創業218年の味をタピオカラテに 老舗茶店の挑戦(産経新聞)

 江戸時代後期の享和元(1801)年創業の老舗日本茶専門店「長田茶店」(鳥取県米子市)が、商店街のにぎわいを取り戻そうと新たな挑戦をしている。11月、本店を一部改築してテークアウト専門の和カフェをオープン。環境に配慮した有機栽培や減農薬の日本茶に加え、若者を中心に人気のタピオカ入りの抹茶・ほうじ茶ラテ、抹茶のジェラートなどを販売する。同店は「商品を手に持って歩いてもらうことで、商店街のにぎわいや日本茶のアピールにつなげたい」と意気込む。

【写真で見る】地元のデザイナーが制作した和カフェのロゴマーク

 ■商店会が解散、人通り少なく

 商人の街として栄えた米子市の中心市街地でも昔ながらの町並みが残る岩倉町。なかでも老舗の風格が漂うのが長田茶店の本店だ。今年で創業218年。茶葉から茶道具までそろえる茶の専門店で、近年は抹茶やほうじ茶を使ったロールケーキなどのスイーツも人気を集める。

 本店がある「岩倉町商店街」はかつては40軒以上の店が軒を連ねていたが、現在は6軒のみとなり、人通りは少ない。約10年前に商店会も解散したという。

 商店街がにぎわっていた頃、一帯は「しょうじき村」の愛称で親しまれていた。毎年11月3日には「しょうじき村まつり」が開かれ、多いときで約3万5千人が訪れたが、平成22年を最後に開催されていない。長田茶店7代目社長の長田吉太郎さん(40)は「商店街にはパン屋や豆腐屋もあり、日の出前から音や香りがしていた」と懐かしむ。

 ■紙ストローにバイオカップ

 こんな中で同店が本店一角の約8平方メートルに開店したのが、テークアウト専門の和カフェ「NAGACHA Caf? 1801」。日本茶の魅力を知ってもらい、商店街の振興に寄与したいという思いが込められており、創業年にちなんで「1801」と店名に織り込んだのは「1からスタートする」という気持ちが込められている。開店資金の一部をクラウドファンディングで募ったところ、和カフェ運営の趣旨に賛同した人から目標を上回る約150万円が集まったという。

 長田社長の妻で、若おかみの碧(みどり)さん(29)が経営し、鳥取大医学部茶道部の部員がアルバイトでサポートする。店のコンセプトは安心して飲める日本茶を提供し、環境に優しい生活を提案すること。有機栽培や減農薬の茶葉を使用し、容器には紙ストローやバイオカップなど環境に配慮したものを採用した。

 メニューは抹茶やほうじ茶、煎茶のほか、日本茶のラテやジェラートなど。タピオカやミルクなどのトッピングもできる。和カフェのロゴマークは地元のデザイナーが制作。長田茶店のロゴの鶴をベースに、中国地方最高峰の大山や茶畑の早乙女が描かれ、日本茶をアピールする。

 ■商店街復活のランドマークに

 同店によると、お茶業界を取り巻く環境は厳しい。急須などの茶道具がある家庭が減り、日本茶以外の飲み物をどこでも買えるようになった。茶葉の生産は年々減少し、日本茶を飲む機会が減っているという。長田さんは「おいしいお茶のいれかたを知らない人が増えている。日本茶のおいしさを感じてもらうきっかけを作りたかった」と話す。

 和カフェでは日本茶を使った新商品の開発を続ける。来年の大型連休前には抹茶のカレーやカルボナーラなどの軽食を提供する考えだ。

 碧さんは「職場や学校、家庭に持ち帰ってもらうことで、日本茶が特別なものではなく、どんな場面にも合うと知ってほしい」、長田さんも「和カフェを観光客や一般客が訪れる店にして、活気ある商店街を復活させたい。和カフェが商店街のランドマークになれば」と話している。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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