「300体を生体解剖」細菌戦部隊の証言 市の施設で展示見送り

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三井新 後藤遼太

 加害の歴史を伝えるパネルの展示が、1年以上宙に浮いている。

 戦争や平和について学ぶ施設として、長野県飯田市が昨年5月に開設した平和祈念館。日章旗特攻隊員の手紙など、市民から寄せられた太平洋戦争にまつわる約120点が展示されている。

 旧日本軍の「731部隊」の元隊員らの証言を含むパネル8枚も掲げられるはずだった。

 731部隊は正式名称「関東軍防疫給水部」。旧満州のハルビンに広大な施設を設け、細菌兵器の開発を目的に、「マルタ(丸太)」と呼ぶ捕虜に様々な人体実験を行った。細菌兵器を実戦で使う「細菌戦」にも関わった。

 こうした事実は、2002年に中国人遺族らが日本政府に賠償を求めた訴訟で、東京地裁が、元隊員や研究者らの証言をもとに判決で認定した。一方、政府は03年に「外務省防衛庁等の文書において、細菌戦を行ったことを示す資料は現時点まで確認されていない」との答弁書を出した。

 終戦直前、施設は軍によって破壊され、文書も焼かれた。隊員は口外を禁じられたとされる。

「過激にならないように」との意見も

 「クロロホルムを注射し、生きている人間をパタッとやった」「300体もの生体解剖をした」「逃げ出したマルタを車でつぶした」。部隊での行為を本に書いたり、講演で話したりしていた元隊員らの証言を、名前や顔写真とともに展示する準備が進んでいた。

 見送った理由について、祈念…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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