宮前のジャイル・ギャラリーで開かれている。 事故は2013年4月24日に起きた。発生前から建物の亀裂が確認されていたものの、操業を続けた結果働いていた1千人以上が死亡し、2500人以上がけがを負った。劣悪な労働環境や環境汚染など、産業の負の面に厳しい目が向けられるきっかけとなった。 展示では、産業を取り巻く国際的な状況や移り変わりを示すため、国などによる22種類の公開データを図を使って可視化した。衣服の価格がこの30年間で半額以下に下がっていること、服から服へのリサイクル率が1%にとどまることや、サプライチェーンを公開する企業の増減やその透明性などを伝えている。 また、持続可能な服づくりを実践するアウトドア用品大手「パタゴニア」の部門責任者や繊維業者、ファッションデザイナーなど産業の担い手が、産業の課題や自身の取り組みを語るインタビュー動画や音声をそろえたコーナーもある。 展示を企画した団体「ファッションレボリューションジャパン」のプロデューサー鎌田安里紗さん(30)は「私たちが毎日着る服はとても身近な存在。課題について関心を抱いてもらい、実際に服を買う時に考えを巡らせてもらえたらうれしい」と話す。 展示は29日まで。午前11時~午後8時。問い合わせはジャイル(0570・056990)。(横川結香)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル