裏金「興味ない」、静かな教室が映す日本社会 台湾の政治熱の秘密は

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根岸拓朗 江戸川夏樹

 自民党派閥の裏金問題を受け、国会では政治改革のあり方が大きなテーマになったが、有権者に改革への「諦め」の雰囲気が漂っているとの声もある。お隣の台湾では1月の総統選で、日本の国政選挙よりも高い7割余りの投票率を記録した。熱量の違いには学校教育が影響しているようだ。

 東京都立杉並高校で地歴公民科を担当する伊藤昌彦教諭(56)は1月、2年生72人の「公共」の授業で裏金問題に関してアンケートを投げかけてみた。来年度に選挙権を得る生徒たちだ。

政治は「自分と別世界」?

 すると、政治との深い溝がうかがわれた。長く日本の政権を担う自民党の歴史に残る重大な不祥事と言えるものの、「どちらかというと」も含めて「興味がない」と答えたのが38人で、半数を超えていた。

 伊藤さんはここ数年、授業で政治や社会問題について問いを投げかけても、生徒の反応が薄いことが気になる。「こちらの話は聞いてくれても、言葉がなかなか出てこない。政治が『自分とは別の世界』で起きているような感覚では」

 ただ、自身も含め、大人が政治や社会のあり方を周囲と本音で語っているかと考えると、心もとない。「静かな教室は大人の社会の雰囲気を映しているのかもしれません」

 主権者教育に詳しい浦和大学の林大介准教授(政治学)は、裏金問題の社会の受け止めについて「『日本の政治家は意識が低いよね』といった諦めで済まされていないか。関わった議員の辞職要求が盛り上がるわけでもなく、選んだ自分たちの責任は考えない。『お任せ民主主義』で、主権者の自覚が薄いように感じる」と話す。

旧文部省が求めたこと

 林さんは日本の学校教育は長…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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