赤字ローカル線「100年先を見据えた町を」 廃線回避の新たな形は

 JR東日本が28日に公表した収支から、地方を走る路線の苦境が浮き彫りになった。鉄路をどのように維持するのか、将来の廃線は避けられないのか――。各地で議論が進む見通しだが、沿線の自治体側も切実な思いを抱える。

 盛岡市内の住宅街にある山田線の山岸駅。今月下旬の平日夕方、1両編成の車両を降りた乗客は数人しかいなかった。駅近くに住み、通学で使う高校1年生の女子生徒は「朝の通学時間帯でも混雑しておらず、いつも座れる」と話す。

 岩手県内を走る山田線は、内陸の盛岡市から沿岸の宮古市までの約100キロを結ぶ。ほとんどが山間部で、2020年度の1日1キロあたりの平均利用者数(輸送密度)は上米内―宮古間で80人。国鉄が民営化された1987年度の720人から89%減った。20年度の収支率は1・9%で、100円を稼ぐのに5168円かかった計算だ。

 JR東日本盛岡支社は、乗客減の要因の一つに沿線人口の減少を挙げる。さらに、盛岡―宮古間には無料の復興支援道路が21年3月に開通した。山田線では早くても約2時間20分かかるが、車なら1時間半ほどで着く。

 ただ、廃線を含めた見直しに…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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