「孤高の哲学者」ヤマトイワナを守れ 南アルプス源流に残る原種の命

 南アルプスの仙丈ケ岳(3033メートル)の8合目付近に源を発し、60キロの距離を大きく蛇行しながら天竜川に注ぐ三峰川には、めったにお目にかかることがなくなった原種のヤマトイワナが生息する。

 標高2千メートル以上の源流部で、厳しい環境に適応して命をつないできた日本固有のイワナは学術的にも貴重な存在。そのたくましさと気高さに畏敬(いけい)の念を抱く地元の伊那谷の人々は、ヤマトイワナの保存にむけた地道な活動を続けている。

国内に4種のイワナ、川ごとに80種の血統

 国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所によると、ほかの種類のイワナとの交雑がない原種のヤマトイワナが生息しているのは、長野県伊那市を流れる三峰川の中下流部より川上の本流と支流。

 国内のイワナは、大きく分けて4種類がそれぞれの分布域に生息する。北海道と東北に生息するアメマスと、東北から関東、北陸まで広く分布するニッコウイワナ。中国地方の一部にいるゴギ、そして中部地方紀伊半島の一部で確認されているヤマトイワナだ。

 これら4種類を遺伝子レベル…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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