被災地に流れる「残酷な天使のテーゼ」 選曲した町職員が残したもの

 午前6時、宮城県南三陸町。防災無線から、オルゴールのゆったりしたチャイムが流れ出す。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」だ。

 町内の建設会社で働く三浦ひろみさん(63)は、義父母の世話をしながら聞く。役場が流すには風変わりなせいか、時々、町外の人に訳を聞かれる。「作曲者が町出身」と答える。自身のいとこでもある。誇らしい。

 選んだのは、夫の毅さん(震災当時51)だった。

防災無線から流れた夫の声

 「避難してください!」

 12年前のあの日、夫の緊迫した声が防災無線から流れた。町の危機管理課長補佐だった。防災対策庁舎2階で、部下と代わる代わるマイクを握り、避難を呼びかけた。その声に促され、逃げのびた町民は多い。

 庁舎は、海岸線から500メ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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