秋は散策の季節。ハイキングと街歩きの良さを足し合わせた韓国発祥のトレッキング「オルレ」を楽しめる場所が国内にも増えてきた。山林や田畑の道、路地裏まで歩く10~20キロの行程で、21コースが認定されている九州や、3コースがある宮城県のほか、本場・済州島で楽しむ人もいる。 10月27日、福岡県宗像市沖に浮かぶ大島で開かれた「オルレフェア」に記者も参加した。九州各県のほか神奈川県からも駆けつけた子どもから年配まで、参加者は約200人。「カンセ」と呼ばれる馬の形の道しるべや、リボンなどで示されたコースに沿って山野に分け入っていく。 「九州オルレ」に認定された宗像・大島コースは約11キロ。距離は標準的だが、序盤に展望台まで約200メートルの登りがあり、難易度は「中~上級」だ。汗をかきながら約30分で登りきると、眼下に玄界灘の絶景が広がり、遠く福岡市街も見渡せた。 コース沿いには世界文化遺産の宗像大社・中津宮(なかつみや)や沖津宮遥拝(おきつみやようはい)所があり、参拝する参加者も。地元の人たちによる特産「塩サイダー」や海藻スープのもてなしも受け、5時間で多くの参加者が完歩した。 オルレに4回目の挑戦の福岡県柳川市、西田由美子さん(61)は「おもてなしもいつも楽しみ。気持ちよかった」。孫の小学1年生、釘本龍和君(7)は「ちょっと足が痛いかな」。 オルレは済州島の方言で「大通… 980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
星空みながら夢の世界へ 科学館で「プラ寝たリウム」
【動画】眠りいざなうやわらかな声、プラネタリウムで解説する丹野佳代子さん=渋井玄人撮影 満天の星空の下で快眠を――。勤労感謝の日の11月23日に福岡市科学館(福岡市中央区)のプラネタリウムで熟睡してもらう企画が催される。その名も「熟睡プラ寝たリウム」。学芸員による解説は最小限にし、ブランケットやクッションを持ち込み、寝てもらうことが目的だ。 同館によると、2011年に兵庫県の明石市立天文科学館が勤労感謝の日に始めた催しで、福岡市科学館では今回が初の試み。 眠りにいざなうカギとなるのが… 980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ろう者の写真家がとらえた重度障害者の笑顔、温かく
朝の身だしなみのために鏡に向き合う車いすの男性、ピンクのマニキュアが鮮やかな四肢まひのある女性の手……。入所施設で暮らす重い障害のある人たちを、ろう者の写真家が数カ月にわたって撮影した。入所者たちとまっすぐに向き合ってとらえた作品が、ありのままの日常を温かく、力強く伝える。 撮影したのは、写真家の齋藤陽道(はるみち)さん(36)。難病患者や障害者、性的少数者らのほか、人気バンドのジャケットなども手がけてきた。 「入所者を被写体に、写真展を開きたい」。神奈川県藤沢市の障害者入所施設「湘南希望の郷(さと)」が、齋藤さんに依頼した。きっかけは相模原市の施設「津久井やまゆり園」で3年前、障害者19人が命を奪われた事件。写真の表情やまなざしから、重い障害のある人の「声」を感じてほしいと考えた。 齋藤さんが撮影を始めたのは今年6月。時には身体障害や知的障害のある24~87歳の60人が暮らす生活フロアに泊まり、うつむく男性には笑顔でじっくり向き合い、戸惑う女性には筆談で言葉を交わした。「みなさんのテンポにひたり、色んな関わり方があると気づかされます。施設は隔絶された場というイメージがありましたが、友だちの家に行くくらいの感覚でいいと教えてもらいました」 自室で好きな演歌などを録音したカセットテープを手にする視覚障害のある男性、施設の夏祭りで夜空に打ち上げられた花火……。これらを展示する写真展は23日、施設内で開かれる。コンセプトは、風通しのいい施設。入所者の生活空間を開放し、布にプリントされた約120点を展示するというユニークな試みだ。 写真を布にプリントする手法は、齋藤さんのアイデアだ。「誰かが通る度に布がはためき、軽やかに写真を楽しみながら障害のある人の日常を思う。そんな情景と、風通しのいい施設というイメージが重なりました」。95センチ四方の写真をプリントした長さ15メートル、幅1メートルの布10枚が、生活フロアの廊下や食堂、中庭、施設の入り口の木々などを彩る予定だ。 写真展を発案したのは、施設を… 980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
午後に即位祝賀パレード 警備厳戒、リハーサルも(共同通信)
天皇陛下の即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」が10日午後3時から行われる。コース周辺では午前中から厳重な交通規制が敷かれ、多くの警察官が警備に当たった。警視庁が、本番と同じコースを使ったリハーサルも実施した。 パレードは、オープンカーに乗った天皇、皇后両陛下が、皇居から住まいの赤坂御所までの約4.6キロを約30分かけて進行される。 警視庁は10日朝、パレードコースで本番と同じ車両など約35台を使ってリハーサルを行い、警備態勢を最終確認。観覧客用のブースが設けられた沿道には、数メートル間隔で警察官が並び、不審者に目を光らせた。 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
はあちゅう、血液クレンジング拡散を謝罪「ステマではない」「何も信じられない」(BuzzFeed Japan)
著名人がSNSなどでこぞって拡散し、「ニセ医学」「誇大宣伝」と批判を浴びた血液クレンジング。 インフルエンサーの「はあちゅう」こと伊藤春香さんも、かつてブログで《自然治癒力を大幅にアップさせる》《疲労回復・アンチエイジングに効果抜群》と推奨し、がんや脳梗塞などの予防効果をうたっていた。 BuzzFeedの取材に対し、はあちゅうさんは「裏どりのできていない健康法を安易に広めてしまい申し訳ない」と謝罪。 一方で、医療に関する情報発信について「まったく一生、記事に書かないとは保証できない」とも語り、「何もかもが信じられない。そもそもなぜ、医師免許のある人がニセ医療を提供しているのか」と疑問を口にした。【BuzzFeed Japan / 神庭亮介・岩永直子】 「自腹で通っていた」 ――ブログ「はあちゅう主義。」では「血液クレンジング」という言葉の入った記事が、2012~2013年に46本も投稿されていました(現在は削除)。これはステマではないのですか? ステマではないですね。 クリニックから個別に広告費を受け取っていたということは一切なくて。そういう後ろめたいことがあったら、今回も取材を受けてなかったと思うんですけど。 当時は美容クーポンサイト「キレナビ」の編集長をしていて、クーポンをフォロワーさんにシェアしたり、ブログに書いたりしていました。 ブログに書くことも半分は編集長の業務かもしれないけど、自分で試していないものをオススメするのは嫌だなと思って、自腹でクーポンを買って通っていましたね。 血液クレンジングを受けたところだけでなく、どのクリニックもクーポンを購入して行っていました。 肌のピーリング、医療脱毛、温熱療法…。そういうものに月1回以上は行って、体験記を書いていました。 「お金は一切もらってない」 ――クリニック側に聞いても、同じ答えが返ってくるということでしょうか。 はい。キレナビのクーポンを買って通っています。個人的な取引は一切ないです。キレナビを通しての取引なので。 お金は一切もらってないですし、ぜひ聞いてください。 ※はあちゅうさんがブログで血液クレンジングの体験記を執筆したクリニックは、BuzzFeedの取材に対し、以下のように回答した。 《芸能人の皆様につきましては厳重な守秘義務がございますのでお答えしかねる状況です。当院からは芸能人の方々に宣伝、拡散など要望したことは一切ございませんので、ご承知おきいただければと存じます》 ――クリニックがキレナビに広告を出しているということはないのですか。 それもないです。キレナビはお願いする側で、クーポンを出してもらって、その手数料で儲けるっていう形なので。 むしろキレナビがクリニックに足を運んで「クーポン出してもらえませんか」と営業していました。 だから、個人的にどこかのクリニックからお金をいただいたっていうことは、これまでの人生で一回もないです。 次ページは:メディア取材では「無料」も 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
降る、揺れる、崩れる…相次ぐ豪雨・地震災害によって地すべりや液状化のリスクが全国で顕在化(AbemaTIMES)
田植えの体験学習にやってきた小学生たち。“先生役”として泥にはしゃぐ子どもたちに声を掛け、「これが一番楽しいんだわ」と笑顔を見せるのは、北海道厚真町に暮らす農家の佐藤泰夫さん(64)だ。 【映像で見る】『降る、揺れる、崩れる』 代々所有してきた自宅の裏山は楢の木が生い茂り、「楢山」と呼ばれてきた。しかし去年9月、この町を北海道胆振東部地震の震度7の揺れが襲い、楢山でも地すべりが発生した。楢の木は半分以上が流され、大量の土砂が流れ込んだ。自宅は半壊、苗やホウレンソウを作っていたビニールハウスは埋まってしまった。 災害関連死を含む犠牲者37人のうち、土砂に巻き込まれて亡くなったのは36人。隣に住んでいた、いとこの正芳さん(当時65)も亡くなった。「相談しあえる仲間だったからね。年もそんなに離れてないし、同じ農業経営者だったしね。自然の力は恐ろしいわ」。裏山に砂ぼこりが舞う中、正芳さんの田んぼでコメを作る。「ちょっとでも作ってやれればなと思って。ほかの人には作ってもらいたくないなという気持ちもあった」。 実は災害で山が崩れた場合、所有者には防災工事(最大2割負担)が法律で義務付けられており、それができなければ手放すことになっている。楢山の場合、工事費用はおよそ14億円と見積もられた。考えてもみなかった巨額の工事費用に、「被災者の身になっていないというか、被災したから土地よこせ、工事してやるからって感じなんだよね。それがちょっと気持ち的に納得いかないっていうか…」と佐藤さん。 話し合いに訪れた道の担当者からは「放送されると問題がある」と撮影の許可が降りなかったが、最終的に佐藤さんの負担分は道が支払うことになった。ただ、それと同時に楢山が道に寄付されることも決まった。「北海道の条例でそう決めておりますので。今まで全道各地、急傾斜の工事はこのようにやっているので、それでもう理解いただく」(道の担当者)。 しかし佐藤さんは「災害に便乗した“乗っ取り”みたいなもんだなって。“法律でこうなってますから”って、こっちはなんも言えないもんね」と納得が行かない様子だった。 台風が北海道に近づいていた今年8月、地震の前にはなかったことが佐藤さんの頭をもたげる。「山が裸になっちゃって水を吸えない。だから降った分どんどん出てくると思う」。翌朝、すぐに楢山に向かうと、水が流れた跡ができていた。「がっぽりえぐられてる。これが一気にずってきたら。またこっちもやられるかな。この程度でおさまってよかった」。 次ページは:■同様の地層は日本全国に 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
アルバイトで食いつなぎ、論文執筆もままならない日々…“国策“が生んだ、行き場を失う博士たち(AbemaTIMES)
去年の9月7日早朝、移転を間近に控えた九州大学の研究室から火の手が上がった。焼け跡からガソリンの携行缶やライターとともに見つかったのは男性の遺体。自殺したとみられている。46歳だった男性は九州大学の博士課程に在籍していたが、8年前にその籍を失っていた。それでも他の大学などで非常勤講師を続けながら研究室に居座り続けており、仕事が無くなった後は引越しのアルバイトなどで食いつないでいたという。 【映像で見る】『さまよう博士』 明日はわが身。他人事じゃないー。亡くなった男性の境遇と自分を重ねずにはいられないと話すのが、九州大学専門研究員の脇崇晴さん、40歳。独身だ。専門は哲学で、3年前に博士号を取得したが、研究職に就くことができず、アルバイト生活を続けている。「思い詰めそうになったら、“落ち着け”って自分に言い聞かせて」。 この一人暮らしのアパートで暮らし始めて13年。研究は、哲学の専門書が並ぶこの部屋で進める。哲学に没頭するきっかけとなったのが、明治時代の思想家・清沢満之だ。現在、その思想を研究テーマにしている。「清沢満之という人の思想に触れて、絶望するようなことがあっても大丈夫だ、ということを学んだ。それから長い付き合いになった」。清沢の思想は生き方にも影響しているという。 「“私は不可能に突き当たりて異常なる苦しみをいたしました。もし不可能のためにどこまでも苦しまねばならぬならとっくに自殺でも遂げた”。困難なことや、やり通せないことを無理にしようとして苦しんだ、あるいは大きな挫折に突き当たって非常に苦しんだというところから、宗教によって苦しみを脱したというところに非常に感銘を受けて読み始めたんですけどね」。 ■「論文を書かないと業績にならないし、業績が増えないと就職は難しいまま」 脇さんのように、博士課程を修了しても大学教員などの職に付けない任期付き研究者は「ポストドクター」、“ポスドク”と呼ばれている。いわば研究の世界の“非正規労働者”だ。 国や大学からの奨励金が得られている人もいるが、ポスドクになって3年、脇さんの研究者としての収入はゼロだ。「生活が不安定だと、このままで大丈夫なのかと、精神的にも安定しないことがありますね。とりあえずはこういう現状をそのまま受け入れるしかないっていう…」。 そんな脇さんの唯一の収入源が、私立大学で非常勤講師のアルバイトだ。専門分野の哲学だけではなく、ドイツ語なども教えている。文献の読み込みや、資料作りなど、準備にもかなりの時間がかかっている。この日は1コマ目の哲学の講義が終わると、慌しく次の教室に向かう。昼休みになると足早に食堂へ。一人昼食をかきこむ。「ゆっくりできるのは3、40分くらい。終わった後はヘトヘトになります」。昼食を終えると、一息つく間もなく次の教室へ。この日の講義は合わせて4時間半。ほとんど立ちっぱなしで話し続けた。「授業の前後に時間あっても勉強はなかなかできないし、アルバイトが終わった後は気力がないくらいで…」「基本的に遊びに時間を使うことはなくて、授業の準備に使うのがほとんどです」。 他の大学や専門学校でも非常勤講師の掛け持ちする日々。それでも収入は平均で月に10万円程度。大学が夏休みなどに入ると、収入はほとんど無くなってしまう。脇さんのような非常勤講師の仕事で生計を立てるポスドクは多いという。「論文を書かないと業績にならないし、業績が増えないと就職は難しいまま、という悪循環です」。 次ページは:■諦めてスキルを活かせない就職をするケースも 【関連記事】 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
土砂崩れで一変したあぶくま駅…住み着いているネコたちはどうなった?【宮城発】(FNN.jpプライムオンライン)
あぶくま駅のネコたちは… 土砂崩れの影響で運休が続いている、宮城県丸森町のあぶくま駅。ここには以前から12匹のネコたちが住み着き、その愛らしい姿を見ようと、全国から多くのファンが訪れるほどだった。しかし、台風によって状況は一変。あぶくま駅のネコとその世話をする女性を追った。 【画像】可愛い猫たちを見る 土砂が流れ出し、宙に浮いた線路。駅のホームには多くの流木や岩などが流れ着き、かつての姿が全く分からないほどに… 丸森町の阿武隈急行線「あぶくま駅」。そこで私たちが見たものはネコだった。 実は、あぶくま駅には2010年ごろから野良ネコなどが住み着き、人気の“ネコスポット”として、インターネット上でひそかな話題に… 愛くるしいネコたちを一目見ようと、全国から多くのファンが訪れるほどだった。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:毎月フリー切符の日に、ネコに会うために訪れる男性もいます 阿部みどりさんは、あぶくま駅の隣にある町の観光施設「産業伝承館」の職員で、ネコたちの世話を続けてきた。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:きょうはみんないるかなって… ーー心配ですか? 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:心配ですよ!毎日一緒にいた子たちなので 台風の後、産業伝承館は休館に。阿部さんは自宅から毎日1時間かけて、ネコたちの様子を確認しに来ている。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:ヒメ、おはよう。ハナもおはよう。おはよう。やっぱ顔見ると毎日なんだけど、安心しますね。きょうもいたなって。元気そうです ネコは12匹。もとは野良猫や捨てられたネコたち。それでも阿部さんが里親捜しをしながら世話をしているうちに、駅の利用客や住民たちから、人気を集めるようになっていったという。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:いないんじゃないかって思って心配だったんですけど、みんないたから。多分台風は怖かったと思いますよ。怖かったと思うんだけど、いてくれたから。みんな無事だった 養蚕が盛んだった丸森町ではネズミからカイコを守るネコを神様として、古くから大切に扱い、町内にはネコの姿をかたどった「猫碑」が至る所にある。 そのため、あぶくま駅のように、野良猫などを住民が共同で飼育・管理するいわゆる「地域ネコ」として育てる文化が根付いている。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:バイバイ、またあした。パピもまたあした 台風の影響で、阿部さんがネコと接する時間が格段に減った。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:ネコといたいんですよ、ずっと。でもまた明日来るからねって、切ないですよね。いたいんだけど、何もできないから。(復旧)作業する人の邪魔になってはいけないから、帰るしかないですよね 日常とはほど遠い光景が広がる丸森町。願うのは、1日も早い復旧だ。 丸森町産業伝承館 阿部みどりさん:早く元通りに。元通りにはならないんでしょうけど、元に近い形に戻ればいいなと思います。ずっと一緒にいてあげたい Source : 国内 – Yahoo!ニュース
問われているのは行政だけでない 台風災害の広域避難、都心250万人の覚悟は(産経新聞)
台風19号が関東に接近しつつあった10月11日の金曜日、午前10時45分、東京都江戸川区役所。防災危機管理課に緊張が走った。 【表で見る】江東5区の広域避難タイムラインと台風19号接近時の動き 「JRが明日正午前後から順次運休するそうです」 届いたFAXの内容に課長の本多吉成(51)の表情が曇った。「早いな…」。想定外だった。 0メートル地帯。荒川と江戸川に囲まれた東京東部の「江東5区」(江戸川、江東、墨田、葛飾、足立)は大部分が満潮位以下にある。浸水想定域の人口は約250万人。深いところは10メートルが水に漬かる想定だ。 5区は昨年、巨大台風接近時に東京西部や千葉、埼玉など、区外へ避難を呼びかける「広域避難」の枠組みを策定。それが今回、初めて本格的に検討された。 荒川氾濫が想定されたのは13日午前6時。広域避難計画は、48時間前に自主避難呼びかけ▽24時間前に広域避難勧告発表▽9時間前には交通機関が停止、移動せず高所で安全を確保する垂直避難指示を出す-。しかし今回、計画運休開始はおよそ18時間前となった。 11日午後2時。気象台から「流域雨量が400ミリを超える可能性があります」と電話が入った。担当者は互いに広域避難勧告の基準となる600ミリに達していないことを確認した。 だが、足立区は「基準未満でも踏み切るべきだ」と主張した。5区長の判断がそろえば勧告は出せる。 冷静さを求めたのはアドバイザーの東大大学院特任教授、片田敏孝(58)。「今からでは遅い。暴風雨の中で移動の足を失いかねない」と諫(いさ)めた。 5区は12日、見送りを最終決定した。運休開始のわずか1、2時間前だった。 広域避難の成否は移動手段の確保にかかっている。 周辺5市町で広域避難の枠組み策定を進めていた埼玉県加須(かぞ)市は、利根川の水位が急上昇した13日午前1時、単独で広域避難に踏み切った。浸水域人口約3万人のうち、約8千人が域外にある市内外の避難所15カ所に逃げた。 高齢者などのために用意したバス10台が延べ15往復したが、主要道路に想定を超える自家用車が集中。約10キロ渋滞し、避難所まで2~3時間かかった。 危機管理防災課主幹、加藤辰男(50)は「未明の避難にためらいはあったが、多少の混乱が生じたとしても判断に間違いはなかった」と振り返る。 災害発生を前提に行動を時系列にした計画表「タイムライン」。JR東日本は今回、国交省のタイムラインより前倒しし、48時間以上前に計画運休の「可能性」を発表した。 計画運休は3回目。JR東広報部長の照井英之(53)は「空振りを避けることより、運休を早く明らかにすることが求められている」と話す。交通機関を止めることを受け入れられる社会になりつつある。 結果的に利根川も荒川も氾濫しなかったが水位は過去最大級。片田は「手段があっても本来は移動に3日間必要。雨量などの基準は適切か、広域避難の『トリガー』(きっかけ)の問題もある」と指摘する。 気象庁の予測精度向上には限界があり、早い段階の情報ほど空振りのリスクがつきまとう。防災行政を所管する内閣府参事官、林正道(51)は言う。 「広域避難は現実に起きると理解してもらう契機になった。空振りをどこまで許容してもらえるか」 問われているのは行政だけでなく、住民自身の意識と覚悟だ。=敬称略 Source : 国内 – Yahoo!ニュース
絶滅危惧サンショウウオいるはず 農家ら新たに生息確認
石川県輪島市門前町の仁岸川源流域で、国の絶滅危惧種ホクリクサンショウウオの生息が新たに確認された。貴重な生き物を保護しようと地元の有志が集まり「仁岸川の源流に棲息(せいそく)する稀少(きしょう)生物を保護し育てる会」を結成。最初の活動として8日、産卵場所の清掃をした。 ホクリクサンショウウオは体長約10センチ。能登半島と富山県の一部に生息する。成体は山間部にすみ、水田の水路など緩やかな水流のある場所で卵をうむ。近年は耕作放棄地の増加などに伴い、繁殖地が減少しているという。 新たな生息地を見つけたのは、門前町出身で現在は七尾市中島町で農業を営む田谷樹(たつき)さん(50)。今年2月、七尾市内にある自分の田んぼの水路で卵を発見し、興味を持った。「門前でも生息しているのでは」と独自に町内を調べ、3月に仁岸川の源流にあたる水路で卵を見つけた。 県内で保護に取り組む「ホクリクサンショウウオを守る会」の架谷成美さん(77)が調査した結果、繁殖地と確認された。9月には「貴重な生き物を保護しよう」と地元住民に呼び掛け「育てる会」を発足させた。 この日は、1~3月に迎える産卵期に備え、水路を整備。メンバーと架谷さんが川底の落ち葉を取り除き、倒木を撤去した。今後も定期的に訪れ、卵の観察や繁殖地の整備などに取り組むという。田谷さんは「周辺にはまだ繁殖地があるはず。メンバーと協力しながら保護活動をしていきたい」と話した。(井潟克弘) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル