「五輪より生活」 札幌市のマラソンコースで反対デモ

斎藤徹

 東京五輪のマラソンなどが行われる札幌市で17日、五輪の中止を求めるデモがあった。新型コロナウイルスの感染が収束しない中での五輪開催に反対する延べ約100人(主催者発表)が「五輪より生活」などと訴えながら、実際のマラソンコースを中心に約20キロを8時間かけて歩いた。

 市内の会社員女性(31)がSNSなどで呼びかけた。午前8時半、マラソンの発着点になっている大通公園を出発し、歓楽街・ススキノや中島公園脇、創成川通、北海道大学周辺など、ほぼ実際のコースに沿って歩いた。

 参加者らはシュプレヒコールはせずに、交互にマイクを持って「選手を応援したいが、このままでは悪い意味で歴史に残る五輪になってしまう」「五輪に使われるお金は、コロナで生活が困窮している人や医療態勢の整備に回すべきだ」などと五輪中止を求める理由を訴えた。

 市内の女性(26)は「コロナ禍で私たち一般市民の健康や生活が脅かされているのに、どうして五輪だけ特別扱いするのか」と憤った。北海道内では17日、新型コロナウイルスの新規感染者が111人確認された。1日の感染者数が100人を超えたのは35日ぶり。札幌市内の感染者は87人で、直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は18・9人。政府が「まん延防止等重点措置」を適用する目安の「15人」を3日連続で超え、再び感染拡大の傾向にある。「政府やIOC(国際オリンピック委員会)は『五輪が始まれば国民も熱狂して盛り上がる』というが、なめているのか。バカにするのもいい加減にしてほしい」

 北大院生の男性(38)は、札幌でのマラソン開催が決まった2019年から五輪反対の署名集めを続け、今月15日に約5200筆の反対署名を札幌市役所に提出した。IOCは、猛暑の東京都内でマラソンと競歩を開催することに対する批判を受け、19年10月、「気候が涼しい」などを理由に両競技の札幌開催を表明し、半ば一方的に開催地に決めた経緯がある。男性は「北大がマラソンコースになり道路改修などで学業に支障が出た。そもそも、運営費の高騰や再開発による住民の追放、大会招致の際の不透明なカネの流れなど、コロナ禍での開催強行という問題以前に五輪は問題がありすぎる。問題を放置したまま開催するのはおかしい」と批判した。

 デモを主催した市内の女性は、昨夏に友人がコロナに感染したことをきっかけに五輪開催に疑問を持つようになった。今年5月にほぼ同じコースで行われたマラソンテスト大会では、観戦自粛が呼びかけられたにもかかわらず、場所によっては沿道にひとだかりができた。「本番ではもっとたくさんの人が観戦して、私たち市民の感染リスクが高まる可能性がある。『いまさら反対しても遅い』と言われるかもしれないけど、せめて国民全員が五輪に賛成しているわけではないことを、政府やIOCに示したい」

 女子マラソンは8月7日午前7時から、男子マラソンは同8日午前7時から行われる。札幌駅前を会場に行われる男女の競歩は同5、6日にある。大会組織委員会は北海道と札幌市の要請を受け、沿道での観戦自粛を呼びかけることを決めている。沿道に声かけスタッフ約2千人を配置し、観戦者が密集するのを防ぐとしている。(斎藤徹)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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