辺野古訴訟、沖縄県の訴え退ける 知事の不承認めぐる初の司法判断

国吉美香

 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、玉城デニー知事が防衛省に出した不承認処分をめぐって県が国を訴えた三つの訴訟のうち、二つの判決が16日、福岡高裁那覇支部であった。谷口豊裁判長はいずれも県側の訴えを退けた。不承認処分をめぐる司法判断は初めてで、県側は最高裁に上告する方向だ。

 辺野古沖の海底で見つかった軟弱地盤対策をめぐり、防衛省が出した設計変更を2021年11月に玉城知事が不承認とした。対抗措置として、防衛省は埋め立てを所管する斉藤鉄夫・国土交通相に不服審査請求をし、国交相は行政不服審査法にもとづいて知事の不承認を取り消す「裁決」をした上で、地方自治法にもとづき承認せよとの「是正指示」を出した。県は、裁決と是正指示は違法だとして取り消しを求める二つの訴えを起こした。

 判決は裁決を「有効」とした上で、県の訴えを「訴訟の対象とならない」と却下。知事の不承認処分は「裁量権の逸脱または乱用がある」として、是正指示も「適法」と判断した。

 軟弱地盤対策で大幅に遅れる辺野古の工事は、普天間の危険性の早期除去につながらないとする県の主張についても、判決は「政策課題と整合しなくなったとはいえない」と退けた。

 判決後、玉城知事は報道陣の取材に不承認の正当性を改めて主張し、「地域住民の利益を守るための知事の裁量を否定したもの。地方自治の観点からも許されるものではない」と述べた。(国吉美香)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment