地球みんなで仲良くか、破滅してアメーバから始めるか 核使用に警鐘

 広島県府中町の八幡(やはた)照子さん(85)は8歳のときに広島市の自宅で被爆した。2013年に、船で世界を一周して各地の人々と交流する「ピースボート」に参加し、寄港地で被爆体験を証言した。旅を通じ、「一つひとつの屋根の下にかけがえのない日常がある」と感じ、核廃絶への思いを強くした。

 ロシアから侵攻を受けるウクライナのことはひとごととは思えない。8歳の目で見た惨状、人々が苦しむ声、物が焼け、遺体が腐っていくにおいが五感によみがえる。核使用の懸念に「地球全体が仲良くするのか、それとも人類が生きていけなくなってアメーバから始まるのか」。対話による解決を願う。

 19年から広島平和記念資料館などで被爆体験を語る証言者として活動する。最近、新たな挑戦を始めた。自分の証言を翻訳してもらった英文を覚え、海外の人に直接話す。

 「亡くなった人たちがどんなに生きたかったか、どんなに苦しかったか、自分の声で訴えたい」。来年5月に広島で開かれるG7サミット(主要7カ国首脳会議)で、海外から訪れる人に体験を証言することを目指し、英語を磨いている。(岡田将平、松尾葉奈)

ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用の懸念が高まるなか、核兵器を持つ国と持たない国の参加者が一つのテーブルに付き、それぞれの国の立場を超えて知恵を出し合う「国際賢人会議」が12月10日と11日、広島市で開かれます。「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な道筋についての議論が深まることが期待されています。核兵器を取り巻く厳しい現状に、被爆者たちも深く心を痛めています。一瞬にして家族や友人らを奪われたり、長い年月、病気に苦しんだりしてきた実体験から、核兵器の恐ろしさを広く伝えようとしています。朝日新聞広島版で続く連載「聞きたかったこと」で過去に体験を語ってくれた被爆者のもとを記者が再び訪れ、いまの思いを聞きました。当時の記事も再録します。

(聞きたかったこと)家族思う気持ち一緒 広島県府中町 八幡照子さん(75)

(2013年6月12日朝刊広島版掲載。年齢や年月日などは掲載当時のものです)

 船で世界を一周し、各地の人々と交流する「ピースボート」。府中町の八幡照子さん(75)は7月出発の船に乗り、寄港地で平和を訴える被爆者の1人だ。5月のオリエンテーションで語った8歳のときの被爆体験が印象的だった。連絡を取り、詳しく話を聴いた。

     ◇

 「大変なことになった」

 八幡さんは4歳のときのある朝、父・加藤隆三さんが暗い声でつぶやいたのを覚えている。「尋常でないことが起きたのが子供心にも分かった」。それは太平洋戦争開戦の日だと後から知った。

 その約2年後、神戸市から広…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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