潜伏キリシタンの信仰対象「雪のサンタマリア」修復、レプリカはローマ法王へ(産経新聞)

 古い絵画や書籍の修理を手がける宇佐美修徳堂(京都市左京区)は19日、16~17世紀に描かれ長崎の潜伏キリシタンが信仰の対象とした宗教画「雪のサンタマリア」の修復が終了したと発表した。所有する「日本二十六聖人記念館」(長崎市)によると、潜伏キリシタンへの弾圧や戦時中の原爆投下などの被害を逃れた貴重な作品で、本格的な修復は初めてという。

 「雪のサンタマリア」は、縦約28センチ、横約22センチの小品で、両手を前に合わせて伏し目がちにほほ笑むマリアが、和紙に顔料で描かれ、和風の掛け軸に仕立てられている。昨年6月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の推薦書の表紙になったことでも知られている。

 16~17世紀、イエズス会の初等教育機関「セミナリオ」で絵画を学んだ日本人によって描かれたとされ、約30年前、長崎市外海(そとめ)地区の潜伏キリシタンの子孫が所有していたのを同館が譲り受けた。潜伏キリシタンが竹筒に入れて隠し持ち、信仰の対象としてきたが、経年劣化に加え、たくさんのしわや汚れ、亀裂などがみられたという。

 宇佐美修徳堂の宇佐美直治さん(56)によると、傷みは潜伏キリシタンの信仰の歴史を物語る証しとしてそのまま生かした上で修復した。準備も含め、かかった時間は約1年。宇佐美さんは「作品は小さいが、大切にされ命がけで守られてきたことを感じた。重い貴重な仕事をさせていただいた」と振り返る。同時につくられたレプリカは23日に来日するローマ・カトリック教会のフランシスコ法王に寄贈されるという。

 京都市立芸大の深谷訓子(みちこ)准教授(45)=西洋美術史=は「潜伏キリシタンが隠し持っていた作品の大半が失われており、大変貴重。東西美術の交流の生き証人のような作品といえる」としている。

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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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