過労死ゼロへ「一刻の猶予もない」 電通事件遺族ら、再発防止訴え 

 原因をなくせば、過労死をなくせる――。電通に入社した9カ月後に過労自殺した高橋まつりさん(当時24)の母・幸美さん(58)が8日、名古屋市内での講演で訴えた。

 過労死の原因は長時間労働とハラスメント(職場での嫌がらせ)にあり、同じ企業から何人も犠牲者が出ている例があるとも指摘。働き手には「限界になるまで我慢しないでSOSを出して」と述べ、各地の労働局や労働組合に相談するよう呼びかけた。

 まつりさんは2015年4月に電通に入社した。インターネット広告を扱う部署に配属されたが、睡眠が1週間に10時間ほどしかとれないなどの忙しさに悩み、同年12月25日に女子寮で自ら命を絶った。うつ病も発症していたとみられる。

 その後、過労による労災だと認定された。電通は当時の社長が引責辞任したのに加え、会社として違法残業の防止を怠った労働基準法違反の罪で50万円の罰金刑も受けた。

 電通側は、パワハラに該当する「行き過ぎた指導」もあったと認めた。

 幸美さんは「娘は明るく社交的で、困難も乗りこえる強い子だった。病院にいく暇もなく、相談していた先輩も体調を崩していて、だれも娘を助けられなかった」と悔やんだ。

 電通では1991年にも入社2年目の社員(当時24)が自殺しており、再発を防げなかったことも問題視された。

 過労やパワハラに苦しむ働き手からの相談は、各地の労働局や労働基準監督署で受けつけている。平日の夜間(午後5時~10時)、土・日曜と祝日(午前9時~午後9時)も、厚生労働省が民間に委託して設けた無料相談ダイヤル(0120・811・610)がある。

「上司の問題だけにしては解決せず」

 被害の再発は、電通だけに限らない。

 トヨタ自動車では2010年…

この記事は会員記事です。残り695文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment