名古屋城のバリアフリー化、結論先送り 差別発言問題の対応を優先

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寺沢知海 三宅梨紗子

 名古屋城天守の木造復元をめざしている名古屋市は12日、市民討論会であった差別発言への対応を優先するとして、議題に挙げる予定だったバリアフリー化案について有識者会議に提案せず、結論を先送りした。一方、石垣の保存方針については同会議で市の計画案が了承された。

 復元後の木造天守のバリアフリー化については、新しく開発する小型昇降機を何階まで導入するかが、課題となっていた。

 市が3月に示したバリアフリー化案では、天守台の石垣内部から1階まで小型昇降機を整備するとしている。上層階についての具体的な対応は未定だ。

 市は当初、この日の会議でバリアフリー化も含めた整備基本計画案を示し、了承されれば、今月中にも文化庁に提出する予定だった。

 だが、6月3日に市が主催した市民討論会で、最上階までエレベーター(EV)設置を訴えた車いすの男性に対し、EV不要の立場の参加者から「ずうずうしい。我慢せい」などと発言があった。別の参加者からは身体障害者への差別表現を含む発言もあった。

 河村たかし市長は5日の定例記者会見で、差別発言を制止できなかった市の対応について謝罪した。だが市議会からは「(障害者への)いじめの場所になっていた」などと市の対応への批判が相次いだ。

 こうした状況を受け、河村市長は12日、臨時の記者会見を開き、「丁寧に今回のことを名古屋市として総括する」などと話し、バリアフリー化案の最終決定を見送り、差別発言問題への対応を優先すると表明した。市議会への説明や差別発言を受けた男性への謝罪といった対応を進める。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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