大阪・京都・横浜…解消遅れる密集市街地 ソフト対策含め模索続く

 100年前の9月1日に起きた関東大震災では、死者・行方不明者約10万5千人のうち、9万1千人以上が火災に巻き込まれた。

 延焼の要因が、ひしめくように立っていた木造建物。今も東京都内には、都が指定した「木造住宅密集地域」が8600ヘクタールあるが、古い建物の密集は東京だけの問題ではない。

 大規模な延焼や、建物の倒壊や火災で避難ができなくなる危険が特に高いとして、国土交通省がまとめた「地震時等に著しく危険な密集市街地」は、12都府県に計1875ヘクタールある(22年度)。

 東京都の「木造住宅密集地域」とは基準やエリアの捉え方が違うため面積が大きく異なるが、都府県別でみると、1位は東京ではなく大阪(895ヘクタール)で、神奈川(301ヘクタール)、京都(220ヘクタール)、兵庫(190ヘクタール)、長崎(89ヘクタール)と続く。東京(83ヘクタール)は6位だ。

 11年度の調査では、東京(1683ヘクタール)は2位。1位の大阪(2248ヘクタール)や3位の神奈川(690ヘクタール)と比べると、その後の10年間の減少率が大きく違う。一因は再開発の進度にあるとみられている。

 東京都内では近年、古い住宅地をタワーマンションなどに集約・高層化する再開発が急増している。1972~2022年(10月末)に都が認可した市街地再開発事業(267地区)のうち、約9割が平成以降の事業。行政の施策だけでなく、大手ディベロッパーが資本投入した大規模再開発が「結果として木密解消につながっている」と都市防災に詳しい中林一樹・東京都立大名誉教授はいう。

斜面地・歴史的な建造物…各地で事情

 一方、土地・建物の権利関係が複雑なケースが多い大阪市や、斜面地に密集市街地の多い横浜、神戸、長崎の各市、歴史的な木造建築が多く建て替えが難しい京都市など「それぞれ解消が進みにくい特性がある」と国交省担当者は言う。

 1995年の阪神・淡路大震…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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