伝統は更新され、魂とともに継がれる 吹奏楽コン高校の部を聴いて

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編集委員・吉田純子

 全日本吹奏楽コンクールの高校の部が23日、名古屋市名古屋国際会議場で3年ぶりに有観客で開かれ、計30校が観客の前で演奏しました。音楽専門記者の吉田純子編集委員が、この日の演奏を総評します。

 私たちにしかできない表現、出せない音色がある。そんな矜持(きょうじ)が選曲の礎になってきた。そんな歓迎すべき確信を得た。

三善の気概、矢代の野趣に食らいついた

 カラフルな音のしぶきが心地よく会場を満たした高岡商の「ローマの祭り」と岡山学芸館の「エルサレム讃歌(さんか)」(リード)は、吹奏楽という芸術ならではの醍醐(だいご)味を存分に伝えてくれた。豪快かつ繊細、玉名女子の音のパレットの目眩(めくるめ)く豊かさには息をのむばかり。明誠学院のチャイコフスキーにはロシアの魂を眼前にぐいと突き出されたかのような衝撃を覚えた。

 奏者全員が有機的にひとつの…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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