酒どころ福島、10連覇に挑む 「贈答用にはできない」から日本一へ

 福島が熱く盛り上がる日が今年もやってくる。全国新酒鑑評会の結果発表日だ。2011年の東京電力福島第一原発の事故後、「日本一」に9回輝き、重苦しさに包まれた地域に希望のあかりをともしてきた。10連覇がかかるその日は24日。

 「原発事故後、県産品の買い控えが全国に広がった。でも、いいものを造れば認めてくれるんだと、蔵元たちが気づかせてくれた。その姿に県民がどれだけ大きな元気をもらったことか」。ラジオ福島で人気番組を持つ大和田新(あらた)アナウンサー(68)は、今年も結果を心待ちにしている。

 明治から唯一続く全国規模の鑑評会で、独立行政法人酒類総合研究所日本酒造組合中央会の共催。出品酒の上位3割ほどが金賞に選ばれ、都道府県別の金賞獲得数で競い合っている。福島は広島の5連覇を抜き、記録を更新中だ。今回は県内57蔵のうち46蔵が出品した。

 東日本大震災では55蔵が被災し、そこに原発事故が追い打ちをかけた。県酒造組合の会長だった新城猪之吉さん(72)は「酒を仕込む水まで放射能検査をし、いくら安全だと伝えても安心してもらえなかった」。知人からは「自分で飲む分にはいいが、贈答用にはできない」と言われた。

 被災3県の日本酒出荷量を調べると、宮城と岩手はさほど変わっていなかったが、福島だけが大きく下がっていた。

安酒造りに専念する蔵も

 目を付けたのが鑑評会だった…

この記事は有料記事です。残り1203文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment